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「機内で寝るから大丈夫!」は実は危険!?元CAが年末フライトで遭遇した“ドクターコール騒動”の顛末

  • 2026.2.6
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元国際線CAの、かくまるめぐみです。

年末年始は慌ただしさを感じつつも、クリスマスやお正月を控えて街は華やかな雰囲気に包まれて、どこかウキウキする季節です。

そして、久しぶりに帰省先でご家族と正月を過ごされる方や、海外で年越しを計画されている方など、飛行機の利用を予定されている方も多いです。

ただし、忙しいとはいえ、飛行機を利用する際に「機内で寝るから大丈夫!前日の夜は徹夜で!」とお考えの方はご注意。

実際、疲れや寝不足をおして飛行機に搭乗したばかりに、機内でまさかの“ドクターコール”が発動され大騒動となったケースがありました。

そこで今日は、元国際線CAの私が年末のフライトに乗務した際に「緊急着陸か?」と騒然となった、驚きのエピソードをご紹介します。

【緊急事態】緊迫のドクターコール!

日本からアメリカ方面に向かう国際線での出来事です。年末のフライトということもあり、お仕事のお客様だけでなくご旅行のお客様も多く、機内は活気に満ちていました。

お食事のサービスが終わると、お客様は映画をご覧になったりお休みになったりと、思い思いの過ごし方で空の旅を楽しんでいるようでした。

しかし、私が飲み物を片手に機内を巡回していた時です。30代ほどの男性乗客に「すみません」と声を掛けられました。するとそのお客様は「気持ちが悪くて……」と一言発すると、白目をむいてガクッと脱力し、意識を失ってしまったのです。

「お客様!お客様!」とお声がけをしても、反応がありません。慌てて近くにいる客室乗務員に応援を頼むと、すぐに酸素ボンベやAEDを持って駆けつけてくれました。そして、座ったままの状態だったお客様を協力して通路に寝かせて、救命措置の準備を進めました。

しかし、呼吸や脈拍は確認できましたが意識は戻らず、イビキのような音まで聞こえ始めたのです。意識がない状態でのイビキは脳の病気も否定できないと判断し、チーフパーサーからお客様に向けてドクターコールをすることに。

「お客様の中でお医者様、看護師様、または医療従事者の方がいらっしゃいましたら、恐れ入りますがお近くの客室乗務員までお申し出ください」とアナウンスが流れると、機内は一瞬にして緊張感に包まれました。

幸いなことに、搭乗されていたお医者様にご協力いただく直前、その男性乗客はうっすらと目を開けて意識を取り戻したのです。意識のないお客様を目の前にしたほんの数分間は、客室乗務員にとって非常に長い時間に感じられました。

CAも唖然......乗客が倒れた真相とは?

ドクターコールに応じてくださった医師の方が、回復しかけた男性乗客に問診を始めると、耳を疑うような言葉が返ってきました。

「実は、この3日ほど忘年会続きで、睡眠時間がほとんど取れていませんでした。機内でぐっすり眠ろうと思って、お酒を飲んだら気分が悪くなってしまって……」。

どうやら、このお客様は海外に駐在中で、日本への出張で一時帰国していたそうです。久しぶりの帰国ということで、学生時代や地元のご友人たちが忘年会を開いてくれたとのこと。

ただ、短い日本滞在で仕事をしながら連日の忘年会をこなすという、まさに寝る間もないほどの疲労状態にあったのです。

“意識を失ってイビキをかいていた”という報告に、ドクターコールに協力してくださったお医者様も一瞬緊張された様子でしたが、この話を聞いて表情を緩められました。

 問診してくださった医師によると、「気分が悪くなって意識がなくなってしまったのは、恐らく寝不足と疲れ、そしてお酒の飲み過ぎが原因でしょう。イビキは脳の影響ではなく、寝不足からぐっすり寝てしまっていたのかもしれません。ただ、念のため、機内で意識をなくしイビキをかいていたことを伝えて、現地のクリニックを受診してください」とのことでした。

「脳の病気だったら一刻を争うため、緊急着陸か!」と客室乗務員の間でも緊張が走りましたが、原因が寝不足や疲労、お酒の飲み過ぎだと分かり胸を撫で下ろしました。

久しぶりに日本で会う気のおけないご友人たちとの忘年会は、さぞかし楽しい時間だったことでしょう。とはいえ、飛行機などでの長距離移動を控えている時には、いかに体調管理が重要かを改めて痛感する出来事となりました。

油断大敵!機内環境がもたらす「見えないリスク」とは?

「寝不足やお酒の飲み過ぎ程度で意識を失うなんて大袈裟な!」と思われるかもしれませんが、機内は地上と比べて気圧や湿度の関係から、疲労や体調不良を一気に悪化させる特殊な環境なのです。

機内は地上よりも気圧が低く、血液中の酸素分圧が低下します。実は、機内の気圧は富士山の五合目程度といわれるほどです。極度の疲労状態にあると体は酸素不足に耐えきれず、意識レベルの低下を招く危険性があります。

また、機内の湿度は極端に低いことから体表からの水分蒸発が促進され、脱水状態になりやすい環境です。特に、アルコールやカフェインは利尿作用があるため、脱水症状を悪化させてしまうこともあるので注意しましょう。

このように、地上とは大きく異なる機内環境においては、疲労や脱水が重なることでわずかな体調不良が意識喪失を引き起こす一因になると考えられています。

年末年始のフライトは要注意!

実は、年末年始は機内で体調を崩されるお客様が多い時期の一つです。

先ほどお話しした機内の低い気圧や乾燥といった環境だけでなく、寒い日本から常夏のリゾート地へとお出かけになって、気温差で体調を崩される方も少なくありません。

また、このエピソードのお客様のように、連日の忘年会や新年会などでお酒を飲む機会が増え、さらに年末の忙しさで疲れがたまるため、免疫力が下がりやすくなります。

こうした疲れの蓄積や免疫力の低下によって“地上では問題なくても、機内では体調を崩してしまう”ケースが増えてしまうのです。

飛行機のご利用を控えている時には、十分な睡眠と水分補給を心がけ疲れを溜め込まないようにしましょう。

そして、体調を万全に整えたうえで搭乗されて、安全で快適な空の旅をお楽しみくださいね。


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。


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