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依頼人「え、そのままじゃダメなんですか」“引越し前の荷物回収”での落とし穴…20kgの荷物を前に、元宅配員が下した決断

  • 2026.3.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元宅配員のmiakoです。

引っ越しの際、レンタル品の返却で思わぬ手間が発生した経験はありませんか?

家電や家具のレンタルサービスは生活をとても便利にしてくれます。
しかし、いざ解約や転居となると、契約時には気に留めていなかった返却手順が意外と細かく決まっていることがあります。

「渡すだけだと思っていたのに、そうじゃなかった」といった経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、引っ越し直前のお客様のもとへウォーターサーバーの回収に伺ったときに起きた、ちょっとしたドタバタのお話です。

夕方の配達、プラス回収の指示

その日は18時半ごろのことでした。

私はとあるアパートの2階に住むお客様のもとへ、荷物をお届けに向かっていました。
お届けするのはA4サイズの封筒1通。
しかしその日は、荷物の配達だけでなく、回収の指示も一緒に受けていました。

回収品はウォーターサーバーです。

ウォーターサーバーと一口に言っても、サイズやデザインはさまざまです。
高さ120cmほどの上部にタンクを乗せるタイプが定番ですが、小型のものもあり、手軽においしい水やすぐに使えるお湯が楽しめる便利さから、幅広い世帯に人気があります。
多くの場合はレンタル品のため、解約や引っ越し、モデルチェンジの際には本体をメーカーへ返却するのが決まりとなっています。

今回のお客様も、事情があって返品の運びとなったのでしょう。
私はどのサイズのウォーターサーバーが来てもいいように、トラックの荷台にスペースを確保してから台車を引いてお客様のもとへ向かいました。

チャイムを鳴らすと、出てきてくださったのは20代後半くらいの女性でした。
玄関脇には段ボール箱が並んでおり、引っ越しの準備中であることが一目でわかりました。

同時に届いた封筒の中身

まずお届け物のA4封筒をお渡しし、受け取りのサインをいただきました。

封筒の差出人を確認すると、今回回収するウォーターサーバーのメーカーと同じ名前でした。
長年の経験から、この封筒の中身がウォーターサーバーの返却に関係するものだと直感しました。

「お荷物の回収前に、まずそちらの封筒の中身が必要になると思いますので、開けていただけますか?」

そうお伝えすると、お客様はその場で封筒を開封しました。
中から出てきたのは、大きな透明のビニール袋と、返却手順が記された説明書きでした。

「え、これって今から必要なんですか?」

お客様は少し戸惑った様子でビニール袋を広げました。

「回収するのはウォーターサーバーと伺っておりますがお間違いないでしょうか?」
「そうです。ちょっと持ってきますね」

そう言って、玄関すぐそばの部屋からウォーターサーバーを引きずるように持ってきてくださいました。
120cmほどの大きいものでした。

「すみません、水抜きは済んでいますか?」
「はい、大丈夫です」

さあ、持っていってください、と言いたげな様子でしたが、申し訳ありません。まだひと手間残っているのです。

「お届けした説明書きに、本体をそのビニール袋に入れてからお渡しくださいと書いてあると思うのですが…」
「え?そのままじゃダメなんですか?…あ、本当だ。書いてありますね。そのまま渡せばよかったんじゃなかったんですね」

返却の際、本体の保護と水漏れ防止のため、ビニール袋をかぶせてから引き渡すケースが多くあります。
今回お届けした封筒は、そのためのものだったのです。

お客様にとっては予想外の手順だったようで、表情に戸惑いの色が見えました。

袋に入れる、その前に

説明書きに従い、ビニール袋をウォーターサーバーの下から滑り込ませる作業に入ります。
これは一人では難しいので、お客様の手をお借りします。

「では私が少し持ち上げますので、お客様はビニール袋の口を広げてウォーターサーバーの下に滑り込ませてください」

そうお伝えすると、お客様はしゃがみ込んでビニール袋を広げ、下に滑り込ませようとしてくださいました。
私もウォーターサーバーを持ち上げようとしましたが、想像以上に重く、本体の中からちゃぷんと水の音がしました。

ゆっくりと持ち上げ、お客様がビニール袋を下に滑り込ませたところで、一旦ウォーターサーバーを下ろしました。

さあ、あとは袋を上に引き上げて縛るだけ。
そう思ったとき、ふと以前の回収を思い出しました。

以前伺ったウォーターサーバーの回収では、一部の部品はお客様側で処分するという指示があったのです。

「すみません、ちょっと確認なんですが、説明書きに回収しないものの指示は書いてありますか?」
「えっと…あ、ウォーターサーバーの底のトレイは自分で処分してくださいって書いてあります。あとボトルカバーもこちらで処分するんですね」

