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『痰』は出したほうが早く治る?→医師が教える3つの“役割”と“気をつけたいサイン”とは

  • 2025.11.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

咳が出るときに気になるのが「痰(たん)」ですよね。特に風邪や気管支炎、肺炎のときに、「痰を無理に我慢したほうがいいのか?」「むしろ痰は出したほうがいいのか?」と疑問に思う人は多いでしょう。咳がつらいと、痰をこらえてしまいがちですが、実はそれが逆効果になる可能性もあります。この記事では、痰が体の中でどんな役割を果たしているのか、わかりやすく解説していきます。

そもそも「痰」とは?体が作る大事な防御システム

痰(たん)は、気道や肺で作られる粘液と細胞のかたまりで、呼吸器を守るための重要なバリア機能を担っています。

  • ウイルス・細菌などの異物を包み込む
  • 気道から体外へ排出し、内部を清潔に保つ
  • 感染や炎症があると量が増える

風邪や気管支炎で痰が増えるのは、体が原因物質を排出しようとしているサインでもあります。結論として、風邪の場合は 痰を外に出すほうが改善につながりやすい と考えられています。

痰を出すことで、3つの効果が期待されます。1つ目は「ウイルス・細菌を減らす」こと。痰をだすことにより、感染物質の排除につながります。2つ目は「気道がクリア」になり呼吸が楽になること。3つ目は気道に溜まった炎症物質を除去し、「炎症の軽減」になることです。

気管支炎・肺炎では注意したいケースも

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

気管支炎・肺炎でも、痰を出せたほうが治りやすいケースは多く、風邪と同様のメリットがあります。ただし 症状の重さ・体力・炎症の程度によっては異なる対応が必要 です。

  • 喉の痛みが強くて咳がしづらい
  • 痰が濃くて出しにくい
  • 痰に血が混じる、色やにおいが異常

    このような場合は、自己判断せず医療機関で診察を受けることが大切です。気管支炎・肺炎は人によって治療方針が大きく変わるため、「痰は絶対に出すべき」ではなく、「出せるなら出したほうがよい」 というイメージが正確です。

痰に悩むときは早めに医療機関へ

今回紹介したように、痰はただの不快なものではなく、身体がウイルスや細菌を排除するための大切な“排出物”であることがわかります。無理に痰をこらえるのは逆効果になりやすい場合も。

もちろん、痰が長期間続いたり、血が混じっている場合は、別の病気が隠れていたり、悪化も考えられるため、専門医の診断が必要となります。まずは「知ること」から始めてみてはいかがでしょうか。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。