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弁当屋で、業者の“手配ミス”が発覚→「今日は品切れでいくしかない」諦めていたところ…店長が下した“予想外の判断”とは?

  • 2026.1.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

もしあなたが飲食店で、看板メニューの食材が届いていないことに開店直前に気づいたら、どう対応しますか?

食材の配送トラブルは、現場の士気を一瞬で奪います。特にそれが、代替の利かない「店の看板商品」であればなおさらです。「今日は品切れでいくしかない」 そう諦めるのは簡単です。しかし、そこでの判断が「また来たい店」か「ただの店」かの分かれ道となりるかもしれません。

今回は、絶体絶命の食材欠品トラブルを、店長自らが走り、赤字覚悟で乗り越えた、私の実体験をお話しします。

開店1時間前の悪夢…看板食材「鶏肉」が届いていない

その日、開店前の検品をしていた私は、納品伝票と冷蔵庫を何度も見比べました。店の看板メニューであり、売上の要である「唐揚げ弁当」。その主役である鶏肉が、配送業者の手違いで1キロも届いていなかったのです。 。

「今日は品切れでいくしかないですね…」

スタッフたちは諦めの表情を浮かべました。時計を見れば、開店まで残り60分。通常、当店の唐揚げは特製ダレにじっくり漬け込むのが味の決め手です。今から肉を用意しても、いつもの味には間に合わない――。誰もがそう思う絶望的な状況でした。通常なら「本日は完売しました」の札を出して終わる場面です。

しかし、私の脳裏に浮かんだのは、この唐揚げを楽しみに毎日来店される常連様たちの顔でした ここで「本日は完売しました」の札を出すのは簡単です。しかし、それはプロの仕事ではない。私は腹を括り、スタッフに向かって叫びました。

赤字覚悟の強行突破。「技術」で時間をカバー

私は即座に「自力調達」を決断しました。

「メニューは絶対に落とさない。私が今から近隣のスーパーをハシゴして、鶏肉を確保してくる!」

驚くスタッフに、私は続けて指示を出しました。

「私が戻るまでに、唐揚げの漬け込みダレをいつもの倍量で準備し、カットの準備を整えて待機してくれ。戻り次第、味を入れて揚げる!」

ここで頭をよぎったのは「利益」のことです。スーパーの小売価格で肉を買えば、原価は跳ね上がり、今日の利益はほぼ吹き飛びます。

それでも、お客様が来店されて「ありません」と断られる失望感=「信頼の欠損」に比べれば、数千円の赤字など安いものだと判断しました。

トラブルを「チームの結束」に変える

私はスーパーを3軒ハシゴし、鮮度と肉質が良いものを厳選して確保。全速力で店に戻りました。

店では、私の指示通りにスタッフが「タレ」と「バット」を用意して待ち構えていました。

阿吽の呼吸で肉を切り、タレに揉み込み、揚げる。

開店のチャイムと同時に、最初のお客様へいつもと変わらない熱々の「唐揚げ弁当」を手渡すことができました。

ピークタイム終了後、スタッフたちは疲れ果てていましたが、その表情は晴れやかでした。

「店長が走ってくれたから、私たちもスイッチが入りました」 そこには、以前よりも強い一体感が生まれていました。

目先の損得より「約束」を守る

この経験から、私は以下の2つを徹底するようになりました。

  1. 当日朝の早急なダブルチェック体制:業者任せにせず、自分たちの目で在庫を確認する時間の前倒し。
  2. 代替調達先リストの作成:万が一の際、短時間で味を仕上げるための調理フローの確立。

お客様が見ているのは、トラブルが起きた時に「どれだけ自分たちのために動いてくれたか」という姿勢です。 目先の利益を捨ててでも守った「お客様との約束」。その経験が、スタッフの意識を変え、店をより強いチームにしてくれたと確信しています。


ライター:松田 正太郎(まつだ しょうたろう)

鹿児島県を拠点に活動するフリーライター兼、個人事業主。前職ではお弁当屋の店長として9年間勤務。延べ10万人以上の接客に携わり、現場でのクレーム対応やスタッフマネジメントの最前線を経験しました。「行動ファースト・構造思考」を信条とし、現場のリアルな空気感を言語化しながら、読者が明日から実践できる解決策を提示する執筆を得意としています。現在は自営業を営む傍ら、AIツールを駆使した業務効率化やビジネス設計を行い、圧倒的なスピード感と納期遵守、そしてプロとしての徹底した現場視点を持った記事をお届けします。