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「キャンセル料を払え!」高速道路の大規模工事でバスが遅延した結果…→元運転士が語る『理不尽すぎるクレーム』

  • 2025.11.4
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

今回は、バス運転士をしていた頃にあった「利用者からの衝撃的なクレーム」をご紹介します。当時、大規模な高速道路の工事が公表されており、渋滞はもちろん予測していました。

送迎バスの運転士であり運行管理もしていた私は、当日の減便も提案していたのに…施設に受け入れてはもらえず、今でもバスや電車を利用するたび「理不尽だ!」と思い返す出来事の1つです。

予想どおりの大渋滞…そして嫌な予感

日頃から渋滞の多い場所で高速道路の大規模工事が実施されると、周辺の道路は東西南北どの道も渋滞するものです。仕方ないとはいえ、バスの運転士にとって時刻表通りに走れないことは、自分の休憩時間すら削られてしまうことにつながります。

当時行われた高速道路の大規模工事では、普段は夕方の渋滞が日常茶飯事という走り慣れた運行ルートが、朝から夜まで渋滞しました。 

そのとき運行乗務をしていたのは、資格を取得する施設の送迎バスでした。

50分運行で35分遅れ…どうしようもない

1ルート50分運行の送迎バスでしたが、工事に伴う周辺道路の渋滞により、35分遅れが発生しました。まだ、朝から2便目の運行です。

残りの15分では、到底施設へ戻れる状況ではなく、2回目となる状況報告を施設へ連絡します。施設からは、「バス停で待っていたらダメなので、すべてのバス停をまわり、できる限り早く施設へ戻るように」と言われました。

とはいえ、渋滞によって見渡す限り車は停滞しており、信号が青になっても車が動く気配はありません。こうなってしまっては、さすがにお手上げです。

焦って事故につながるよりも、ゆっくりでも確実な安全運転の優先が鉄則です。私は、遅れが35分、40分、45分と拡大していくなかでも、一つひとつバス停を確認し、乗客の見落としがないよう運行を続けました。

40分待ち続けた利用客から理不尽な要求

次の時間にくる便と思われても仕方のないほど遅延している私のバスに、40分待ち続けた利用者が乗車しました。 

車内に足を踏み入れるなり、私は罵声を浴びせられます。

「どれだけ待ってると思っているんだ!40分も待った!もうキャンセル料を払わないといけない!遅れたのはお前だから、お前が払え!!」 

私は呆気に取られました。渋滞でバスが遅れたら、運転士が費用を負担するなんて話があるわけがありません。

数ヶ月も前から施設では、バス運行のお知らせとして渋滞による遅延を掲示し、車内でも案内していました。また、最寄りのバス停から乗車されていることもあり、地元の人が工事渋滞を予測できなかったとは言い難い状況でもあります。

先を急ぎたい私は、施設で話を聞く旨を伝えてバスを発車させましたが、到着までの30分、理不尽な要求は続きました。

毅然とした態度の対話が重要

40分も待たされたことに怒りを覚える利用者の気持ちもわかります。しかし、運転士の立場からすると、交通渋滞はどうにも対処できない事態であることも確かです。

平成の中期だったあの頃、ドライブレコーダーのない送迎バスも多く、運転士は弱い立場でした。そのような時代でも、毅然とした態度で「できないことはできない」と利用者によく伝えたものです。

大切な話であればこそ、感情的にならず、毅然とした態度で「対話」をすることが大切だと感じてなりません。



ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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