1. トップ
  2. 「車のエアコンが効かないんです…」ベテラン自動車整備士の言葉に絶句…“勘”に頼る整備の落とし穴

「車のエアコンが効かないんです…」ベテラン自動車整備士の言葉に絶句…“勘”に頼る整備の落とし穴

  • 2026.3.10
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「車のエアコンが効かないんです…」

昨今の温暖化の影響もあり、夏場に起きれば命に関わるトラブル。原因はコンプレッサー?それともセンサー?実はその答えは“経験”ではなく“配線図”の中にありました。

今回は、ベテラン整備士とのやり取りを通して見えた、今の時代に必要なスキルについて紹介します。

エアコンが効かない…原因は“経験”ではなく“配線図”の中にあった

相談を受けたのは、ある日産車のトラブル。コンプレッサーが作動せず、風は出るのに冷えないという症状でした。電装系の診断に欠かせないのが“配線図”。どこから電源が来て、どこを通り、どこで制御されているのか。これを整理しない限り、原因には辿り着けません。

私はまず「配線図を確認しましょう」と伝えました。そして怪しい部分に印を付けて送ってほしいと言われ、マークをして返送。ところが、その後の電話で返ってきた言葉は予想外でした。

「配線図は来たけど…で、どうしたらいい?」

どうやら配線図を見た時点で、思考が止まってしまった様子。電気系統のトラブルは、図面を“読めるかどうか”でスタート地点が決まってしまうのです。

ベテランでもつまずく“電気診断の基本”

相手は顔見知りの整備士。私より年上で、業界歴も長いベテランです。しかし、そこからのやり取りは、まるで授業のようになりました。

「このポイントで電圧を測ってください」「テスターは直流レンジに合わせてください」「黒はボディアース、赤はこの端子です」

とアドバイスを一つひとつしていきました。電圧の測定方法そのものが曖昧で、「なぜそこを測るのか」という理由まで一から説明することに。正直な感覚は、専門学生に授業をしているようでした。

・来ているはずの電圧が来ているか
・アースは正常か
・制御信号は出ているか

この積み重ねでしか、原因は絞り込めません。最終的に辿り着いたのは、IPDM E/R(電源を統合管理するユニット)の不良。ここに行き着くまでに必要だったのは、特別な裏技ではなく、配線図を読み取り、制御の流れを確認して順序よく点検すること。もしこれを飛ばして「たぶんコンプレッサーだろう」と部品交換を繰り返していれば、時間も費用も無駄になっていたはずです。

車は進化している。整備士もアップデートできているか?

今の車は、まさに“電気のかたまり”。エアコン一つ取っても、スイッチ信号、ECU制御、リレー、各種センサーが複雑に絡み合っています。かつてのように「経験でわかる」「勘で当てる」という時代ではありません。

これは整備士だけの問題ではなく、私たちユーザー側にも関係します。今の車は、家電と同じくコンピューター制御が前提です。もし整備の説明を受けたときに、「測定しました」「配線図で確認しました」という言葉があれば、それは一つの安心材料になるかもしれません。

経験は大切です。けれど、経験だけでは足りない時代になりました。家族や大切な人を乗せる車だからこそ、地味で地道な確認作業を経て確実に直すことが必要です。整備する側も、その姿勢を忘れてはいけない。そんなことを痛感した、エアコン修理の一件でした。


▶︎2分で完了!日常の"モヤッとした"体験、TRILLでシェアしませんか?【投稿はこちら】

の記事をもっとみる