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「ヒートショック」は心臓&脳だけでなく“目”にもダメージ…失明リスクも 日常生活でやってはいけない5つの“NG習慣”【眼科医解説】

  • 2025.12.31
ヒートショックが目にも悪影響を与える理由とは?(画像はイメージ)
ヒートショックが目にも悪影響を与える理由とは?(画像はイメージ)

厳しい冷え込みが続くこの季節、主に暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室への移動に伴う寒暖差によって、心臓や脳に健康被害が生じる「ヒートショック」に多くの人が注意を払っていると思います。しかし、くらかず眼科(さいたま市見沼区)院長で眼科医の倉員敏明さんによると、ヒートショックによる急激な寒暖差がダメージを与えるのは、心臓や脳の血管だけではなく、実は「目」にも深刻なダメージを与えるといいます。冬にリスクが高まる「眼圧」の上昇のメカニズムのほか、日常生活でついやりがちな危険なNG行為や目を保護するための対策などについて、倉員さんが解説します。

急性緑内障発作や眼底出血の発症リスク増

私たちの体は、気温の変化に合わせて「自律神経」が血管をコントロールしています。ここに、血圧と眼圧が連動してしまう深い理由があります。

寒さを感じると、体は熱を逃がさないように交感神経(興奮モード)を働かせ、血管を収縮させます。ホースの口を狭めると水の勢いが増すように、血管が縮むと血圧は急上昇します。実はこのとき、目の中でも同じような変化が起きています。

目の形状を保つための水である「房水」は血液から作られます。血圧が上がると目の組織への圧力も増し、通常よりも多くの房水が作られてしまいます。さらに寒さによる血管収縮で、房水を排出する「線維柱帯」の網目が狭くなったり、排出先の静脈の圧力が高まったりして、水はけが悪くなります。このダブルパンチにより、冬は眼圧が高くなりやすい傾向にあります。

特に緑内障の予備軍の人や、目の血管が弱っている人にとっては、1つの寒暖差が「急性緑内障発作」や「眼底出血(網膜静脈閉塞症)」という、失明にもつながるトラブルの引き金になりかねないのです。

暗い部屋でのスマホの操作はNG

日常の何気ない行動が、寒さと組み合わさることで目の負担を激増させている可能性があります。特に注意すべき5つのNG行為は次の通りです。

【NG行為】(1)寒い脱衣所で過ごした後、熱湯に一気に入る最も危険なのが入浴です。例えば、寒い脱衣所で服を脱ぎ、血管が縮み上がった状態で、42度以上の熱いお湯に一気につかった場合、交感神経が強く刺激され、血圧と眼圧は乱高下します。心臓への負担はもちろん、目の奥の細い血管が破綻するリスクも高まります。

入浴前にシャワーで壁にお湯を当てたり、暖房器具を使用したりするなどして浴室や脱衣所を温め、お湯は40度以下のぬるめに設定しましょう。

(2)「暗い、寒い、うつむき」の状態でのスマホ操作「暗い、寒い、うつむき」は現代人にとって「最悪の組み合わせ」と言えます。暗い場所では、光を取り込むために瞳孔が開きます。実は瞳孔が開くと、構造的に房水の出口が狭くなります。そこに「寒さによる血管収縮」と、うつむく姿勢による「水晶体の前方移動」が加わると、房水の出口が完全にふさがれてしまうことがあります。これにより眼圧が爆発的に上がった結果、生じるのが「急性緑内障発作」です。激しい目の痛みや頭痛、吐き気を伴います。スマホを操作する場合は部屋を明るくし、暖かい場所で、顔を上げて操作しましょう。

(3)トイレでの「強いいきみ」寒いトイレで息を止めて強くきばると、胸やおなかの圧力が上がり、頭部の静脈血が心臓に戻りにくくなります。顔が赤くなるような状態のとき、眼圧も確実に上昇しています。トイレには暖房器具を置き、便秘対策を行って、いきまなくても良い状態をつくることが目の保護につながります。

(4)首元を締め付ける服装首には頭部と体をつなぐ太い血管「頸(けい)静脈」があります。きついネクタイや、サイズが合わないタートルネックなどで首を圧迫すると、目から出ていくはずの血液や房水が渋滞を起こし、眼圧を上げてしまいます。首元は「温める」ことが重要ですが、「締め付ける」のはNGです。マフラーなどでゆったりと温めましょう。

(5)冷たい水の「一気飲み」乾燥する冬も水分補給は大切ですが、一度に1リットルなどの大量の水をガブ飲みすると、血液の浸透圧が変わり、水分が目の組織へ移行しやすくなります。水分は「コップ1杯を小まめに」取るのが鉄則です。

「ゆったり」と「温め」が目を守る

血圧が高いと眼圧が上がると説明しましたが、逆に「低血圧過ぎる」のも、視神経に十分な血液が届かなくなるため、緑内障には良くないとされています。

重要なのは、「極端な変動(スパイク)をつくらないこと」です。「温度差をなくす(部屋ごとの温度管理)」「首元を温めて副交感神経を優位にする」「姿勢や光の環境に気を付ける」という対策は、高血圧対策であると同時に、あなたの大切な視力を守るための「眼圧ケア」でもあります。

「今日は寒いな」と感じたらマフラーを巻き、スマホを早めに置いて、ぬるめのお風呂でリラックスするという、そんな「目へのいたわり」を、この冬の習慣にしてみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

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