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【ネタバレあり解説】こすり倒されまくった大ネタをアップデートしまくり。新作映画『嵐が丘』

  • 2026.3.6

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、ネタバレ上等な私見&本音でおすすめしますよ〜。

よしひろさん、「きのう何観た?」 『嵐が丘』

story_イギリス北部の荒野。嵐が丘にあるアーンショウ家のひとり娘キャサリン(M・ロビー)は、父が連れてきた孤児ヒースクリフ(J・エロルディ)とともに育ち、惹かれ合うように。ところが、彼女は困窮から抜け出すために、丘の麓に越してきた大富豪との結婚を決め、ヒースクリフは姿を消す。数年後、彼は大金持ちになって帰ってくるのだが……。 監督:エメラルド・フェネル/出演:マーゴット・ロビー、ジェイコブ・エロルディ、ホン・チャウ、シャザト・ラティフ、マーティン・クルーンズ ほか/配給:東和ピクチャーズ、東宝/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
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毒親ものでした

『嵐が丘』と聞いて、何を想像する? 悲恋物語の同名古典小説が原作だから、もしかしたらそれを読んだことがある、って人はいると思うし、ウィリアム・ワイラー監督の39年版のハリウッド映画を筆頭に映像化は何度もされているからそのどれか、または日本でも映画(松田優作主演の時代劇!)やテレビドラマ(東海テレビのドロドロ昼ドラ版『愛の嵐』)になっているし。あ、宝塚歌劇団のバージョンもあったりして。そりゃそうだ。だって、原作は1847年発行だもん。こすり倒されまくっているわけです。摩擦熱起きそうなほどの大ネタである『嵐が丘』を、『プロミシング・ヤング・ウーマン』で一気にオスカー常連になったエメラルド・フェネルが監督・脚本、主演とプロデュースをマーゴット・ロビーが務めたバージョンがアップデートしまくってるんですよ。というわけでおかわりしてきました。ゲップ。
 

左のおっさんが毒親のパパ。マジむかつくから覚悟して。

大筋は原作とほぼ同じ。知らない人はググってみて。小説の詳細なストーリーはもちろん結末まで書いてあるから。ぶっちゃけ、知らなかったって人は、この筋を読んでから今回のバージョンを観ると、どうして21世紀の今、こんな古い悲恋モノを時代設定を変えずに再映画化したかよ〜く分かりますので。
 

細かいことはさておき、すごいのがマーゴット・ロビー演じるキャサリン。プライドだけは高い没落した旧家の令嬢。「金持ちと結婚しなきゃ幸せになれん!」という執念と、幼い頃から苦楽を共にした義理のきょうだいヒースクリフへの思いが拮抗して、感情がバグりまくっている女性なの。それゆえに、なかなかエキセントリックの性格でらっしゃって。人が傷つくことも平気で口にしちゃうの。それでいて乙女。むっちゃ乙女。ぶっちゃけひん曲がった性格で、感情移入しにく!
 

ヒースクリフ。理解不能レベルの恨み節ゲームをひとりで展開します。

ところがですよ。さすがバービーのマーゴット。そういうキャラになったのには裏付けがあるってことを踏まえて演じてるから説得力あるのよねー。ひん曲がった原因は、彼女のパパ。彼はアルコールとギャンブルに依存してて詰みまくっているんだけど、そんな父の精神的・経済的・肉体的に三拍子揃ったDVにさらされていたから、こういう人格になってるんすよ、というのが丸分かり。描かれた時代は大昔だけど、こういうバックボーンの人、今でもいるし、なんなら性格はもっとひん曲がってしまうわよねー、というのが本作の裏テーマになってるんですねー。いや、すげえ。DVの問題だけでなく、結婚と結婚生活にまつわるエトセトラとか、女性が不当に受けている社会的な軋轢をサラッと描き出しちゃってるの。怪作。
 
あ。キャサリンに恋の復讐をしかけるヒースクリフとのシーソーゲームが本筋なんだけど、このバージョンはそれどうでもよし(よくないけど)。むしろ家庭&生育環境が招いた悲劇としてごらん遊ばせ。

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