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バターとマーガリン、どちらがより健康的? 栄養士が解説

  • 2025.12.10
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※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。>>『Prevention』のオリジナル記事はこちら

朝食のビスケットに塗ったバターやマーガリン、または夕食の熱々のベイクドポテトに溶け込んだバターほど美味しいものはない。好みは人それぞれだけど、バターとマーガリンを栄養面で比較した場合、どちらがより健康的なのだろう?

この疑問に答えるには、それぞれの製造方法を知る必要がある。「バターは牛乳を攪拌して作られ、この過程で脂肪分が分離します。そのまましばらく置くと脂肪が表面に浮き上がり、液体から分離されます」と説明するのは、登録栄養士で「マイ・プライベート・ダイエティシャン」の創設者であるエマー・デラニーさん。「マーガリンは、ひまわり油や大豆油など、さまざまな植物油を精製、乳化し、それらをブレンドして作られます。もともとマーガリンは、バターより安価で “健康的” な代替品として開発されたものでした」

とはいえ、これは現在にも当てはまるの? 今回は、バターとマーガリンの違い、ダイエット中や体重を減らしたい場合、どちらか一方または両方を食事に取り入れるべきなのか、栄養士が解説。

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バターとマーガリン:栄養成分

主要栄養素の観点から見ると、バターとマーガリンはかなり似ている。

バターの栄養成分
無塩バター大さじ一杯(15g)には以下の栄養素が含まれる。
カロリー 108kcal
たんぱく質 0.1g
脂質 12.5g
炭水化物 0g
食物繊維 0g

マーガリンの栄養成分
無塩マーガリン大さじ一杯(15g)には以下の栄養素が含まれる。
カロリー 107kcal
たんぱく質 0.1g
脂質 12.5g
炭水化物 0.1g
食物繊維 0.1g

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バターの健康効果とデメリット

・健康効果
「バターの製造工程は何世紀も前から用いられている方法で、ビタミンA、D、E、Kの優れた供給源である豊かな天然の脂質を生み出します」と話すデラニーさん。「これらは骨、心臓、免疫の健康を支えるうえで非常に重要です」

とはいえ、バターはおもに脂質の供給源であり、一般的に3種類の脂肪を含む。それは、一価不飽和脂肪酸(または健康的な脂質)、多価不飽和脂肪酸(こちらも一般的に健康に良い)、そしてできるだけ避けたほうがいい飽和脂肪酸。米国農務省(USDA)によると、バターの約60%強が飽和脂肪酸、約30%が一価不飽和脂肪酸、10%が多価不飽和脂肪酸だという。しかし、この組成は選ぶバターによって変わる。「牧草飼育の牛から作られたバターは、穀物飼育のバターと比べてオメガ3脂肪酸、共役リノール酸、ビタミンが豊富です」と話すのは、「ニュートリションワイズ」のマスターレベル登録栄養士であるヴィッキー・ケイニグさん。研究では、これらの脂肪酸は炎症を軽減する可能性が示されており、炎症は多くの慢性疾患の発症に関与している。

・潜在的なデメリット
「バターはLDLコレステロールを増やす飽和脂肪酸を多く含みます。これにより心血管疾患のリスクが高まります」と説明するケイニグさん。たしかに一部のバターは健康的な脂肪を含むけれど、本来は飽和脂肪酸の供給源であり、食事での摂取は制限したほうがいい。「またエネルギー密度が非常に高いため、過剰摂取は体重増加につながる恐れがあります」とデラニーさんは付け加える。

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マーガリンの健康効果とデメリット

・健康効果
バターと同様に、摂取するマーガリンの種類、より具体的にはマーガリンの製造に使用される植物油の種類が、その健康効果を決定する。「なたね油のような不飽和油から作られている場合、ヘルシーな食事と生活習慣の一部として摂取すれば、LDL “悪玉” コレステロールの減少を助けることで心臓の健康をサポートできます」とデラニーさんは語る。一部のマーガリンは植物ステロールが添加されており、コレステロール値の低下に寄与する可能性があります、とケイニグさんは付け加える。

またバターと同じように、おもに脂肪源であるマーガリン。しかしバターと異なり、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸の割合はより均等であり、USDAによるとマーガリンから摂取される脂肪の約3分の1ずつを占めるという。また米国心臓協会(AHA)は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸はどちらもLDLコレステロール値の低下に役立つうえ、体の正常な細胞機能の維持に役立つとしている。しかし、これらの効果を享受するには、「トランス脂肪を含まず、高品質の不飽和油から作られたマーガリンを選ぶことが重要です」とデラニーさんは述べている。

・潜在的なデメリット

健康効果が期待できる一部のマーガリンがある一方で、すべてのマーガリンが同じように作られているわけではない。「飽和脂肪酸の多いパーム油から作られているマーガリンの場合、あまりメリットは期待できません」とケイニグさんは語る。「スティック状の固形マーガリンも、飽和脂肪酸の含有量が高いでしょう」。 さらに、アメリカ製マーガリンの一部はかつて水素添加処理が施され、トランス脂肪酸が添加されていました、と彼女は続ける。「これらは飽和脂肪酸よりもさらに不健康です。しかし、現在アメリカではこの製造工程は禁止されています」とケイニグさん。「ただし、アメリカ国外で製造されたマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれている可能性があります」

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バターとマーガリン、ダイエットに適しているのは?

「これはなかなか難しい質問ですね!」と話すデラニーさん。「どちらもとくにダイエットに効果的とは見なされていませんし、どちらも高エネルギー食品です。どちらも脂肪に分類されるので、重量当たりのカロリーはほぼ同等です。体重を減らしたいなら、ここでも重要になるのはバランスです。本当に注意するべきなのは、摂取量の管理です」。 体重を減らしたい(つまりカロリーが少ない食事が重要になる)場合、バターやマーガリンをたまに楽しむ分にはまったく問題ない。「ただし、食事のたびにたっぷり使うと摂取カロリーがすぐに積み上がり、減量には逆効果となります」とデラニーさんは続ける。

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バターとマーガリン、より体にいいのは?

「トランス脂肪酸を含まず、不飽和脂肪酸を豊富に含むマーガリンは、一般的に心臓の健康においてバターより優れています。ただしバターも適量なら問題ありません」と話すケイニグさん。彼女が教えくれたのは『JAMAインターナル・メディスン』に掲載された新たな研究。バターと植物性油脂(マーガリンの原料)の摂取量を比較したこの研究では、植物性油脂の摂取量が多いほど死亡率が低いことが発見されたという。とはいえ、基本的に健康で、ときどきバターやマーガリンを多少使う場合、体に悪影響とはならないはず。「調理の最後にバターを少量加えることで、飽和脂肪酸を過剰に摂取することなく、美味しいバターの風味を楽しめます」と付け加えるケイニグさん。

translation : Yumi Kawamura photo : Getty Images

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