1. トップ
  2. レストランの入り口で立ち尽くす客→店員「どうしたらいいのか」困り果てていると…その後、編み出した「解決策」に驚き

レストランの入り口で立ち尽くす客→店員「どうしたらいいのか」困り果てていると…その後、編み出した「解決策」に驚き

  • 2026.1.31
undefined
出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

接客業をしていると、時に「どう対応すれば正解なのか分からない」というお客様に出会います。良かれと思ってマニュアル通りに接した結果、かえって相手を怒らせてしまい、トラブルを招く……そんな経験はありませんか?

 私がレストラン勤務時代に出会ったのは、「入り口で立ち止まり、なかなか中に入ってこない」という不思議な常連のおばあさんでした。

今回は、スタッフ全員が困惑したその状況を、どうやって「心地よい空間」に変えたのか。私が現場で学んだ「型にはめない接客」についてお話しします。

毎朝の緊張感。入り口を塞ぐお客様

当時、私はレストランで朝食やランチの時間帯を担当していました。そのおばあさんは常連様なのですが、来店されるたびに現場に緊張が走ります。

なぜなら、毎回入り口で立ち止まり、その場でじっと佇まれ、ご自身のペースを崩されないからです。

忙しいランチタイム、入り口はお客様の出入りで混み合います。当然、スタッフは親切心でこう声をかけます。

「いらっしゃいませ、中へどうぞ」

しかし、その言葉が引き金でした。おばあさんは突然不機嫌になり、時には怒り出してしまうのです。 動線を塞がれて困る他のお客様、「どうしたらいいのか」とオロオロする新人スタッフ。

私には比較的気を許してくれていたものの、気難しい性格であることは変わりません。たまに店内に入りカレーを注文されることもありましたが、その際も提供方法に強いこだわりがあり、対応には細心の注意が必要でした。

「ご案内しない」という決断

マニュアル通りなら、入り口で立ち止まるお客様には「お席へご案内する」のが正解です。しかし、このおばあさんにそのマニュアルは通用しません。

そこで私は、ある決断をしました。

「このお客様を、お店のルールにはめるのをやめよう」

私は、あえて「誘導」することを一切やめました。入り口で立ち止まっていても、「中へどうぞ」とは言いません。その代わり、ただ一言、自然なトーンでこう声をかけることにしたのです。

「こんにちは。今日はいい天気ですね」「ごゆっくりどうぞ」

無理に動かそうとせず、ただそこにいることを肯定する。 内心では「他のお客様の邪魔になってしまうかも」という焦りもありましたが、それ以上に「この人にはこの人なりの“普通”があるんだ」と腹を括ったのです。

すると、不思議なことが起きました。 今まで眉間にシワを寄せていたおばあさんの表情が、ふっと和らいだのです。

マニュアルを飛び越えて見えたもの

結果として、強い言葉で注意したり、マニュアル通りに誘導したりするよりも、ただ「挨拶」をするだけのほうが、現場の空気は圧倒的に穏やかになりました。

おばあさんは自分のペースで気が向けば中に入ってくるし、入らなければそのまま帰っていく。それで良しとしたのです。

この経験を経て、私はチーム全体に「お客様を型にはめない」という意識を共有しました。そう決めたことで、スタッフの過度な緊張が解けました。スタッフがリラックスすれば、その空気感は他のお客様にも伝わります。結果として、店全体のトラブルも減っていきました。

その人の「ルール」を尊重する

接客において、マニュアルは大切です。でも、すべてのお客様を同じ枠に当てはめることはできません。

「普通はこうする」というこちらの常識が、相手にとってはストレスになることもあります。 大切なのは、目の前にいるその人の「ペース」や「背景」を尊重し、自然に寄り添うこと。

もしあなたが「どう対応していいか分からない」お客様に出会ったら、一度マニュアルを置いて、ただ一人の人間として「こんにちは」と声をかけてみてください。 そこから、新しい関係性が生まれるかもしれません。


ライター:東城史枝(トウジョウフミエ)

バリ在住のフリーランスWebライター。旅行・生活・グルメを中心に執筆しています。
読者に寄り添い、日常を少し心地よくする文章を届けたいと思っています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】