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後輩CA「手荷物は上の棚へ」とご案内→客「足元でいいと言われた」と反論してきて…その後、先輩CAが取った“行動”とは?

  • 2026.1.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

大手航空会社で10年間、CAとして勤務しておりましたSAKURAです。

機内という「地上とは異なるルールがある空間」は、お客様との間に摩擦が生まれやすい場所でもあります。

皆さんは、お店などでうっかりミスをしてしまい、店員さんから注意を促されたことはありますか? その際、言われていることは正しいのに「なんだか面白くない」と感じた経験、一度はあるのではないでしょうか。

それは、接客する側が無意識に発している「ある空気」が原因かもしれません。

今回は、私が新人CAとのフライト中に経験した、機内での手荷物収納を巡るエピソードを例に、「正論」よりも大切にすべきプロの思考プロセスをご紹介します。

楽しい旅行が一転、不穏な空気に

それは羽田空港からある地方都市へ向かう、観光客の多い国内線での出来事でした。

新人CAのA子(仮名)は、和やかな雰囲気に合わせ「親しみやすさ」を前面に出したご案内をしていました。

機内後方の座席で、年配の3人組のお客様 B様(仮名)に対し、A子が「大きな手荷物は上の物入れへお願いします」と案内した時のことです。

B様が突然、「あなた新人なの?ちゃんと教育されてる?」と、声を荒らげたのです。

反対側の通路にいた私がすぐに駆けつけると、B様は「チェックイン時には足元でいいと言われた。なぜ今さら上に入れろと言うのか」と主張されました。

しかし、そのバッグは前の座席下には収まりきらないサイズ。安全のルール上、どうしても上の棚に収納していただく必要があります。

お連れ様からは「言われちゃったね」と冗談が飛び、周囲の視線も集まっていました。

楽しい旅行のはずが、一転して不穏な空気に包まれてしまったのです。

お客様が本当に守りたかったもの

私は、A子と同じようにルールを繰り返し説明しても、火に油を注ぐだけだと直感しました。

そこで私は、「私どもの説明不足」という言葉をクッションに使い、最初にお詫びをしました。

「本来はカウンターでお伝えすべきことでしたが、私どもの説明不足で申し訳ございません」

実際にはカウンターで正しく案内されていたかもしれません。しかし、ここで白黒をつけることよりも、B様に「自分は間違ったことをしていない(案内がなかったからだ)」という安心感を持っていただくことを優先しました。

「聞いていないのだから、怒るのも無理はない」という寄り添いの姿勢を示したのです。

そうすることで、B様はスッと肩の力を抜き、「まあ、安全のためなら仕方ないわね」と、笑顔でバッグを上の棚に収めてくださったのです。

今回のケースでは、フライト後にA子へこう伝えました。「ルールを伝えるだけでなく、お客様がそれを受け入れやすいように言葉を選ぶことがプロの仕事だよ」

相手のプライドを尊重し、納得して動いていただく技術。それを新人のうちに肌で感じられたことは、A子にとっても大きな糧になったと確信しています。

正しさよりも「逃げ場」を作る

接客において、ルールや正論を押し通すだけでは、時としてお客様を追い詰めてしまいます。

相手の感情の裏側を読み取り、相手を尊重する「一言」を添えること。 その「余白のある対応」が、険悪な空気を一瞬で変え、信頼へと繋げるのです。 皆さんも、正しさの前に「相手の居心地」を守る工夫を、ぜひ実践してみてください。


ライター:SAKURA * 心を読む元国際線CA

日系大手航空会社にて10年間、客室乗務員(CA)として勤務。国内線・国際線を経験し、多種多様なお客様と接する中で「感情を読み解く力」を磨く。客室責任者としてVIP対応や後輩育成に携わる傍ら、社内の人材教育やグループ会社での業務にも携わり、多角的な視点から接客のあり方を見つめてきた。

現在は、その鋭い洞察力を活かし、言葉だけでない、「心理的・物理的アプローチによるクレーム回避術」を発信するライターとして活動中。国内線での細やかな気配りから国際線での難しい状況判断まで、現場での実体験に基づいた「心に届く接客のヒント」を言語化し、接客業にとどまらず、人と人とがよりよい関係を築けるサポートをしている。


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