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虫歯じゃないけど歯がしみる…「知覚過敏」放置する“3つのリスク”とは?【歯科医師が解説】

  • 2025.10.1
知覚過敏を放置するリスクとは?(画像はイメージ)
知覚過敏を放置するリスクとは?(画像はイメージ)

冷たい飲み物やアイスを食べた瞬間に「キーン」と歯がしみた経験はありませんか。この場合、知覚過敏による症状の可能性があります。「虫歯ではなさそうだから…」と放ってしまう人もいますが、知覚過敏症状を放置すると、歯や全身の健康に思わぬ影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。知覚過敏を放置するリスクについて、愛知学院大学歯学部保存修復学講座助教で歯科医師の前迫真由美さんが解説します。

歯の神経を抜かなければならなくなる可能性も

医薬品や医薬部外品、医療機器などの輸入、製造、販売を手掛けるHaleon(ヘイリオン)ジャパン(東京都港区)の調査によると、20~30代の約60%が「歯がしみることがある」と回答するなど、他世代と比較して若年層でしみる人の割合が大きくなっており、知覚過敏症状は若い世代に身近な症状なのです。

この中には、知覚過敏により歯がしみている人が多く含まれていることが想定されますが、20~30代でしみることがある人で知覚過敏ケア用の歯磨き粉を使用している人の割合は21%にとどまっています。つまり、20~30代で歯がしみる人のうち、約80%が症状を放置している可能性があります。

知覚過敏の原因に「歯ぐき下がり」や「エナメル質が削れたり溶けたりすることによる象牙質の露出」があります。知覚過敏症状を放置すると、次のようなリスクがあります。

(1)虫歯や歯周病のリスク知覚過敏症状により歯がしみることで当該部のブラッシングを避けるようになるため、歯垢(しこう)が蓄積しやすくなり虫歯や歯周病が悪化することがあります。

また、重度の歯周病は死亡リスクが高い糖尿病や敗血症、脳疾患、誤嚥(ごえん)性肺炎などの合併症を引き起こす可能性があり、注意が必要です。

(2)食べ物をしっかりかむことができなかったり、食生活が偏ったりする知覚過敏の症状として、冷たいものや熱いもの、酸っぱいものなど特定の食べ物に対して一時的な鋭い痛みを感じることがあります。この痛みがあると、不快感や痛みを避けるために、食べ物をしっかりかまないケースが増えることがあります。

その結果、摂取する食べ物の種類が限られ、栄養バランスが偏り、栄養不足や他の健康問題を引き起こす可能性があります。

(3)症状があまりにもひどいと神経を抜く必要が生じる場合も知覚過敏症状を放置すると症状が悪化し、歯の内部にある神経にまで影響を及ぼすことがあります。持続的な痛みや神経の炎症、感染などが起きてしまうことがあり、このような状態では、神経を保存することが難しくなり、最終的に「根管治療」という神経を抜く処置が必要になることがあります。

知覚過敏症状の適切なケア方法は「硝酸カリウム・乳酸アルミニウム」入りの歯磨き粉を使用する」「ブラッシングを強くし過ぎない」「歯科医院を受診する」の3点です。

歯がしみる症状ですが、知覚過敏症状を予防する歯磨き粉を使用することで自覚症状の改善がみられています。しみる症状が気になる人は、ぜひ硝酸カリウム入りの歯磨き粉を選んでみてください。

また、現在は知覚過敏症状予防に加え、虫歯予防や口臭予防、ホワイトニングも含めてケアできる歯磨き粉があり、生活者のニーズに合わせて選べるようになっています。自分に合った歯磨き粉を選ぶのがお勧めです。

しみる症状を起こさない、しみる症状を軽減させるためには歯磨き粉以外に、ブラッシングを強くし過ぎないことも重要です。また、日々のセルフケアに加え、必要に応じて歯科医院を受診し、専門的なケアについて相談してみましょう。

オトナンサー編集部

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