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医師「腸からのSOSかも?」 下痢や軟便が続く…医師が教える“不調の原因”とは

  • 2025.11.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「体調は悪くないのに下痢・軟便が続く」という人はいませんか?食あたりではない一過性の不調とは異なり、背景には腸内環境の乱れやストレス、自律神経の不調など“腸のSOS”が潜んでいることも。放置すると慢性化のリスクもあり、早めの対処が大切です。

今回は医師の監修の下、長引く腸の不調について詳しく見ていきましょう。

増えている“慢性的な下痢”の背景

腸はストレスに非常に敏感で「第二の脳」とも呼ばれます。忙しさや寝不足、精神的な緊張が続くと自律神経が乱れ、腸の動きが過剰になりやすく、軟便につながります。また、偏った食事・飲酒・抗生物質の影響で腸内細菌のバランスが崩れることも、便が安定しない状態が続く一因となりえます。

ほかに、過敏性腸症候群(IBS)や、初期の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)が隠れているケースもあり、3週間以上続く場合は注意が必要です。

過敏性腸症候群(IBS)は、腸の働きが何らかの原因で過敏になり、腹痛や便通異常が長期間続く状態を指します。主な症状としては、腹痛や腹部の不快感、便秘や下痢が挙げられます

大腸カメラなどの検査では異常が見つからず、機能的な不調が主因になるため「気のせい」と誤解されるなど他人に理解されにくい病気のひとつです。

IBSの発症にはストレスなどが影響していると言われています。脳と腸は神経でつながっており、精神的な緊張状態が腸の動きを乱すこともあるのです。

下痢が続くときの「危険サイン」と受診のポイント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

軟便や下痢が数日続くとき、次の症状があれば早めに受診を検討しましょう。

  • 3日以上続く下痢・軟便
  • 血が混じる・黒い便
  • 発熱、強い腹痛
  • 急な体重減少
  • 夜中に腹痛で目が覚める

これらは感染症や炎症性腸疾患などの可能性もあるので注意が必要です。

下痢が慢性化すると、腸内環境の乱れや炎症の慢性化によって、吸収不良・貧血・免疫低下などの問題を招く可能性があります。また、過敏性腸症候群は「気のせい」ではなく治療が必要な病気です。下痢が続く場合は放置せず、適切な診断と治療を受けることが重要です。

専門家や医療機関では、問診・血液検査・便検査・必要に応じ内視鏡で腸の状態を確認し、整腸剤や食事指導などを行い改善していきます。

腸からのSOSを見逃さないで

“なんとなく続く下痢”は、腸からのSOSであることが少なくありません。放置すると腸の炎症や免疫低下につながるリスクも。体質に合った範囲で発酵食品や水溶性食物繊維を意識した食事、ストレスを溜めない習慣、質の良い睡眠が腸の健康を守るポイントです。

心当たりがあれば早めに対処し、長引く場合は専門医や医療機関で相談しましょう。


監修者:船越真木子(ふなこし・まきこ)
まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック(京都)院長

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2005年神戸大学医学部卒。京都大学医学部附属病院等の勤務を経て、2021年に京都市伏見区に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」を開院。女性のがん死亡数で1位の大腸がんおよび胃がんの早期発見に尽力し、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供。ミッションは「人生を最高に楽しめる体と心を支える」。総合内科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医。

まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック(https://www.makikoclinic.com/