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保護者「たった5分も待てないのか」模試当日の送迎バスに怒りのクレーム…運転士が迎えた“理不尽な結末”

  • 2026.3.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

バスを利用するとき、「そのバスちょっと待って!」と思うことはありませんか?なかには「待ってください!」と運転士に声をかけた経験がある人も少なくないようです。

今回は、13年ほど前に塾の送迎バスに乗務しているときに経験した「ちょっと待って」のお話を紹介します。バスの運転士も、待ってあげたい気持ちは山々です。

しかし、待てない理由があることも事実…。「ちょっと待って」の言葉に隠れた運転士の孤独な葛藤を紹介します。

5分くらい…だが運転士にとっては「されど5分」

塾で模試を受ける生徒のために運行する送迎バスには、初めて乗車する生徒も少なくありません。そのため、慣れた運行ルートであっても、決められたバス停で生徒を見逃さないよう、運転士はしっかりと目視して注意深く運行します。

次のバス停が近づき、ふと気づくとバス停には子どもではなく大人の姿がありました。欠席などの連絡のため、保護者がバス停で待っている可能性もあり、私は停車して乗降扉を開けました。

バス停で待っていたのは生徒の母親でした。そして、「もうすぐ来るので待っていてください。5分ほどで来ると思います」と焦りながら私に伝えてきました。

続いて、生徒の母親は「5分もかからないと思いますので」と子どもが来るのを待とうとします。

しかし、塾の模試では塾生だけでなく、一般生徒もスクールバスを利用するため、いつもより広域を運行します。私自身もバスを停車させて待ってあげたい気持ちでいっぱいでした。

とはいえ、当日の運行ダイヤは厳しいもので、冷静に考えると「待てない」結論を出すしかありません。

広域を走るバスは少しの遅れが命取り

広域を運行する当日は、たとえ1分であっても遅れたくないのが本音です。保護者の気持ちはもちろんわかるものの、他の生徒に迷惑をかけることはできません。

バスは線路上を走っているわけではなく、長い信号待ちや思いもよらぬ渋滞に巻き込まれることもあります。厳しい運行ダイヤの場合、1分の遅れが後のバス停では2分、3分の遅れへと拡大してしまいます。

つまり、後に控えるバス停の生徒は、その分バスを待たなければなりません。きちんと時間通りに来ている生徒からすれば、遅れてくる生徒が悪いということになります。

「たくさんのバス停で生徒が待っているため、バスを停めて待つことはできません。申し訳ございませんが、時間を過ぎているので発車させていただきます。」

生徒の母親へ謝罪して乗降扉を閉め、私はバスを発進させました。このとき、「母親の表情からして、クレームになるだろうな…」と感じたのを今でも覚えています。

予想通り「バスに乗れなかった」とクレームに…

やや遅れつつ模試の会場に到着し、生徒が降車すると塾のスタッフが私に声をかけてきました。

「バスに乗れなかったと苦情が入っていますが、バス停で見逃しとかしませんでした?」

悲しいかな、運転士というのは厳しい運行ルールを守った結果のお叱りであっても、最初は見逃しや運行ルートの走行ミスを疑われるものです。「5分待って」と保護者に言われたものの、遅れが生じるため、謝罪したうえで発車させたことを伝えました。

塾のスタッフは状況から仕方ないと納得してくれたものの、このとき保護者は謝罪を求めていたようです。

改めて、スタッフから状況を保護者に伝えてもらいましたが、「たった5分も待てないのか」と保護者の怒りは収まらなかったようです。

そのため、バスを運行していた私自身が生徒の自宅へ向かい、保護者へ説明し改めて謝罪しました。

運転士は理由なく乗客や利用者を見捨てない

生徒の保護者には、バスは時刻表通り走っていると他の生徒は思って待っていることを伝えました。

1つのバス停で待つことが、他の生徒をさらに待たせてしまうこと、最悪の場合はバスが間に合わず模試を受けられないリスクも分かってほしかったのです。

一人ひとりの理由や状況に合わせてバスを走らせることはできません。特に、塾やスイミングなど、到着時間が決まっている場合は、バスを時刻表通りに運行させることが運転士の使命です。

このとき、保護者には納得してもらえましたが、そのほかにも「ちょっと待って」は多いものです。塾に限らず、スクールバスを利用するときは、子どもだけでなく保護者も時間ルールを守らなければなりません。

同じ子育て中の母親として、改めて子育てにおける子どもの教育を考えさせられた出来事でした。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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