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「ちゃんと1人で行けますかね?」卒園前の保護者の不安。歴13年の保育士が“大丈夫”とは言わない理由

  • 2026.2.6
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。保育士歴13年、現役保育士のめじです。

年が明けると、園の空気が少しずつ変わり始めます。

大きな行事があるわけでもないのに、なぜか落ち着かない。

理由ははっきりしています。卒園が近づいてくるからです。

この時期になると、子どもたちよりも先に“変化”が表れるのは、実は大人のほうだったりします。

いつの間にか始まる、保護者たちの情報収集

年明け頃から、送迎時の風景が少し変わります。

これまであまり話していなかった保護者同士が、玄関先で立ち話をしていたり、いつもより輪が大きくなっていたり。

「どこの小学校ですか?」

「学童、もう決めました?」

「〇〇小って、どんな感じなんでしょうね」

そんな会話があちこちから聞こえてくるようになります。

その結果どうなるかというと、つい話が尽きず玄関先や駐車場での会話が長くなりがちに。

「そろそろ帰りましょう」と声をかけても、

「あ、すみません」と言いながらなかなか足は進まず…

この時期の送迎時間は、保護者にとって大切な情報交換会場になっているようです。

大人の空気を、子どもはちゃんと感じ取っている

面白いのは、それと同時に子どもたちの遊び方も少しずつ変わっていくこと。

珍しいペアだな、と思っていると、そこには「同じ小学校に行く」という共通点が。

誰かに言われたわけでもないのに、自然と「〇〇小グループ」ができあがっているのです。

保護者の情報交換中に一緒に遊んだり、就学前検診や見学で一緒になったり。

そうしているうちに次第に仲良くなっていくようです。

「〇〇ちゃんのランドセルは何色?」
「どこの小学校に行くの?」

子ども同士でも少しずつ小学校への話題が増えていきます。

私は毎年、子どもってしっかりと空気を感じ取っているんだなぁ、と感心します。

少しずつ変わる自分の周りの空気、小学校への準備。全部、ちゃんと受け取っているんですよね。

不安なのは、案外子どもより保護者かもしれない

卒園前になると、保護者からは不安や寂しさの声が多く聞かれます。

「ちゃんと1人で行けますかね?」

「授業中座れるでしょうか…」

「あと少しで卒園なんて寂しすぎます」

小学校に行くと、幼稚園・保育園の時ほど担任と話す機会も無くなるため、ちゃんとやれているのか不安に思う保護者も多いようです。

でも、子どもたち本人はというと、意外とケロッとしていたりします。

「早く小学校行きたい!」

「〇〇ちゃんと同じクラスがいいな〜」

新しい環境に目を輝かせ、何が待っているのかを楽しみにしている姿。

その温度差に、毎年クスッと笑いながらも、子どもって本当に逞しいなと感じます。

保育士として、毎年心がけていること

この時期、私たち保育士が意識しているのは、不安を無理に消そうとしないこと

「大丈夫ですよ!」と簡単に言うのではなく、「心配になりますよね」と一度受け止める。

そのうえで、

「でも、こんな姿も見られるようになりましたよ」

「こんなことを頑張っていますよ」

と、具体的な成長や頑張りを伝えるようにしています。

我が子の成長が嬉しい反面、心配になるのは当然のこと。

子どもを信じること。そして、信じきれない自分を責めないこと。

どちらも大切にしていいんだと思うのです。

卒園はゴールじゃなく、ただの通過点

卒園前のこの時期は、成長と不安がいっぺんに押し寄せてくる季節。

ソワソワして当たり前。揺れて当たり前。

子どもたちはこれからも、迷って、立ち止まって、また前に進んでいきます。

私たち大人にできるのは、

「失敗しても戻ってこられる場所があるよ」

と伝え続けることなのかもしれません。

今日も玄関先で続く立ち話を横目に、私はそんなことを考えながら子どもたちを見送っています。



ライター:めじ

幼稚園、保育園と保育経験を重ね、今年で13年目に突入しました。保育の仕事の中で感じた思いや子どもたちとのやりとり、育児と仕事の両立の事など経験をもとに言葉にしています。


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