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『朝スッキリ起きられない人』は“食事に共通点”があった…管理栄養士が明かす、睡眠の質を下げる「意外な落とし穴」とは?

  • 2026.3.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「夜なかなか寝付けない」「たっぷり寝たつもりでも朝スッキリ起きられない」といった睡眠の悩みを抱えていませんか?

実はその原因、寝る前の行動ではなく「毎日の食事」にあるかもしれません。

「よく眠れる」と信じてやっているあの習慣が、かえって睡眠の質を下げているとしたら……?

今回は、食事と睡眠の意外な関係性や、明日からすぐに実践できる「朝スッキリ起きるための食習慣」について、かきねキッチンの管理栄養士・小池三代子さんに詳しく解説していただきました。

睡眠の質を左右する栄養素と、食事のタイミングとは?

---睡眠の質を上げるために、日々の食事で意識すべき栄養素やタイミングはありますか?

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「まず重要なのが、トリプトファンという必須アミノ酸です。

トリプトファンは脳内で「セロトニン」という神経伝達物質を作り、さらに夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変換されます。メラトニンは睡眠のリズムを整え、自然な眠気を作る役割があります。トリプトファンが不足するとセロトニンやメラトニンの生成が十分に行われず、夜の眠りが浅くなったり、朝の目覚めが悪くなったりします。トリプトファンは大豆製品、乳製品、卵、魚などに多く含まれます。

次に関わるのが、ビタミンB群(特にB6)です。ビタミンB6はトリプトファンからセロトニンを合成する際の補酵素として働きます。ビタミンB群が不足すると神経伝達物質が作られにくくなり、睡眠リズムが乱れやすくなります。豚肉、魚、バナナ、玄米などが良い供給源です。

また、食事のタイミングは体内時計に大きく影響しています。人間の体内時計は「光」と「朝食」でリセットされます。朝食を抜くと体内時計が十分にリセットされず、睡眠と覚醒のリズムが後ろにずれてしまいます。その結果、夜は寝つきが悪く、朝は起きにくいという悪循環になります。特に朝食では、タンパク質と炭水化物を一緒に摂ることでセロトニン合成が促進され、日中の覚醒度が高まり、夜には自然な眠気が生まれやすくなります。

加えて、夜遅い時間の高脂肪食や大量の食事、カフェインの過剰摂取も睡眠の質を低下させ、朝の目覚めを悪くする要因になります。理想的には、夕食は就寝の3時間前までに済ませ、胃腸に負担のかからない食事にすることが望ましいでしょう。」

「寝る前のホットミルク」は逆効果?睡眠にまつわる誤解

---寝る前のホットミルクや寝酒など、よく「眠りに良い」と言われる習慣がありますが、実際のところどうなのでしょうか?また、ダイエット中の糖質制限などは睡眠に影響しますか?

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「まずよく知られているのが、就寝前のホットミルクです。

牛乳にはトリプトファンが含まれ、リラックス効果が期待できるため寝る前の習慣として推奨されることがあります。しかし、注意点もあります。牛乳はタンパク質と脂質を含むため消化に一定の時間がかかります。寝る直前に多く飲むと胃腸が消化活動を始め、逆に眠りが浅くなる場合があるのです。飲む場合は就寝30〜60分前に少量にとどめるのが望ましいでしょう。

次に、極端な糖質制限です。ダイエットや血糖コントロールの目的で炭水化物を完全に抜く人もいますが、過度な制限は睡眠に影響する可能性があります。トリプトファンを吸収し、セロトニンを生成する過程では、炭水化物が必要です。炭水化物が不足すると、セロトニンや睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが十分に生成されず、睡眠の質を下げる可能性があります。さらに、エネルギー不足による夜間低血糖が夜中に目が覚めてしまう原因になる可能性もあります。

夜のアルコール摂取も「よく眠れる」と誤解されやすい習慣です。確かに入眠は早くなることがありますが、アルコールの分解過程で夜中に目が覚めやすくなり、結果的に睡眠の質を低下させることがあります。朝のだるさや熟睡感の低下につながる要因のひとつになってしまうのです。」

明日からできる!朝スッキリ起きるための最強の食習慣

---睡眠の質を上げて朝スッキリ起きるために、明日からすぐに始められる具体的なアクションを教えてください。

かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子さん:

「朝スッキリ起きるために、明日からすぐに実践できて効果が出やすい食習慣を一つ挙げるなら、『朝食でタンパク質+炭水化物を一緒に摂ること』です。これは体内時計と睡眠ホルモンの分泌リズムを整える上で大切な習慣です。

人の体内では、朝食でタンパク質に含まれるトリプトファンを摂取すると、日中に「セロトニン」という神経伝達物質が作られます。セロトニンは精神を安定させるだけでなく、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンの材料になります。つまり、朝に栄養をしっかり摂ることが、その日の夜の眠りの質を左右するのです。ただし、タンパク質だけではトリプトファンが脳に取り込まれにくいため、炭水化物を一緒に摂ることがポイントになります。

具体的には、例えば次のような組み合わせが良いでしょう。

・ご飯+納豆+味噌汁
・トースト+ヨーグルト+ゆで卵
・バナナ+ヨーグルト+小さなおにぎり

このように「主食+タンパク質食品」を意識するだけで、体内時計のリセットとセロトニン合成がスムーズになると考えられています。

また、朝食後にカーテンを開けて日光を浴びるとセロトニン分泌がより促進され、夜の自然な入眠につながります。

朝スッキリ起きるためには、夜の対策ばかりに注目しがちですが、実は朝の食事が大切です。まずは「朝にタンパク質と炭水化物を一緒に食べる」という一つの習慣から始めてみることが、睡眠リズムを整える第一歩です。

「朝の習慣」から見直して、質の高い睡眠を手に入れよう

睡眠の質を上げるためには「夜」の過ごし方にばかり目を向けてしまいがちですが、実は「朝の食事」がその日の夜の眠りを形作っているというのは驚きの事実でした。

極端な糖質制限や、間違った寝る前の習慣を見直し、まずは「朝食でタンパク質と炭水化物を一緒に摂る」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

毎朝のご飯やおにぎりに、卵や納豆をプラスするだけの簡単な工夫で、スッキリとした目覚めと活力ある1日を手に入れられるかもしれません。ぜひ明日から実践してみてください。


監修者:かきねキッチン 管理栄養士 小池三代子
管理栄養士×保育士|実務経験13年|現在はフリーランスの管理栄養士として、栄養相談や献立作成、記事執筆・監修を中心に活動中。「人に寄り添い、無理なく実現できる食生活のサポート」をモットーに、忙しい中でも続けられる、簡単でおいしい時短レシピを発信している。