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「さすが日曜劇場」「もう名作確定でしょ」初回放送から“トレンド入り”仕掛けられた“サプライズ”にとまらない熱狂

  • 2026.1.22

日曜劇場『リブート』1話は、開始数分で視聴者の心を掴み、SNSを騒然とさせた。善良なパティシエ・早瀬陸の平凡な日常が一瞬で崩壊、“顔を変えて生きる”という極端な選択へ追い込まれる。顔を変える=リブート(再起動)する前の早瀬を演じたのは、事前情報なしでサプライズ登場となった松山ケンイチ。リブート後、捜査一課の刑事・儀堂として事件捜査に乗り出す様を鈴木亮平が演じる。SNS上でも「衝撃のサプライズ」「二人とも上手すぎる」「さすが日曜劇場」「もう名作確定でしょ」と熱狂が止まない。

※以下本文には放送内容が含まれます。

善良なパティシエ、最速で転落?

“#日曜劇場リブート”がトレンド入りを果たしたことも話題となっている日曜劇場『リブート』。第1話の率直な感想は、とにかくおもしろい、そして展開が速く飽きる暇がない。こちらの感情の整理を待たないまま、平穏から喪失、そして疑惑発覚から怒涛の転落、必死の決断までを一気に駆け抜けていく。

『マイファミリー』を始め、家族を主軸としたハイスピード展開は黒岩勉脚本の特徴だ。しかし、本作においてこのスピード感が成立しているのは、物語の構造以上に、俳優たちの芝居が視聴者の理解を巧みに先導しているからではないだろうか。

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日曜劇場『リブート』第1話(C)TBS

物語の出発点にいるのは、どこにでもいそうな善良なパティシエ・早瀬。小さな洋菓子店を営み、失踪した妻の帰りを信じ、息子と母を守りながら生きてきた。

突出した才能も、裏の顔もない。ただ、家族を愛している。それだけの人物が、国家権力と巨大な闇の論理によって、妻を手にかけた真犯人として不条理に追われることになる。この理不尽さを、視聴者が即座に“自分ごと”として受け止められたのは、松山ケンイチの存在感ゆえだろう。

事前告知なしでサプライズ登場した松山。穏やかな声、家族を見る目、菓子を作る手つき。そのすべてが、この人は嘘をつかない人物だ、と第一印象を植え付ける。だからこそ、警察から疑いの目を向けられた瞬間、視聴者の感情は一気に彼の側へ傾いたのだ。早瀬が追い詰められていく過程に、感情移入せずにいられるほうが難しいだろう。

顔を変える=リブートする、非情な選択

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日曜劇場『リブート』第1話(C)TBS

そして物語は、決定的な転換点を迎える。家族を守るため、妻を手にかけた真犯人を見つけ出すため、早瀬は自分の顔と名前、人生を捨てる決断をする。リブート(再起動)し、捜査一課の刑事・儀堂になりすますという、やや現実離れした選択だ。

この提案は、儀堂とともに動き、恋人でもあった公認会計士・幸後一香(戸田恵梨香)からのものだった。荒唐無稽な導きに思えても、早瀬がそれに乗ったのは、ひとえに妻や家族を思う愛があったからだろう。

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日曜劇場『リブート』第1話(C)TBS

顔が変わり、役割が引き継がれた先で、新しい儀堂として物語を牽引するのは鈴木亮平だ。物理的には別人でありながら、驚くほど違和感がない。目線の置き方、呼吸の間など、表情や所作の一つひとつに、先ほどまで画面にいた早瀬の残像が見える。

単なる配役交代ではなく、人格の継承がされている点が見事だ。このシンクロ率の高さこそが、SNS上で「二人とも上手すぎる」と言われる所以だろう。

後半、物語はさらに過酷さを増す。成り代わった先に待っていたのは、10億円強奪の濡れ衣、24時間以内の真相解明という非情な条件の提示である。何度も心が折れそうになる儀堂だが、それでも必死で立ち続けるのは、すでに視聴者にも共有されている“家族を想う感情”が、確かに彼のなかに生き続けているからだ。

初回から広がる考察……誰が嘘をついているのか?

この第1話が鮮烈なのは、復讐劇の始まりを描きながらも、決して怒りの感情を主役にしていない点にある。

原動力になっているのは、あくまで愛だ。守りたいものがあるから、嘘をつく。生き延びるために、罪を背負う。その歪んだ選択の連続を、ふたりの俳優が分担しながら、一本の感情線として紡いで見せた。

『リブート』は、派手な仕掛けで驚かせる作品ではある。しかし本当の衝撃は、サプライズの正体が明かされた“その後”にある。顔が変わっても、魂は確かに引き継がれている。その事実を、芝居だけで納得させてしまった第1話は、日曜劇場のなかでも特別なスタートを切ったと言っていいだろう。


TBS系 日曜劇場『リブート』 毎週日曜よる9時〜

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_