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「触れるだけで命に関わる」給食時間は“戦場”だった…元教員が明かす、緻密に計算された連携の裏側

  • 2026.2.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元小学校教員ライターの、みずいろ文具です。

学校の給食って、栄養たっぷりでおいしいんですよね。
退職した今でも、ふと「あの給食、食べたいな」とお気に入りのメニューを思い出すことがあります。

でも現役の頃の給食時間は、正直味わう余裕なんて全くありませんでした。
配膳、席の調整、おかわりの見守り、片付けの声かけ…一息つく間もなく終わっていきます。

その中でも、いちばん気を遣うのがアレルギー対応 でした。

該当の児童を丁寧に確認

体感として、毎年1クラスに2〜3人は食物アレルギーをもつ子どもがいました。
そして中には、アレルゲンを「食べる」だけでなく、「触れる」だけでも命にかかわる子もいます。

だから担任は、給食が届く前に必ずアレルギーをもつ児童のメニューについて確認をします。

「今日は誰が除去食?」「代替食はある?」など。確認の連続です。

献立表と家庭の連携で、事故を防いでいる

アレルギー対応は、担任だけで完結しません。

栄養教諭(栄養の先生)から、次の月の献立が保護者に渡り、家庭側が「除去するもの」「食べられるもの」を事前に確認します。除去食にできる日は除去で対応し、難しい場合は代替食を家庭から持参してもらうこともあります。

「みんなと同じ給食」を目指しますが、無理はしません。

安全を最優先にして、できる方法を一緒に探していく、そんなやり取りが積み重なっています。

そして当日は、間違いが起きない仕組みが大切です。
安全確保の仕組みは学校によって様々ですが、例えば、私の勤務校では、配膳の動線を工夫したり。

私の勤務していた学校では、除去食や代替食を食べる様子を栄養教諭が確認しに学級を回っていました。

どんなに忙しくても、子どもの命にかかわることですから、チェックは厳重に行います。

エピペン研修は、毎年全員が受ける

緊急時に備えて、文部科学省の指針に基づき、多くの学校では緊急時に備え、年度当初に全職員を対象としたエピペン研修を実施しています。エピペンは、重いアレルギー反応が出たときに命を守るために使う、緊急用の自己注射薬です。

「誰が、どこで保管して、どんな流れで動くのか」万が一の時に迷いが出ないよう、全員で確認します。

もちろん、どのように使うのか、模型を使ってエピペンを注射する流れも一人一人が実習します。

こういう研修を受けるたびに、給食は子どもたちの命を守る仕事の一部なんだ、と強く感じていました。

近年は“アレルギー以外”の除去食も増えてきた

もうひとつ、令和の給食で増えていると感じるのが、アレルギー以外の理由での配慮です。

外国籍の児童が増えてきたこともあり、宗教や文化的な背景で食べないものがある子もいます。

たとえば、特定の食材を口にしない。あるいは加工品に含まれる成分にも配慮が必要。

実際に豚肉を食べないという方針のご家庭の子どもを担任した時は、豚肉そのものだけでなく、豚肉のエキスや油が入ったものもNGとのことで、細かい確認が必要でした。

大切なのは、「食べない」こと自体を特別扱いせず、子どもの尊厳を守ることです。

「自分だけ違う」を減らすフォローも、担任の仕事

除去食や代替食が必要な子は、どうしても“みんなと違う”状況になります。

低学年ならなおさら、「なんで自分だけ?」と感じてしまうこともありますし、周りの子どもが「どうして○○さんは食べないの?」と聞いてくることも。

だから私は、「違いを受け入れる」クラスの空気づくりを意識していました。
大切なのは、「体質はそれぞれ違う」「命を守るための工夫なんだ」と、子どもたちが自然に受け止められる雰囲気を作ること。

それが、本人の心を守ることにもつながるのです。

丁寧すぎるくらいで、ちょうどいい

給食は、子どもたちの成長を支える大切な時間です。 同時に、現場では命を守る緊張感もあります。

栄養教諭、調理員さん、担任、保護者—たくさんの大人が連携して、ようやく「当たり前の給食時間」が成り立っています。

子どもたちが安心して「いただきます」と言えるために。
令和の給食は、見えないところで今日も静かにアップデートされ続けています。



ライター:みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


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