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「こたつ」で寝ると風邪をひくって本当?医師に聞いてみて分かった“恐ろしい事実”

  • 2025.12.24
こたつに入ったまま寝ると風邪をひくって本当?
こたつに入ったまま寝ると風邪をひくって本当?

朝晩を中心に冷え込みが厳しくなり、こたつを使っている人は多いと思います。体が温まるため、ついこたつに入ったまま寝落ちしてしまうことがありますが、林外科・内科クリニック(福岡県宗像市)理事長で医師の林裕章さんは、こたつに入って寝るのは「百害あって一利なし」だと話します。

そもそも、こたつで寝ると風邪をひくといわれていますが、本当なのでしょうか。こたつに入って寝た場合のリスクについて、林さんに聞きました。

自律神経の混乱を招く原因に

Q.医学的立場からみて、こたつで寝ると風邪をひくのは事実でしょうか。

林さん「はい、事実です。非常に風邪をひきやすい状態になります。単に『体が冷えるから』だけではなく、体温調節と免疫機能という、生理学的なメカニズムが大きく破綻することが主な理由です。詳しい理由は次の通りです」

■体温調節の失敗と免疫低下人間は深い眠りに入るとき、手足から熱を逃がして、脳や内臓の温度である「深部体温」を下げる必要があります。しかし、こたつの中では熱が逃げ場を失い、体温が下がらないため、脳が「まだ活動中だ」と勘違いして深い睡眠(ノンレム睡眠)に入れません。また、不自然な姿勢や途中覚醒、浅い睡眠になりやすく、短期的に免疫の働きが乱れやすいです。睡眠不足の状態は、直接的に免疫力を低下させます。

■脱水による粘膜の乾燥こたつの中は思いのほか高温で、寝ている間に大量の汗をかきます。その量はコップ数杯分といわれています。これにより「脱水症状」が起き、喉や鼻の粘膜がカラカラに乾きます。粘膜はウイルスを防御するとりでですが、乾燥するとその機能が失われ、ウイルスの侵入を許しやすくなります。

■「寝汗」のち「急冷」大量にかいた寝汗は、こたつのスイッチが切れた後や、寝返りで布団がはだけた瞬間に一気に冷やされます(気化熱)。この急激な温度変化に自律神経がついていけず、体調を崩す原因となります。

Q.「頭寒足熱は健康によい」といわれますが、実際のところはどうなのでしょうか。

林さん「言葉自体は正しいですが、こたつ寝は『頭寒足熱』の限度を超えています。一般的に言われる頭寒足熱は、足を温めることで全身の血巡りを良くし、リラックスして入眠しやすくする効果があります。しかし、こたつ寝には次のような落とし穴があります」

■「足熱」ではなく下半身が過熱された状態にこたつは「温める」を通り越して、下半身を過度に加熱している状態です。一方で上半身は室温にさらされて冷たいままです。

■自律神経の混乱こたつ寝により、上半身は寒く、交感神経が優位になり血管が収縮する一方、下半身は暑いため、副交感神経が働こうとして血管が拡張するという、チグハグな情報が脳に送られます。これにより自律神経のバランスが崩れ、起床時の激しい疲労感やだるさにつながります。

Q.こたつで寝ることと布団で寝ることには、どのような違いがありますか。

林さん「人体への影響という観点から、リスクにおいて違いがあります」

■布団(寝具)で寝るメリット・全身が比較的均一な温熱環境になりやすい。・寝返りしやすく、筋肉がほぐれ、睡眠の深さが確保されやすい。・乾燥、脱水、局所の過度な加熱が起こりにくい。

■こたつで寝ると起こりやすいこと・下半身の過熱、上半身の冷え(温度ムラ)。・口呼吸や喉の乾燥、汗による脱水が起こり、血栓などのリスクになる。・姿勢が悪くなり、首、肩、腰などの関節や筋肉が固まる。・低温やけどやかゆみ、乾燥など、皮膚トラブルの原因になりやすい。・体質や状況次第では、のぼせや動悸(どうき)、気分不良になりやすい。特に飲酒後は危険。・途中覚醒が増え、疲労が蓄積する。

特に高齢者や高血圧の人にとって、脱水による血栓は脳梗塞や心筋梗塞の引き金となり、命に関わるため、こたつ寝は絶対に避けるべきです。

Q.うっかりこたつで寝てしまった場合、起床後に行った方がよいことはありますか。

林さん「こたつで寝てしまったときは、次の3ステップを実践し、体の調子を整えてください」

(1)まずは常温の水やスポーツドリンク、経口補水液を飲む体は脱水状態(軽い熱中症のような状態)です。冷たい水は胃腸に負担をかけるので、常温の水やスポーツドリンク、経口補水液で、失った水分とミネラルを補給してください。

(2)熱めのシャワーかお風呂に入るかいた汗を流す目的もありますが、重要なのは「自律神経のリセット」です。一度体を温め直し、血管の収縮、拡張を正常なリズムに戻します。

(3)ストレッチで体を伸ばす不自然な姿勢で固まっていた筋肉をほぐします。特に腰や背中、股関節周りを重点的に伸ばすと、血流が戻りやすくなります。

こたつはあくまで「起きている間に暖を取る場所」と割り切り、眠気を感じたら勇気を持って布団へ移動することが、冬の健康を守る最大の秘訣です。こたつで寝落ちしがちな人は、「背もたれが固い座椅子を選ぶ」「床に寝具を置かない」などを行うとよいでしょう。

オトナンサー編集部

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