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「新築なのに、まるで築10年以上」入居半年で発覚した“黒いスジ”…30代夫婦を襲った“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2025.11.28
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「真っ白な外壁って、本当に素敵ですよね。完成した瞬間は、これ以上ないくらい満足していました。でも……半年後には“理想の家”がみるみる古びていくなんて…」

そう話すのは、Kさん(30代女性・夫婦+子ども1人)。

SNSで見かける“白い箱型住宅”に憧れ、注文住宅で外壁を純白に統一した家を建てた相談者です。完成時の写真はどこから見ても美しく、家族や友人からも「モデルハウスみたい」と絶賛されたといいます。

しかし、喜びは長くは続きませんでした。

入居半年で気づいた“黒いスジ” ――想定外の劣化の早さ

最初に異変を感じたのは、北側の窓の下に黒い筋が見えたときでした。

「最初は“気のせいかな?”と思いました。でも、雨が続いたあとに見たら……窓下に黒い線がくっきり入っていて。新築なのに、まるで築10年以上の家みたいに見えてショックでした」

その後、玄関まわりにも薄い雨だれ跡が現れ、洗車時の跳ね返りや黄砂などの汚れも目立ち始めました。

白い外壁は、汚れを隠す力がほとんどない=どんな汚れも“コントラストで強調される”
という特徴があります。

・砂ぼこり
・排気ガス
・雨だれ
・北面の黒カビ
・湿気によるくすみ

これらが“白だからこそ全部見える”のです。

Kさんは、次第に外観を真正面から見るのがつらくなったと語ります。

「ご近所さんの家はそんなに汚れていないのに、うちだけ汚れが目立つようで……外に出るたびに気になってしまって」

白い外壁が汚れやすい――ではなく“汚れが見えやすい”

白い外壁が特別に汚れやすいわけではありません。
むしろ、家はどんな色でも同じだけ汚れています。

問題はただ一つ。

“白は汚れを隠せない色”
だということ。

特に以下の条件では汚れが早く見えます。

  • 車通りの多い道路沿い
  • 川沿いや湿気の多い場所
  • 軒ゼロ・庇なしのデザイン
  • 凹凸の多い外壁材(雨筋が溜まりやすい)

Kさんの家は“軒ゼロのシンプルモダン”でした。

雨が外壁に直接当たりやすいデザインだったことも汚れを加速させました。

一級建築士が見る“白い外壁の落とし穴”

私は建築士として多くの白い外壁の家を見てきましたが、Kさんのケースは決して珍しくありません。

白い外壁には、次のような“弱点”があります。

  • 雨だれ跡が最も目立つ色
    窓上・換気フード下・エアコンスリーブなど、雨筋が出やすい部分が黒くなる。
  • 外壁の劣化が視覚的に強調されやすい
    紫外線や砂汚れでくすむと、一気に古びて見える。
  • メンテナンスサイクルが早まる
    汚れが目立つ→洗浄・塗装を早く行う必要が出る。

白は美しいですが、維持に手間がかかる色であることは間違いありません。

「メンテナンスのことまで考えていなかった」

Kさんは建築時、外観デザインを優先して色を選んだといいます。

「“白い外壁=おしゃれ”というイメージだけで決めてしまって……。汚れやすさなんて、全然考えていませんでした」

専門知識がないと、白の外壁が抱えるリスクに気づくのは難しいものです。

しかし、家は住み続けてこそ価値が生まれるもの。
“完成直後の美しさ”より、“数年後の状態”をイメージすることが大切です。

どう選べばよかった?

白い外観を諦める必要はありません。大切なのは“選び方”と“組み合わせ”です。

1.純白ではなく「オフホワイト」を選ぶ
ほんの少しグレーを混ぜるだけで汚れが1/3に感じられる。

2.セルフスクリーニング機能の外壁を採用
親水性の高い外壁で雨によって汚れを流します。

3.軒や庇をつけて外壁への雨当たりを減らす
軒ゼロよりも汚れの出方が大幅に改善されます。

「美しいまま保つ」には覚悟が必要

「“維持の大変さ”まで想像できていなかった。家づくりって、見た目のよさだけじゃないとつくづく感じました」

白い家は確かに美しい。
けれど、それを「美しいまま保つ」には、それなりの知識と覚悟が必要です。

これから外壁選びをする人は、“完成したとき”ではなく、“5年後の姿”を想像する。

それが、家づくりで後悔しないための最も確実な方法なのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者) 地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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