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【dancyu編集部員、2025年の一皿】シンプルなのに、なぜこんなに特別なのか?新富町「PRIMO PASSO」のトマトのパスタ

  • 2025.12.30

2025年ももうすぐ終わり。編集部員たちは今年もよく食べ、よく飲みました。その中で、編集部スズキの記憶にいちばん鮮明に残っている一皿は、新富町のイタリアン「PRIMO PASSO」のトマトのパスタです。

【dancyu編集部員、2025年の一皿】シンプルなのに、なぜこんなに特別なのか?新富町「PRIMO PASSO」のトマトのパスタ

■トマトパスタの究極形

「数日前に3度目を食べましたが、本当においしい。痺れました」
夏号の企画相談の際、ライターの浅妻千映子さんが教えてくれたのは、新富町「PRIMO PASSO(プリモパッソ)」のトマトのパスタだった。

浅妻さんといえば、これまでのパスタ特集で、どれだけのトマトパスタを食べてきたのか、もはや数えきれないはず。その浅妻さんが「痺れました」と言い切る一皿。……それはもう、気にならないわけがない。

「PRIMO PASSO」シェフの藤岡智之さん
「PRIMO PASSO」シェフの藤岡智之さん

プリモパッソは、コース12品のうち5品がパスタという、パスタ好き大歓喜のお店。改めて考えても、なかなか攻めた構成だと思う。そのパスタ尽くしのコースの中で登場する、このトマトのパスタが、とにかくすごかった。

見た目は、黄金色を帯びたオレンジ色のソース。具材は一切なし。美しすぎる、洗練された静かな佇まい。一口食べた瞬間、「トマト、うまっ!!!」と、思わず心の中で叫んでしまう(笑)。
口いっぱいに広がるのは、鮮烈なトマトの香りと旨味。もう一度確かめたくなって、今度はソースだけを少しすくって口に運ぶ。酸味、甘味、旨味……いろんなトマトの顔が一気に押し寄せてくる。この穏やかな見た目の、一体どこに、こんなパワーが隠れているのか。不思議に思いながらも、フォークは止まらない。そして気づけば、皿は真っ白。

そう、なんせ12皿のうちの1皿なわけだから、食べられるのは実質2~3口。あっという間に終わってしまうのだ。おいしさの直後に襲ってくる、この喪失感。ああ、もっと食べたい……(もちろん実際のコースは、このあとも最高の料理が続くので、満足度は非常に高い)。

■レシピも驚くほどシンプル!

トマトパスタ
トマトパスタ

そんなわけで、「このトマトパスタを、お腹いっぱい食べたい!」という欲望を抑えきれず、dancyu2025年夏号「野菜料理」特集では、藤岡智之シェフにレシピを教えてもらった。
ポイントは大きく2つ。
まずは、赤と黄色、2色のミニトマトを使うこと。赤の甘酸っぱさに、黄色の甘さが加わることで奥行きが生まれ、コクを深めてくれるそう。

ミニトマト、にんにく(皮ごと)、バジル(茎ごと)をフライパンにいれ、強火にかける
ミニトマト、にんにく(皮ごと)、バジル(茎ごと)をフライパンにいれ、強火にかける
三重県ポモナファームの「プチぷよ」というミニトマトの黄色と赤
三重県ポモナファームの「プチぷよ」というミニトマトの黄色と赤

そしてもう一つが、イトラーナ種のオリーブを使ったオリーブオイルを使うこと。イトラーナ種、聞きなじみのない方も多いかもしれないが、ネットで検索すると見つかるので、ぜひ調べてみて欲しい。ほんのりトマトのような香りがして、相性の良さを確信できるオイルです。
シェフ曰く、「トマトももちろん重要だけど、もしかするとそれ以上に大事なのが、このオイルかもしれません」とのこと。

ちなみに店では250mlの小瓶を3日で使い切るそう。そりゃあ、香りも味も抜群なわけだ。かなりの量のオリーブオイルを入れているのに、あんなに軽やかな味わいになるのはいまだに不思議なところ。

かくして、この夏はミニトマトをスーパーで見つけては、何度もつくった。

こうして原稿を書いていると、また食べたくなってくる。今から来年の夏が待ち遠しいな~なんて。まだまだ「日本酒dancyu」と格闘中なのに(年明けすぐ校了!2月発売ですよ)まったく気が早い話である。

カウンター
カウンター
パスタ
パスタ

◇店舗情報

「PRIMO PASSO」
【住所】東京都中央区築地1-5-11 ACN築地ビル B1F
【電話番号】03-6826-9672
【営業時間】17:00~(8名)、20:30~(8名)の完全予約制
【定休日】火曜、水曜
【アクセス】東京メトロ「新富町駅」より2分


写真:木村拓 文:鈴木智也(dancyu編集部)

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