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荷物を配達→玄関から「足音が近づいてきたのに」…直後、“鍵が閉まるガチャッという音” 元宅配員が語る、居留守の瞬間と葛藤

  • 2025.11.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

突然のチャイムに出られず、思わず居留守を使ってしまった経験、ありませんか?

宅配の現場でも、「在宅だと思うのに応答がない」という場面は、ときどき遭遇していました。

今日は、元宅配員として感じていた“居留守のリアル”と、印象に残ったエピソードをお届けします。

意図せず気づいてしまう居留守の瞬間

宅配員は毎日多くのお宅を訪問しています。

その中で何度も顔を合わせるうちに、「在宅かどうか」を判断する基準が、意図せずに身について行きます。

たとえば、テレビや掃除機などの生活音、赤ちゃんや小さなお子様がいるご家庭や、一部の部屋だけ明かりが点いているなど…。

こうした”気配”は決して意識して探しているわけではありません。

毎日のように訪問していると、自然と耳や目が拾ってしまう情報です。

特に、赤ちゃんや小さなお子様がいるご家庭は、寝かしつけ中でチャイムを小さく設定していたり、お世話や家事で手が離せなかったりと、対応が難しい場面が多くあります。

また、ご高齢の方や足・耳などが不自由な方が暮らしているご家庭では、玄関に出るまでに時間がかかったり、チャイムの音に気づけなかったりすることもあります。

さらに、チャイムそのものが故障しており、押しても鳴っていなかった、ということも意外とあります。

訪問者側は鳴らしたつもりでも、家の中では全く気付かれていない、という状況です。

とはいえ、こうした情報から「在宅だ」と判断して訪問しても、応答がないことはあります。

もちろん、これらすべてを”居留守”と決めつけているわけではありません。

育児、料理、在宅ワーク、電話、体調不良など、どうしても出られない理由は誰にでもあります。

宅配員もそれを理解しているので、「あ、今は対応が難しいんだな」と受け止めて、そっと不在票を取り出すのです。

それでも忘れられない“居留守”の瞬間

正直に言うと、「あ、これは完全に居留守だな」と思う、わかりやすい場面もあります。

とはいえ、それにもそれぞれ事情があると感じさせられる瞬間ばかりでした。

●にぎやかだった子どもの声が、急にしん…となる

夏休みなどで家の中から聞こえる元気いっぱいな声が、チャイムを押したタイミングで一瞬にして無音に。

これは”居留守”というより、立派なお留守番です。

きっと子どもだけで過ごしていて「誰が来ても出なくていいよ」と言い聞かせているのでしょう。

とても健全な対応です。

「お留守番えらい!がんばってね」と心の中で声をかけながら、不在票を入れていました。

●足音が近づいてきたのに、ガチャッ…と鍵が閉まる

とある常連のお客様(70代くらいの男性)のお宅でのこと。

玄関の向こうからいつも通りの足音がした直後に、ガチャッ。玄関が開くのではなく“鍵が閉まった音”がして、そのまま足音が遠ざかっていきました。

「あれ?いま絶対いたよね?」と思いましたが、「今日はたまたま誰にも会いたくない日だったのかもしれない」、あるいは「何か別の、どうしても出られない事情があったのかもしれない」と察することに。

こちらとしても、「心が落ち着いたタイミングで、再配達のご依頼をいただければ大丈夫ですよ」という気持ちで、そっと不在票を投函してその場を離れました。

宅配員の小さな葛藤

宅配員として働いていると、「きっと家には居るんだろうな」と気づく場面は、どうしてもあります。

けれど、たとえ確信に近いものがあっても、お返事がないのであれば、こちらは静かに引くしかありません。

理由はとてもシンプルで、「出られない事情があるかもしれないから」。そして何より、お客様を責めるような伝え方はしたくないからです。

家にいたのに不在票を受け取ると、中にはモヤっとされる方もいると思います。

実際、宅配員としても、「在宅だとわかっているのに、不在票を入れざるを得ない場面」はどうしてもあります。

そのたびに、「このあと、家にいたのにって怒られないだろうか…」という不安や、「再配達の連絡をさせてしまうのも申し訳ない」という気持ちが胸に残ります。

けれど、それでも不在票を入れるのは、お客様の事情を尊重したいからです。

「今は対応が難しい時間なんだろう」と静かに受け止め、たとえ在宅かもしれなくても、不在票を入れて帰るのがルールなのです。

もしこの記事を読んで、在宅していたのに不在票を見つけたとき、それは現場の宅配員たちの小さな葛藤や配慮のかけらでもあるということを、ほんの少しでも知っていただけたら嬉しいです。



ライター:miako

宅配ドライバーとして10年以上勤務しました。
現場で感じたことや、お客様とのやり取りの中で見えてきた、働く人・届ける人・受け取る人などの“宅配にまつわるリアル”を、「荷物」と一緒に運んできた小さなエピソードとともに、今は文章でお届けしています。


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