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“本脳”に従う方が老けない! 老けない脳の作り方【ヴォーグなお悩み外来】

  • 2025.9.7

脳は人の数だけ違う。個性の塊

MRI or magnetic resonance image of head and brain scan. Close up view

「脳は実に個性的なんです。私のパソコンには500ほどの脳の画像が入っていますが、顔が違うと同じように脳は500個全部違う。見ただけで誰の脳だか分かります。全てが個性。脳は個性の塊なんです」と、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生は話す。

脳の個性とは何だろう? 理系の科目に強いとか文系が得意ということだろうか。

「そうです。脳の個性を、ソフトウェアに例えて、ワード型、エクセル型、パワーポイント型としてみるのも分かりやすいです」と、先生は提案。以下のように分けられる。

ワード型:言語に強い

エクセル型:数字に強い

パワーポイント型:空間認識に強い

ちなみに先生の脳は、パワーポイント型だそう。なんと、5万字を超える原稿や論文もワードではなくパワーポイントで執筆してきたと話す。ここで大切なのは、頭は「良い」「悪い」と一面的に評価はできず、使い方に向き・不向きがあるということだ。日々の診察に加え、膨大な研究や論文執筆を続けていて「頭が良い」と見える先生でも、ワードは苦手。

「僕は国語が不得意で、ワードをいまだに使いこなせないんです。ワードで論文を書けと言われたら、なかなかできないでしょう」

海馬はストレスに弱い

Headache in middle of brain

あなたの脳はワード型? それともエクセル型? 脳の個性を知ることは、自分の能力をいかんなく発揮できたり作業効率を上げたりするのに加えて、脳にストレスをかけることを防止する。

「認知機能がしっかりしている“長寿脳”を目指すには、得意なことをどんどんして脳の個性を伸ばし、脳にストレスがかからないようにすることが大切。というのは、ストレスによって脳が長期間コルチゾールにさらされると、海馬が萎縮し、認知機能が低下する可能性があることが分かっているのです。自分の生まれ持った本来の脳の力、つまり"本脳"に従って生きることが大切です!」

子どもの教育から見直そう

Students doing a creativity project with their teacher in a classroom

不得意なことを無理にすると、脳にストレスを与えてしまうし個性を伸ばせない。そんななか、先生が気になっているのが、日本の教育制度だそう。

「言い方は悪いですが、伸び代がない子どもを予備校に連れて行って、ガミガミ叱っても効果はありません。もちろん、点数が上がるならいいですが、実際には改善しないことも。国語や算数などの主要科目が苦手であれば、音楽スポーツなど、子どもの得意な部分を伸ばす方が効果的です。これは決して親のせいではありません。日本の現在の教育システムが、点数の低い部分を補って総合点や偏差値を上げることを重視しているからです。その負担が、親に押し付けられているのだと思います。自閉症の子どもを治療していると、特にそう感じます。能力が偏っていて、得意な部分と不得意な部分の差が非常に大きいですが、それでも良いところは確実に伸びていきます」

良いところを伸ばす教育の方が、脳科学的にも理にかなっていると続ける。

「成績が伸びない、能力が発揮できない理由は、学習そのものではなく、脳の回路の問題なのです。だからこそ、もっと脳の個性を見極めて成長させるべきだと思います。文系脳と理系脳が明らかに存在するのです。僕は脳を見ると、その違いがわかります」

アルツハイマーも、脳の個性

Home caregiver talking with a senior woman in a nursing home

脳の個性と老化に話を戻そう。アルツハイマー病を避けられればそれがベストだろうが、先生は「アルツハイマー病も、脳の個性ですよ」と、言う。

「ある日、娘がアルツハイマー病のお母さんを連れてきて、『新型コロナの時代には…』と話し始めた。すると、お母さんが『トヨタが新しい車を出したの?』って言ったんですよ。その様子を見て、私はアルツハイマー病であることも一つの脳の個性だし幸せだと感じました。みんなが不安に煽られていた中で、この方だけは不安に囚われることなく、コロナの時代を適応して生き抜いたんです」

スマホによる脳への影響や“スマホ認知症”も心配されているが、先生はどのように考えるのだろう?「私は、むしろスマホを積極的に活用した方が良いと考えています。年齢を重ねて脳が萎縮し始めた場合、スマホは非常に役立ちます。地図が読めなくても、スケジュールを覚えていなくても、スマホが全て教えてくれるので困ることはありませんよね。実際、シンガポールでは、ITやスマホを活用して認知症の人が暮らしやすい環境を整えています」

障害を持つ人や高齢者など、多様な人々が生きやすい社会づくりが求められている。これは、アルツハイマー病を含む、さまざまな脳の特性を持った人々を社会全体で受け入れる必要があるということだ。誰もが“自分らしい脳”に従って生きられる社会を目指すために、まずは自分自身の脳の個性と向き合ってみることが大切かもしれない。

話を聞いたのは……

白澤卓二先生⚫️お茶の水健康長寿クリニック院長、博士(医学)。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。日本で初めて「アンチエイジング」という言葉を使う。

Text:Kyoko Takahashi Editor:Kyoko Muramatsu, Yuna Shibata

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