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保護者「私の息子が出てない!」3年生最後の試合後、顧問に向けられた怒り…→卒業式で親子が放った「まさかの一言」

  • 2026.3.4
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元教員ライターのkntです。

昨今の学校現場では、部活動の地域移行や教員の働き方改革が大きな議論を呼んでいます。部活動は生徒の成長を支える貴重な場である一方、指導者にとっては心身の負担や予期せぬトラブルが隣り合わせであることも事実です。

今回は、私が顧問として実際に体験した、ある「境界線の瞬間」についてお話しします。

最高の試合、その直後に訪れた暗転

それは県総体、3年生にとっての集大成となる最後の日でした。

敗れはしたものの、生徒たちは持てる力をすべて出し切り、清々しい表情を浮かべていました。涙よりも「やり切った」という満足感が上回るような、指導者としてもこれ以上ないほど素晴らしい幕引きだったと、私は安堵の胸をなでおろしていました。

しかし、さまざまな感情を抱えながら会場を後にしようとしたその時、背後から私の肩を叩く手が。振り返ると、そこには控えの生徒の保護者が立っていました。

その表情は、明らかな怒りに満ちていました。溢れる涙を拭いもせず、第一声で突きつけられたのは「私の息子が出ていない!」という叫びでした。その試合に出番がなかったことへの行き場のない感情が、すべて私へと向けられたのです。

指導方針と「親の愛」の衝突

私は、こうした事態を避けるために2年半の月日を費やしてきました。

部活動の顧問である前に一人の教員として、勝利至上主義に偏ることなく、人間的な成長を何よりも大切にしてきた自負があったからです。

練習試合では全員に平等に機会を与え、日々の練習メニューもレギュラーと控えの区別なく同じ内容を行ってきました。保護者会でも、総体での采配方針については何度も丁寧に説明し、理解を求めてきたつもりでした。

それでもなお、最後の最後で「納得いかない」という罵声を浴びせられた事実に、私自身も深いショックを隠せませんでした。

父親が必死に母親をなだめようとする傍らで、私は何十回もの「すみません」を重ね、その場をやり過ごすしかありませんでした。

しかし、このままでは終われない。私は学年主任や管理職にも相談を重ね、解決への道を探り始めました。

「ゴールの再設定」という新たな提案

話し合いの中で出た結論は、部活動以外での「活躍の場」を提案することでした。

試合で活躍できるレベルまで引き上げられなかった責任を真摯に受け止めつつ、生徒が抱える不完全燃焼感を別の形で解消する。それが誠実な回答になると考えたのです。

何度も親子と向き合い、話し合いを重ねました。その結果、その生徒が個人のウィンタースポーツに本格的に取り組むことで、新たな目標を立てるという「ゴールの再設定」に至りました。

新たな環境で彼は見事に活躍し、親も子も、そして私も、なんとか納得のいく形で学校生活を終えることができたのです。卒業式の日、あの親子から「ありがとうございました」という言葉をいただいたとき、ようやく私の中の総体も幕を閉じました。

最後に報われる、最高の仕事

どれほど入念に策を練っても、人の感情が動く現場でトラブルを完全に防ぐことは不可能です。

しかし、根本にある「生徒のため」という軸をぶらさずに考え抜くことで、困難な状況も最小限に食い止められるのだと実感しました。

教員は、その瞬間は悩み、深く苦しみます。けれど、最後の一言でこれまでの苦労がすべて報われる。やはり教員とは、最高にやりがいのある仕事なのだと改めて感じています。


ライター:knt

中部の公立中学校で10年、生徒たちと向き合ってきました。離れて気づいた教員の大変さであったり、現場の先生方への尊敬。現状などをみなさんにお届けします。


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