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「想像以上」「毎週観ちゃう」初回放送から評判の作品、先生や生徒が主役じゃない学園ドラマ【月10】

  • 2025.8.4

磯村勇斗主演の学園ドラマ、カンテレ・フジテレビ系 月10『僕達はまだその星の校則を知らない』(毎週月曜よる10時)が、静かに、しかし着実に視聴者の心をつかんでいる。初回放送時からSNS上で「毎週観ちゃう」「想像以上に良かった」と評判の本作において、第3話では「盗撮事件」というセンシティブな問題を扱いながら、その裏にある人間の誤解や対話の難しさ、そして再生の可能性が丁寧に描かれた。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

“盗撮”という誤解が生んだ分断

本作の最大の魅力は、学園ドラマでありながら主人公が教師でも生徒でもない「スクールロイヤー」である点にある。学校という密室空間に“第三者”として派遣される弁護士・白鳥健治(磯村勇斗)が、法律と常識の狭間で揺れる教育現場に冷静な光を投げかける。その白鳥自身が「学校が苦手」という設定も、本作のバランス感覚の鋭さを物語っている。

第3話の軸となるのは、2年生の女子生徒・三木美月(近藤華)による「盗撮されたかもしれない」という被害申告である。疑われたのは同級生の内田圭人(越山敬達)。三木の肩にスマホが向けられていたという目撃証言から、事件は一気に緊張感を帯びる。

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月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』第3話より(C)カンテレ・フジテレビ

しかし、ここで白鳥は一線を画す。感情的に突っ走ろうとする教師・山田(平岩紙)を制止し、「証拠を消してしまえば真実は闇の中」と論理的な視点で状況を整理する。最終的に、教師・幸田珠々(堀田真由)が画像確認役として立ち会い、画像には三木の肩にとまった“珍しいテントウムシ”が映っていたことが判明する。

視聴者にとっては驚きの展開だが、決して荒唐無稽ではない。この“誤解と対話”というテーマが、本作の根幹を支えている。

論理と感情、そのはざまで揺れる主人公

このエピソードの白眉は、三木が真相を知った後の対応にある。「勝手に撮らないならもういい」と語り、内田を許す三木。その表情には、被害者としての尊厳と、相手を理解したことで得られる安堵がにじむ。

この瞬間、視聴者は「問題の解決」とは単に“加害者を罰すること”だけではないことに気づかされる。関係修復という選択肢もまた、人間社会において大切な解決の一形態なのである。

同様に、内田の背景である「テントウムシを10年間研究してきたオタク的な情熱」が、加害意図のない「熱中ゆえの過ち」であることも丁寧に描写されている。本作は加害・被害という二項対立ではなく、立場の違いによって生まれる“すれ違い”を克明にすくい取る。

 

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月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』第3話より(C)カンテレ・フジテレビ

白鳥健治というキャラクターは、感情的な判断を拒む。そのスタンスはときに冷たく映る瞬間もあるが、根底には「問題を整理し、関係者の合意を最優先する」という強い倫理観がある。

今回、白鳥は三木と内田の問題に対して、すぐに謝罪や処罰を要求するのではなく、証拠の確保と状況の確認を最優先した。それは彼が「学校」という制度、学校においての法でもある校則を軸に、生徒一人ひとりの「人生」と向き合っていることの証左である。

視聴者にとっても、この“理性による介入”のあり方は新鮮だ。学校という閉鎖空間において、「話し合いができる場所を作ることの大切さ」を、白鳥という存在が体現している。

このドラマが描くのは、青春ではなく「選択の連続」だ

一方、もう一つのエピソードとして描かれたのが、廃部になった天文部の再建である。高瀬佑介(のせりん)と江見芽衣(月島琉衣)の小さな願いが、珠々や白鳥を巻き込みながら“希望の火”として描かれる。

これは決して大きな事件ではない。しかし、だからこそリアリティがある。部活動という場所にこそ、自分の居場所やアイデンティティを見つける生徒たちがいることを忘れてはならない。

高瀬や芽衣のささやかな願いに寄り添おうとする珠々の葛藤も、教育現場のリアルである。担任業務とバレー部の顧問を抱えながら、天文部再建にどこまで関われるか。この“現場の悩み”が描かれることで、作品により多層的なリアリティが宿っている。

『僕達はまだその星の校則を知らない』は、青春の輝きや葛藤を描く学園ドラマの枠を超え、「人生における選択の連続」を問いかけるドラマである。スクールロイヤーという外部の存在を通じて、学生生活をどう生きるか、起こった問題をどう乗り越えるかを視聴者にも突きつけてくる。

それでも人は、話し合うことで分かり合える。そんな希望を、わずかでも信じたい。そう思わせてくれる第3話だった。


カンテレ制作・フジテレビ系列 月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』 毎週月曜よる10時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧・Twitter):@yuu_uu_