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ETC深夜割「4時間から7時間に」割引拡大に見えて実は改悪? 元自動車メーカーマンが明かす“落とし穴”

  • 2025.11.27
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

今、ETC深夜割引の大幅な制度改正が進められているのをご存じでしょうか。この改正により対象時間帯が4時間から7時間へと拡大されるため、多くのドライバーは「便利になる」「お得になる」と期待しているはずです。ところが実際の割引額は減る場合が多く、時間帯は拡大したのに負担は増えるという矛盾した現象が起きています。この一見お得そうで実は落とし穴がある新ルールの影響を、具体的な事例を交えて解説します。

新制度で何が変わるのか

新しい深夜割引制度は、「時間帯が広がる一方で割引が細かい条件制になる」点が最大の特徴です。これまでのように、深夜に少しでも高速に入れば全区間30%割引となる“シンプルでお得な仕組み”から、走行実態に応じて割引額が決まる方式へ移行します。
主な変更点は次の通りです。

■ 時間帯の変更(大幅拡大)

  • 現在:午前0時〜4時(4時間)
  • 新制度:午後10時〜翌午前5時(7時間)

■ 割引の仕組みが“実走行区間方式”へ

  • 現在:深夜帯に一部でもかかれば全区間30%割引
  • 新制度:22時〜翌5時に走った区間だけが割引

■ 支払い方式の変更

  • 現在:料金所で即時割引
  • 新制度:通常料金で支払い → 後日還元(ETCマイレージ必須)

■ その他の見直し

  • 割引適用距離に上限を設定(無謀運転・過走行の抑止目的)

実際の利用シーンではどうなる?

では、新制度が長距離移動にどのような影響を与えるのか、深夜帯をまたぐ帰省ルートで確認してみましょう。現行制度では、深夜0時を一度でも跨げば全区間が30%割引となるため、長距離移動ほど大きな恩恵を受けられます。

しかし新制度では、割引は「22時〜翌5時に走行した区間」に限定されるため、総割引額は従来より減少します。
違いは次の通りです。

■ 例:21時→翌6時まで休憩をはさんで高速を走った場合

現行制度

  • 深夜0時を跨いで走行すれば、移動全区間が30%割引

新制度(区間ごとに適用)

  • 21:00〜22:00:通常料金(割引対象外)
  • 22:00〜翌5:00:30%割引(対象時間帯の実走行区間のみ)
  • 5:00〜6:00:通常料金(割引対象外)

新制度では、深夜帯を長く走るほど割引は受けられますが、従来のように“一部の時間だけ深夜にかかれば全区間割引”という恩恵はなくなるため、総割引額は全体的に縮小します。

後日還元方式の落とし穴

新制度では割引が翌月20日に還元される「後日還元方式」に変更されるため、年に1から2回程度しか高速道路を利用しない旅行者は特に注意が必要です。

まず、後日還元は自動で行われるわけではありません。ETCマイレージサービスで「ポイント自動還元サービス」を別途設定する必要があり、この設定を忘れると手動交換の手間が発生します。また、ポイントには有効期限(最長2年)があるため、設定を怠ると還元を受けられずに失効してしまいます。

さらに、後日還元は次回以降の高速道路利用料金から差し引かれる仕組みのため、還元後に高速道路を使わなければ実質的に割引の恩恵を受けられません。730日間ETCを使用しないとマイレージ登録が取り消され、還元額が消滅するため、年1回の旅行利用では割引効果を実感できない可能性が高いのです。

制度開始はまだ先、今から準備を

この新しい深夜割引制度は、当初2024年度末、その後2025年7月開始予定でしたが、ETCシステム障害の影響で2026年度以降に再延期されており、具体的な開始時期は未定です。

前述の通り、新制度では割引を受けるためにETCマイレージサービスへの事前登録が必須となります。現在未登録の方は制度開始までに登録を済ませておく必要がありますが、登録にはETCカード番号や車載器管理番号が必要なため、早めに準備しておきましょう。

制度の内容を理解しておくことも大切です。この制度変更は利用時間が拡大されお得に見える一方で、実際の割引額は従来より減る場合が多いのが実情です。特に深夜の長距離移動を頻繁に行う物流業界や運送事業者にとっては、コスト増加による大きな影響が予想されます。個人利用者も、年数回の帰省や長距離旅行の際は、自分の利用パターンで損得をシミュレーションしておくことをお勧めします。

2025年も残り1ヵ月となり、度重なる延期を経てきたETC深夜割引の新制度が、いよいよ2026年度の適用に近づいてきました。制度の詳細は各高速道路会社のホームページで確認できるので、開始前に必ずチェックしておきましょう。


出典:高速道路の深夜割引の見直しについて(NEXCO 中日本)


ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析などを手がけ、実務に基づいた視点での解説を行っている。


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