ウォーターサーバーを確認すると、底のトレイがついたままでした。
完全に袋に入れる前に気づけてよかった、と内心ほっとしました。

ボトルカバーはお客様の足元に置いてありました。
一緒に袋に入れると口が縛れなくなる可能性があったため、回収対象外とわかってひとまず安心しました。

ボトルカバーが加わるとビニール袋が縛れなくなる可能性があったためです。
できる限り、メーカーの指示に従って回収するようにしています。

「わかりました。もう一度ウォーターサーバーを持ち上げますので、底のトレイを外していただけますか?」

再び持ち上げ、トレイを取り外してもらいました。

改めてビニール袋を上に引き上げ、あまり余裕のない袋の口をしっかりと縛り、袋の外に送り状を貼って、引き取りの控えをお客様にお渡ししました。

重量との格闘、そして階段へ

さて、あとは階段下の荷台まで運ぶだけです。

「運ぶの手伝いましょうか?」

お客様がそう申し出てくださいました。
ありがたい言葉でしたが、ここはアパートの2階。エレベーターもなく階段から運び下ろす必要があります。

お客様は小柄な方です。
万が一お客様にお怪我をさせてしまっては大変ですし、お互いバランスを崩してウォーターサーバーを転落させてしまっても困ります。

今回はご厚意を丁重にお断りしました。

重たいのは確かですが、経験上、ここは一人で下ろした方が無難だと感じたのです。

幸い、持ち上げた際に姿勢を正せたことで、何とか一人でバランスを取って運べそうだと感じました。

一段一段、慎重に階段を下りるたびに、本体の中からちゃぷんと水の音がします。水抜きが完全ではなかったのかもしれません。
持ち上げた感覚では、20kgほどはあるように感じました。

ゆっくりと一段ずつ下りきり、用意しておいた台車に載せてバンドで軽く固定し、慎重に、しかし急ぎ足でトラックに向かいました。
トラックの荷台に乗せた後も輸送中の転倒を防ぐため、トラック内の柱と紐でしっかりと固定し、倒れないようにしました。

ここまでで、軽く20分はかかったでしょうか。
もちろん、この後もまだ15件近くのお客様が待っています。

息を整えて、次のお客様のもとへと車を走らせました。

帰庫後に発覚した水抜き問題

全ての配達を終え、営業所に戻ったのはそれからしばらく後のことでした。

荷台からウォーターサーバーを下ろそうとしたとき、ビニール袋の底にわずかに水が溜まっているのに気づきました。
やはり、本体の水抜きが完全ではなかったようです。

蛇口や背面の排水口からしっかり抜いたつもりでも、機種によっては、安全上の構造からどうしても内部の管やフィルター内に300mlから1リットル程の水が残ることがあるそうです。
その残った水が運搬中に漏れ出てしまうことがあるため、ビニール袋はそういった水濡れ被害から周囲の荷物を守る役割も担っています。

いくら厚手の袋でも、衝撃や思わぬ摩擦で穴が開いてしまうことがあります。

溜まった水が多いと感じた場合は一旦袋の縛りをほどいて水を捨てることもありますが、今回はそこまでではないと判断し、引きずらず倒さないよう注意しながらそのまま発送することにしました。

お客様は手順通りに水抜きをしてくださっていたと思いますが、構造上避けられない部分もあります。
あくまでもわずかな量でしたので、大事には至りませんでした。

レンタル品の返却は事前確認が肝心

生活をより便利にしてくれるレンタル品ですが、転居や解約が決まったとき、返却手順が意外と細かく決まっていることがあります。
契約時に説明を受けていても、いざその日が来ると忘れてしまっていることも珍しくありません。

引っ越し直前は何かと慌ただしく、時間に余裕がないことも多いものです。
しかし、返却手順の確認を後回しにしてしまうと、今回のように回収当日に思わぬ手間が発生することがあります。
解約や転居が決まった段階で、早めに手順を確認しておくことをおすすめします。

私たち宅配員も、お客様と一緒に手順を確認しながら丁寧に進めることを大切にしています。
時にはお客様にご協力をお願いすることもありますが、スムーズな返却のためにぜひ快くお付き合いいただけると助かります。

レンタル品の返却は「渡すだけ」ではないことも。
事前のひと手間が、当日の焦りを防ぐことにつながるのです。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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