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札幌の「幻の住所」を追う…徹底調査で見えてきた発展と歴史のはざまのミステリー

  • 2025.12.30

皆さんが抱えている「なぜ?」「どうして?」を調査する、HBC「もんすけ調査隊」。今回は札幌の住所の「奇妙な空白」を調べてきました。

規則正しく整備された、美しい碁盤の目のマチ・札幌。
ところが、完璧に見える街には、「奇妙な空白」があることをご存知ですか?

住所が存在しない?そんなはずは…。
地下鉄「東区役所前駅」の近くに、その現場はあるといいます。果たして、「住所の空白」はどういうことなのでしょうか?

札幌の「奇妙な空白」

ここは北13条の交差点。その標識を見ると「10丁目」の隣りに…「12丁目」とあります。
周辺の住居表示には、確かに「11丁目」が見当たりません。

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地元の人に聞いても「昔から11丁目がないの、なぜなのかは、わからない」「おかしいんですよね、ぜんぜん知らないです」と話します。

北13条には、確かに「11丁目」が存在しないのです。地図で確認すると、さらに謎は深まります。
北12条まではごく当たり前に「11丁目」が存在しています。それが北13条からは、いっさい姿を消しているんです。

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数々の札幌にまつわる謎を何度となく解き明かしてきた人物、札幌建築鑑賞会の杉浦正人代表は、どう見るのでしょうか。## 「ここが時代の境目」

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「ひとことでいうと、ここが時代の境目といえる。古い時代と新しい時代が、ぶつかり合っている場所、それが原因だといえます」

「時代の境目」。
それは、かつて現在の東区エリアにあった「札幌村」に深く関わります。

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1882(明治15)年 北大図書館所蔵

当時「札幌村」では、独自の基準で区画が進められていました。
しかし、1934年…昭和9年、「札幌村」の一部が札幌市に編入されることに…。

その際、一つの問題が持ち上がりました。通称「ナナメ通り」と呼ばれる、道道273号線の存在です。

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札幌・東区 道道273号線(ナナメ通り)

杉浦代表が「もともと北13条より南側は、いまは通称『ナナメ通り』と言われている道、この斜めの道に沿って、細く短冊状に『地割(=地番づけなど)』されている」と説明します。

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いまから143年前、明治15年(1882年)の「札幌村」の地図。
北13条付近の区画は、ナナメ通りを基準に並んでいます。
いまも当時の名残が区画にはあるものの、環状通を挟んだ北側だけが、碁盤の目に…。
旧来のナナメ通りの区画と、札幌市の碁盤の目―。

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「ここがぶつかっているので、つじつま合わせのため、一つ削らざるを得なかった」

一体どういうことなのでしょうか?

「ここを仮に11丁目として、北も11丁目にすると、今度は13丁目との間の、12丁目を削らざるを得なくなる、結局、どこかでひとつを削らざるを得ない」

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無理に「11丁目」を作れば、「12丁目」が消える。
どうしても「11丁目」とするスペースが確保できなかったのです…。

ところが、もうひとつ「北13条」を巡って、意外な事実も…。

実は、かつて北13条は

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札幌市・住民情報課の下澗聡課長によると「一旦、1934(昭和9)年のときは、東11丁目を設定したが、道がないところに無理矢理設定した経緯がある」といいます。

驚くことに「北13条」には、かつて「幻の東11丁目」が存在していたというのです。
それは、地図上の線だけで区分けられた住所でした。

「北13条も地形上、道路がないところに設定をしていたので、1979年(昭和54)に11丁目を廃止した」

結局、1979年にこの「北13条東11丁目」は姿を消しました。
道路がない場所に設けられ、45年で消えた「幻の住所」だったのです。

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札幌の街の奇妙な空白、札幌の発展と歴史の狭間に生まれた「小さなミステリー」でした。

調査結果です。

北13条東11丁目は、1934年に住所として存在しましたが、1979年になくなりました。
これは1934年の道の告示文ですが、ここに「東11丁目を欠く」と書かれています。

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つまり、北14条より北の地域では、碁盤の目の整備以前から、「11丁目をなくす」ことが決められていました。

探してみると、意外と面白い住所が見つかるかもしれませんね。

文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年11月28日)の情報に基づきます。

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