「お年玉、5,000円？ケチね」と嫌味を言う親戚。だが、子供の無邪気な一言で空気が一変【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

お正月、親戚一同が集まる本家での出来事です。

私は義姉の子供に、お年玉として五千円を渡しました。

今の相場としては妥当な金額だと思っていたのですが、それを見ていた義姉が鼻で笑いながら言い放ったのです。

「あら、お年玉、5,000円？ケチね。今どき5,000円なんて、おもちゃ一つ買ったら終わりじゃない。うちの家系なら、せめて一万円は包むのが常識だと思ってたわ」

周囲の空気が凍りつきました。義姉は昔から、いかに自分が裕福な生活をしているかを自慢するのが大好きな人でした。

新年早々揉めたくない私は、苦笑いして受け流そうとしましたが、義姉は「子供の教育にはお金をかけないと」「うちは贅沢させてるから」と、聞いてもいない自慢話を延々と続けます。

すると、お年玉を手にしていた義姉の子供が、不思議そうな顔をして母親を見上げました。そして、静まり返った部屋に響き渡るような声でこう言ったのです。

「ねえママ、どうして嘘つくの？去年のお年玉も、ママが『お金がないから』って全部取っちゃったじゃない。昨日もパパに『今月も赤字だからお年玉は安く済ませてよ！』って怒鳴ってたよね？」

その瞬間、部屋の中は文字通り「シーン」と静まり返りました。先ほどまで贅沢自慢をしていた義姉の顔は、みるみるうちに真っ赤になります。

「そ、それは将来のために預かってるだけで……」

義姉は必死に言い訳をしましたが、子供はさらに追い打ちをかけます。

「違うよ！ママ、そのお金で新しいブランドのバッグ買ってたもん。僕には『お金がないから我慢して』って言うのに、ママだけずるいよ！」

周囲の親戚たちは、軽蔑の眼差しを彼女に向けました。見栄を張って他人をケチ呼ばわりしておきながら、実は子供のお年玉を使い込み、家計も火の車だったことが露呈してしまったのです。

義姉は居たたまれなくなったのか、逃げるようにその場を去っていきました。子供の無邪気な正論ほど、恐ろしいものはありませんね。

私は少しだけ胸がすくような思いで、温かいお茶を啜りました。

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