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「どうか明日は、無事にお届けできますように」宅配員の願い届かず…バレンタインの贈り物が辿った悲しい結末

  • 2026.2.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さんこんにちは、元宅配員のmiakoです。

季節の贈り物には、受け取られることで完結するものもあれば、受け取られないまま返品となってしまうものもあります。今回は、バレンタイン当日に届いた、ある冷蔵便の話です。

バレンタイン当日に届いた、小さな冷蔵便

その荷物は、冷蔵便で届いた小さな箱でした。

品名には「チョコレート」と書かれ、届いた日はバレンタイン当日。
中身を見たわけではありませんが、おそらく受取人様を特別に思って送られた贈り物なのだろうと、すぐにそんな気がしました。

夜の時間帯の指定。おそらく帰宅時間に合わせてのお届け指示なんだと思い、荷物をクール庫に入れて届けに向かいました。

バレンタイン当日に持ち戻ったチョコレート

2月14日当日、時間指定のあった夜の時間帯に伺いました。

しかし、夜の時間帯なのに、部屋が暗いと気付いた時点で不在ではないかと不安を感じながら、チャイムを押しました。

残念ながら予感的中。
チャイムの音にも呼びかけにも、返答はありませんでした。

たまたま仕事が長引いているか、都合が悪かっただけかなと思いました。
同時に、差出人様の特別な思いが「今日」という大事な日に届かなかったことに心苦しくなりましたが、こればかりは仕方ありません。

不在票を入れてその日は持ち戻るしかありませんでした。

再配達が続く中で感じた違和感

翌日はまず昼の時間帯にも訪問しました。

夜に居なかった場合、夜勤勤務者の可能性もあるのでは?という思いで昼間に伺ったのです。
しかし、この時間帯も返答がありませんでした。

前日の不在票を入れてあるのに受取人様からの連絡はなく、再配達の指示も入らないままでした。
まだ不在票を確認できていない可能性もありますが、不在票を見ていても、まだ連絡していない可能性もあります。

一旦伺ったという意味を込めて、不在票を入れました。

その後も再配達の連絡が入るのを待っていましたが、連絡は一向にありませんでした。
夜の配達時間帯になっても連絡が入らないままでしたが、ちょうどその家の近くに配達があったので、その後にもう一度、伺うことにしました。
しかし、やはりこの日も部屋に明かりはなく、チャイムを押しても声をかけても応答はありませんでした。

荷物は冷蔵便です。

冷蔵便は常温の荷物に比べて保管期限が短いため、私がいた会社では「基本的に3日」というルールがありました。

そのため、3日目に不在だと品質保持が難しくなるため、返品するか、差出人様の指示を待つのが私のいた会社のルールでした。

不在票を入れる前、不在票に「保管期日が翌日までになります。お早めのご連絡をお願いいたします。」とメッセージを書き込み、連絡がありますようにと願いながらポストに投函しました。

片手で持てるほどの小さな荷物なのに、なぜか気持ちの中で重く感じるようになっていきました。

中身を知らないからこそ、想像してしまう事情

中身がチョコレートだということは分かっています。
けれど、差出人様と受取人様のことは一切分かりません。

なぜ不在のこの日に送られたのか、どんな気持ちが込められていたのか。
考えすぎだと分かっていても、なんとなく想像してしまう瞬間がありました。

踏み込むことはできないけれど、宅配員として荷物を見ていると、差出人様が、きっとドキドキしながら送ったのではないか、と想像してしまいます。本来届けたかった日を過ぎ、その後何度も不在で、せっかくの荷物が受け取られないというのは、想像以上に不安であり、ショックかもしれません。

だからこそ、私たち宅配員としても、ぜひ受取人様には受け取っていただきたい。
どうか明日は、無事にお届けできますように。

そう願いながら、営業所の冷蔵庫に荷物を保管したのでした。

保管期限最終日、受け取られなかった現実

冷蔵便の保管期限である3日目になりました。
相変わらず、荷物に対する再配達の連絡はありませんでした。

そして3日目の夜、最後の配達に伺いました。

ポストには、他社の不在票も挟まっていました。
家の中から人の気配はなく、明かりもついていませんでした。

受取人様が旅行だったのか出張だったのか、偶然この時に数日家を離れていただけだったのかもしれません。そして、そのことを差出人様は知らなかったのかもしれない、などと想像しました。

それでもルールなのでチャイムを鳴らしましたが、案の定返答はありませんでした。
不在票に「本日、保管期限なので返品となります。ご了承ください」と書き、投函しました。

返品という結果だけが残った贈り物

翌日、出勤すると、その荷物はすでに返品されていました。

考えられるのは、差出人様から返品する指示が来たか、差出人様と全く連絡が取れなかったかのどちらかなのですが、あえて確認はしませんでした。

差出人様と受取人様の間に、どんな事情があったのかは分かりません。
宅配員に知らされるのは、結果だけです。

無事に届けられなかったことに、やるせない気持ちが残りました。

気持ちのこもった荷物をお届けするために

荷物の中身を見ることはできなくても、そこに込められた思いを感じることはあります。
今回のように受け取られなかった贈り物を返品したことは、残念ながら珍しいことではありません。

それはクール便に限らず、常温の荷物であっても同じです。

荷物が持ち戻ってしまう背景は、お客様それぞれ違います。
しかし、望んで受け取らないわけではないことも、偶然が重なってしまうことも承知しています。

それでも、できる限りすべての荷物をお届けしたい。
そのために、差出人様には、受取人様の都合を確認してから送っていただけると、受取人様も安心して受け取れます。

サプライズも素敵ですが、必ずしもタイミングが合うとは限りません。
不在票を見た受取人様は、荷物を受け取れなかったことを悔しく思うでしょう。
差出人様としても、せっかくのお気持ちを受け取ってもらえず戻ってきたら、きっと悲しいと思うのです。

注文した商品の発送日時の指定ができない場合もあるかもしれませんが、日時指定ができるのであれば、受取人様の都合を確認してから発送をお願いいたします。

お相手を思うお気持ちは、荷物とともにしっかりお届けします。
配達に関しては、宅配員たちにお任せください。

一人一人の真心がこもったものだからこそ、私たち宅配員は誠意をもってお届けしたい。
宅配員たちは、お客様の思いとともに、今日も荷物をお届けしています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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