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「たった2年で3店舗の閉店ラッシュ」パルコ、ついにはヨーカドーまで…商業施設激戦区を襲った“大誤算”

  • 2025.11.9

千葉・津田沼駅といえば、かつて「商業施設戦争」と呼ばれるほど多くの商業施設がひしめき合う激戦区でした。パルコ、丸井、イトーヨーカドー、ダイエー…駅周辺には大型商業施設が乱立し、連日多くの買い物客で賑わっていたのです。

しかし、2023年から2025年にかけて、津田沼の顔であった大型商業施設が相次いで閉店を発表。街の風景は大きく変わろうとしています。

都市開発や商業施設の情報を発信するYouTuber・だいまつさんに、実際に津田沼を歩いて感じたこと、そして商業施設が閉店する背景と、この街の未来についてお話を伺いました。

北は「買い物客」、南は「サラリーマン」

---津田沼駅は北口と南口で全く雰囲気が違うと聞きました。実際に歩いてみて、どのような印象を受けましたか?

「本当に印象が全く違いますね。北口が当時のパルコなどを中心とした『商業施設』や『繁華街』であるのに対し、南口は基本的に『開発された住宅街』や『ビル』や『オフィス街』です」

---明確に役割が分かれているんですね。

「『買い物客は北に出ていき、サラリーマンは南に出ていく』という明確な使い分けが、実際に歩いてみて非常によく分かり、面白かったです。南口のビルで働いたサラリーマンが、仕事終わりに北口の飲食店で同僚とご飯を食べて帰る……といった生活が想像できました」

駅を挟んで、商業とビジネスがきれいに分かれている。この構造が、津田沼という街を支えてきたのでしょう。

「商業施設の性格も異なっていました。南口の当時のモリシアは『生活を意識したテナント構成』、対して北口は『買い物目的で津田沼に訪れた人向け』という印象を受けました」

同じ駅前でも、南口は地域住民の日常を支え、北口は広域から人を集める役割を担っていたのです。

「中価格帯アパレル」の苦戦

---2023年から2025年にかけて、津田沼の大型商業施設が相次いで閉店します。この背景をどう分析されていますか?

「まず大前提として、津田沼は『商業施設戦争』と言われるほど、商業施設が乱立していた場所です。新宿や梅田などの大都会を除けば、日本全国で見てもこれほど乱立した場所は他にないのではないでしょうか。だからこそ、閉店も目立ってしまう、という側面があります」

津田沼の特殊性は、その商業施設の密度にありました。これほど多くの施設が集中していたからこそ、時代の変化の影響も大きく現れているのです。

「周辺の大型ショッピングセンターに客足を奪われたのは間違いありません。ただ、それ以上に大きいのは『時代の変化』、特にインターネットの影響だと推測します」

---ネット通販の影響が大きいんですね。

「津田沼の商業施設は、まさに『中価格帯のアパレル』を主力にしていました。価格帯でいうと1万円〜2万円前後の商品です」

---その価格帯が特に厳しいということでしょうか?

「今、ユニクロなどの低価格帯やハイブランドといった高価格帯は実店舗で買う人が多いですが、この『中価格帯』こそが、ネット通販サイトで買う層と最も重複しています」

低価格帯は気軽に試着して購入でき、高価格帯は実物を確認したい。しかし、中価格帯は「ある程度の品質」を求めつつ「効率的に買いたい」層が多く、ネット購入との相性が良いのです。

「ファッションに興味のある人が、実店舗に行かなくてもネットで買えるようになった。この時代の変化に、中価格帯メインのファッションビルが対応しきれず苦戦しているのが、閉店の最大の要因だと私は考えています」

「人を呼び戻す」ことから始まる街の未来

---周辺の巨大開発エリアと差別化を図る上で、今後の跡地にはどのようなニーズが求められるとお考えですか?

「商業施設が減っていくこと自体は、正直、時代の流れとして仕方ないのかなと思っています」

---では、跡地活用はどのような方向性が考えられるでしょうか?

「跡地に何を建てるかですが、私はマンションなどを建て、『住む人』を増やす開発が有効ではないかと考えています」

商業から住居へ。一見後退にも見えますが、これは街の再生につながる可能性を秘めているとだいまつさんは考えます。

「津田沼の街の構造は、駅周辺に商業施設やビルが集中していて、少し離れるとすぐに一軒家が広がる、という形です。駅前に住む人を増やすことで、街の人口、特に若い世代が増えれば、その相乗効果で商業が復活してくる可能性はあると思います」

時代に合わせて進化する必要性

かつて商業で栄えた場所が、今度は「住む場所」として価値を持つ。そして、住む人が増えれば、また新しい形の商業が生まれる可能性があるのです。

「結局のところ、『買う人』がいなければ商業は成り立ちません。まずは駅前に人を呼び戻し、街全体で栄えていくのが良いのではないでしょうか」

津田沼が歩んできた道は、多くの地方都市が直面する課題と重なります。商業施設の閉店は終わりではなく、新しい街の形を模索する始まり。駅前という好立地を活かしながら、時代に合わせて進化していく。それが、これからの津田沼に求められていることなのかもしれません。



動画:【多すぎ】かつて戦争と言われるほど商業施設激戦区だった街で閉店相次ぐ…「千葉・津田沼」

取材協力:だいまつさん『だいまつのどこでも探検隊
都市開発や商業施設、バブル遺産などの情報をYouTubeで発信。独自の視点で街の変化や歴史を伝えている。
・X:だいまつ(@Daimatsu__
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・TikTok:だいまつのどこでも探検隊(daimatsu_


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