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雪の山道で“ノーマルタイヤ”のバスが立ち往生→運転士がSOSも…自治体「判断はお任せします」結末やいかに

  • 2026.2.11
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。車で山道を下るとき、突然雪が降り始めたら皆さんはどのように考えるでしょうか。

今回は、15年程前に自治体が運行する市内循環送迎バスで運行委託を受け、運転士から降雪の連絡が入ったときのお話です。あっという間に積もり出した雪に焦りを感じた運転士が停車したのは、ヘアピンカーブを下る手前でした。

ご存じのとおり、雪が降る山道は非常に危険です。私が運行管理者として、バスの安全確保に決断を迫られたときのエピソードをご紹介します。

決断に悩んだのは冬装備の問題だった

市内循環バスを運行していたのは南北に伸びる市で、北部の一部は山の中にありました。市街ではめったに降らない雪が降った当時、山の中ではあっという間に積もるほどの降雪が確認されました。

バスが停車したと報告を受けた場所は、山中の住宅地でUターンをした地点で、その後のルートにはヘアピンカーブが存在します。このへピンカーブは雨や落ち葉にも注意しなければスリップするほど滑りやすい場所でした。

すでに、路面にうっすら雪が積もり始めていたことから、運転士は私に報告してきた状況です。

このとき、私が決断に悩んだのは送迎バスの冬装備でした。運行のほとんどが市街地であり、降雪や凍結はほとんどありません。自治体が市内循環バスに特別な冬装備は不要と判断していたからです。

つまり、スタッドレスタイヤを装着していない循環バスは、雪によるスリップや山の中で立往生するリスクがあったのです。しかし、悩んでいる間にも雪はやむ気配を見せず、私自身も焦りを感じていたことを覚えています。

循環バスの運行を決めるはずの自治体から丸投げ?

良くも悪くも運行請負業者の担当窓口である私と自治体は、良好な関係を築いていました。そのため、工事による迂回やバス停の一時使用停止などの対応も、運転士が困らないよう任せてもらっていました。

この件に関しても「判断はお任せします」との連絡があり、まさか、降雪によるバスの運行可否まで判断を丸投げされるとは思っていませんでした。

循環バスは山の上、今運休にすればバスは降りてこれず、乗客や運転士の対応も必要。だからといって、危険を犯して急こう配を下るリスクを取る方が良いとは限りません。

時計を見ると14時を過ぎたところで、次のバスも間もなく山を上る運行ルートに入る時間帯でした。私は再び運転士へ連絡し、状況を確認しました。

すると、雪はまだ降り続いており、道路にも薄っすらと積もり出したとの報告がありました。もうこれ以上は引き延ばせないと感じた私は、判断を下しました。

リスクを最小限に抑えるための判断

私は万が一に備え、急こう配や凍結しているルートは避けるよう、4台すべての巡回バスに連絡しました。また、すでに立ち往生となりつつあるバスは路肩に駐車し、乗客6名と運転士は徒歩で下ってもらうことにしました。

幸いにも、バスが停車しているのは最後の急こう配となるヘアピンカーブです。徒歩でも問題ない距離でした。また、次の便となる巡回バスが同じ場所へと向かっていたため、上り坂に入る前に6名と運転士を乗せてUターンするよう指示しました。

その後、自治体にも手配した内容を伝えました。雪はその後も降り続き、現地では5cmほどの積雪が観測されました。

しかし、駐車したバスをそのまま放置すれば、翌日の運行に差し支えます。路線バスのように代わりのバスはありません。そこで、私は同僚と二人で急こう配のカーブに除雪剤を撒き、チェーンを巻いて坂道を下ったときは、何度も冷や汗をかきました。

入庫し、タイヤ周りを洗い流したときには20時を過ぎており、どっと疲れたことを今でも覚えています。

送迎バスでは運転士だけでなく管理者にも決断が必要

自治体だけでなく、塾や学校、幼稚園などの送迎バス運行には、連携が不可欠です。運転士と運行管理者、そしてバスを運行する施設の担当者、この3者が連携しなければ、バスの利用者に迷惑がかかります。

また、運転士ばかりに判断を任せすぎると、重圧から長く勤務できなくなってしまうこともあります。

私はこのとき、4台の巡回バスを運行する運転士が、阿吽の呼吸で動いてくれたことに感動しました。相手がどのように動いて欲しいのかを瞬時に読み取り、素早く助け合ってくれたからです。

あのときほど、人との連携で達成感を覚えたことは未だにありません。だからこそ、私は今でも助け合う気持ちを忘れずにいれると言っても、過言ではないでしょう。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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