1. トップ
  2. 「予約の時間に間に合わないんです」救急要請に絶句…隊員がかけた“寄り添う言葉”

「予約の時間に間に合わないんです」救急要請に絶句…隊員がかけた“寄り添う言葉”

  • 2026.3.2
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

救急車を呼ぶ理由はさまざまですが、ときどき「病院の予約に間に合わないから」という要請に出会うことがあります。

急ぎたい気持ちは理解できますし、ひとりだと不安も強くなりやすい。

けれど救急車は、「急いで移動するため」だけに使えるものではありません。

だからといって、現場で頭ごなしに否定すると不安が強まり、話がこじれることもあります。

今回は、そんなすれ違いが起きやすい朝の現場で私たちがどんな順番で対応していたかをお話しします。

「予約に遅れる」という不安と、救急現場のすれ違い

朝の指令で多いのは、発熱やふらつき、軽い胸の違和感など「動けるけど不安が強い」ケースです。

現着すると、ご本人は玄関先で待っていて受け答えもできる。

ただ表情は落ち着かず、症状より先に

「予約の時間に間に合わないんです。すぐ病院に行かないと…」と言われました。

一人だと「遅れたら断られるかもしれない」「誰にも頼れない」が重なり、焦りが強くなりやすい。

ここがすれ違いの入り口になります。

「ダメです」では始めない。まずは状態の確認

こういうときに大切なのは、正論で押し切らないことです。

救急車を呼んだ時点で、不安はピークに近いことが多い。

そこで私たちは、まず淡々と確認を進めます。

意識・呼吸・脈拍・血圧・体温などの基本の確認です。

ここで見たいのは「いま緊急性がある状態かどうか」。

危険なサインがあれば、予約よりも安全が優先になります。

逆に大きく崩れていなければ、話を整理できる余地が出てきます。

焦りの正体は「症状」より「断られる不安」

症状自体は強くないのに「とにかく急いでほしい」が繰り返される。

そんなときは、病気の怖さというより「遅れたら困る」という不安が前に出ていたのです。

ここで必要なのは、対立ではなく整理です。

状態を確認したうえで、落ち着いた声で伝えます。

「いま確認できた範囲では、すぐ命に関わるサインは強くは見えていません」
「心配が強いのも分かります。どう動くのが一番安心か、一緒に整理しましょう」

そのうえで、現実的な選択肢を並べます。

・予約先に連絡して、遅れても受診できるか確認する
・かかりつけがあるなら、症状を伝えて受診方法を相談する
・迷うときは、地域の救急相談(#7119 など)で判断材料を整理する

「救急車に乗るかどうか」だけで固まっていた視野が、少し広がることがあります。

迷ったときの相談先と通報前にできること

病院の予約に遅れる焦りは、決しておかしいものではありません。

ただ救急車の台数には限りがあり、出動が重なると別の場所への到着が遅れることがあります。

だからこそ、まず状態を確認し、そのうえで取れる選択肢を一緒に探していく。

救急車を呼ぶか迷うときは地域によって運用は異なりますが、#7119(救急相談窓口)などに相談する選択肢もあります。

「今すぐ119か」「様子を見ていいのか」で迷ったとき、相談先を知っているだけでも安心につながります。

また相談や通報の際は、分かる範囲で次がそろっているとやり取りがスムーズです。

・症状の経過(いつから/どう変化したか)
・持病や服薬(お薬手帳や薬袋)
・ひとりで移動できるか、付き添いが必要か

焦っているときほど、選択肢が一つに見えてしまいますが、情報が整理できると取れる手段は増えますよ。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


2分で完了!日常のモヤっとした出来事、TRILLでシェアしませんか?