1. トップ
  2. 朝ドラOPの“意味深な仕掛け”に集まる注目「あえてとしか思えない」「知らなかったが納得」不自然なシーンに“広がる考察”

朝ドラOPの“意味深な仕掛け”に集まる注目「あえてとしか思えない」「知らなかったが納得」不自然なシーンに“広がる考察”

  • 2026.1.21
undefined
『ばけばけ』第13週(C)NHK

朝ドラ『ばけばけ』のオープニングは、聞き込むほどに意味が変化していく不思議な楽曲だ。初回では悲観的に聞こえた言葉が、物語の進行とともに別の表情を見せ、登場人物の心情や展開と静かに呼応していく。本記事では、歌詞・サブタイトル・映像演出という三つの視点から、このオープニングが持つ奥行きを読み解いていく。

聞くたびに姿が変わる歌詞の不思議

『ばけばけ』の主題歌であるハンバート ハンバートの『笑ったり転んだり』を初めて聞いたとき、「この世はうらめしい。けど、すばらしい」というキャッチコピーから、どこか悲観的で重たい印象を受けた。特に「日に日に世界が悪くなる」「野垂れ死ぬかもしれないね」というフレーズは、明るさが求められがちな朝ドラの枠において、強い衝撃を残したのである。

これまでの『あんぱん』や『おむすび』といった作品では、キャッチーな曲調の中に前向きな意味が徐々に立ち上がってくる構造が印象的だった。一方で『ばけばけ』のオープニングは、その単純な一方向性を拒む。
一週目には諦念の歌に聞こえ、二週目には現実を受け止める歌に、三週目にはそれでも生きていくための歌へと変わっていく。まるで物語の進行に合わせて、歌詞が新しい顔を見せているかのようだ。

サブタイトルとリンクする言葉の力

undefined
『ばけばけ』第13週(C)NHK

この楽曲の奥深さは、各話のサブタイトルとの関係性からも浮かび上がる。
たとえば第6週「ドコ、モ、ジゴク。」というサブタイトル。これは単なる絶望の表現ではなく、自分の生活が思うように上手くいかず、日に日に世界が悪くなっていくように感じられる登場人物たちの視界を見事に表していた。野垂れ死にすら想像してしまう状況の中で、それでも日常は続いていく。その感覚が、オープニングの歌詞と静かに重なる。

一方、第13週「サンポ、シマショウカ。」は、楽曲のラストフレーズと呼応するタイトルだ。ここでは世界は完全に好転していない。それでも、「一緒に歩いてみよう」「こんな世の中だから、あなたと歩きたいのです」と促すような余白が残されている。歌詞とサブタイトルが互いを補完し合うことで、物語の温度がより立体的に伝わってくる。

3分30秒にも満たない世界に詰め込まれた、もう一つの物語

undefined
『ばけばけ』第13週(C)NHK

今までの展開を知ったうえでオープニングを見返すと、映像の一つひとつが具体的な情景として立ち上がる。
トキ(髙石あかり)がヘブン(トミー・バストウ)の世界を壊さないよう、そっと戸を閉める場面。「オーマイガー!」と声をあげたり、落ち込みながら部屋にこもるヘブンの姿。そうした細やかな感情の動きが、歌詞と旋律によって自然に想起される。

さらに印象的なのが、オープニングに映り込む“影”の存在だ。誰かが意図的に撮っているようにも見えるその影について、「錦織(吉沢亮)が撮っているのではないか」という説が視聴者の間で広がっている。SNSでも「あえてとしか思えない」「知らなかったが納得できる」「不自然だと思った」という声があがるのも、この演出が偶然とは思えない説得力を持っているからだろう。

3分30秒にも満たない短い時間に、物語の過去・現在・感情の揺らぎまでを封じ込めている。『ばけばけ』のオープニングは、単なる導入ではなく、もう一つの語り部として機能しているのだ。


ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri