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「気づいちゃった」最終回ラストシーンで続編“匂わせ”演出か『ドクターX』につづく“シリーズ化”に期待【木曜ドラマ】

  • 2026.3.11

松嶋菜々子主演ドラマ『おコメの女ー国税局資料調査課・雑国室ー』が、3月5日に最終回を迎えた。東京国税局に新設された架空部署「複雑国税事案処理室(通称・ザッコク)」を舞台に、凄腕調査官・米田正子(松嶋)が個性的なメンバーとともに悪徳脱税者を追い詰めていく痛快エンターテインメント。平均視聴率は8.9%と好成績を記録し、SNS上では「もう終わりなのか」「シリーズ化しそう」「最後のシーンで、気づいちゃった」という声も続出。勧善懲悪の爽快感とクセの強い世界観で話題を集めた本作は、最後まで“おコメらしさ”を貫きながら幕を閉じた。

※以下本文には放送内容が含まれます。

最終回が見せたチーム総力戦

ザッコク解体の期限が迫るなか、米田正子たちが最後の大仕事に挑む姿が描かれた最終回。
そのターゲットとなったのは、元経済産業大臣・鷹羽宗一郎(千葉雄大)の元秘書で、政治家の道を歩み始めた灰島直哉(勝村政信)と、さとやま信用組合の理事長・佐古田蔵之介(井上順)。なんとこのふたり、巨額の隠し資産、いわゆる“埋蔵金”を新潟の祭りの混乱に紛れて移動させようとしていたのだ。

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『おコメの女ー国税局資料調査課・雑国室ー』第9話より(C)テレビ朝日

新潟の実家に向かった正子は、父・田次(寺尾聰)から、大量の印鑑と賄賂の記録が残された手帳を受け取る。そこから浮かび上がる不正の構図。ザッコクのメンバーは、それぞれの得意分野を活かしながら追跡を続け、ついに米俵に隠された埋蔵金を突き止める。
このクライマックスは、本作の魅力であるチームプレーが最大限に発揮された場面でもあった。

“ガサ入れの魔女”と恐れられる飯島作久子(大地真央)、強運だけが取り柄の古町豊作(高橋克実)、人心掌握術に長けた俵優香(長濱ねる)、数字のスペシャリスト笹野耕一(佐野勇斗)。個性の強いメンバーがそれぞれの役割を果たしながら、一つの事件を解決していく。まさに“ザッコク総力戦”と呼ぶにふさわしい最終回だった。

シリーズ化を匂わせるラスト

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『おコメの女ー国税局資料調査課・雑国室ー』第9話より(C)テレビ朝日

最終回の放送後、SNSでは早くもシリーズ化を望む声が相次いだ。続編や劇場版を求める期待がこれほど高まったのは、最終回が明らかに“続き”を彷彿とさせる作りになっていたからだろう。
作中ではザッコクの解体が決定するものの、ラストシーンでは『複雑国税事案処理室』のパネルの“室”の上に“課”のシールが貼られていた。これは、部署が形を変えて存続する可能性を示唆しているようにも見える。

さらに正子自身も、まだ暴くべき悪事が残っている事実を示す、意味深な言葉を残して去っていく。まるで次の戦いを予告するかのような終わり方だ。
テレビ朝日の木曜ドラマ枠は、『ドクターX』や『緊急取調室』などシリーズ化された人気作品を数多く生み出してきた。本作もまた、その系譜に連なる作品として、続編が制作されても不思議ではない。

新しい脚本体制“チームライティング”という挑戦

『おコメの女』が話題を呼んだ理由の一つが、その独特すぎる世界観だった。
本作では、主に米の収穫や農業をモチーフにしたメタファーが随所に登場する。主人公の名前が米田正子であることをはじめ、キャラクターや設定には“米”を連想させる要素が数多く散りばめられていた。この演出については、正直言って視聴者の間でも賛否が分かれていたように思う。ノリきれないといった戸惑いの声がある一方、逆にクセになるといった反応も散見された。

しかし、この奇抜さこそが本作の個性でもあった。脱税という難解な経済犯罪を、農業のメタファーを通してシンプルに表現することで、勧善懲悪の構図をわかりやすくしているともいえる。

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『おコメの女ー国税局資料調査課・雑国室ー』第9話より(C)テレビ朝日

そして何より、その世界観を成立させていたのが松嶋菜々子の存在感だ。
凛とした佇まいと圧倒的な説得力を持つ彼女が演じることで、どれほどユニークな設定でも不思議とリアリティが生まれる。正子の“収穫”という言葉には、どこか痛快なカタルシスがあった。

もう一つ注目すべき点は、脚本の制作方法だ。本作の脚本クレジットは『g.O.A.T』。これは複数の脚本家によるチームライティング体制を意味している。
日本のテレビドラマは、これまで一人の脚本家が作品全体を担当するケースが多かった。しかし近年、海外のドラマ制作で一般的な“ライターズルーム”方式を取り入れる動きが広がりつつある。複数の脚本家が意見を出し合いながら物語を構築していくこの方法は、新しい発想や多様な視点を取り入れることができる。

奇抜な設定、痛快な勧善懲悪、そして個性豊かなチーム。『おコメの女』は、王道のエンターテインメントでありながら、独特の世界観で視聴者の記憶に残る作品となった。
そして最終回は、その物語がまだ終わっていないことを強く感じさせる内容でもあった。ザッコクの戦いは、まだ続くのかもしれない。次は、どんな“収穫”が待っているのだろうか。


テレビ朝日系 ドラマ『おコメの女ー国税局資料調査課・雑国室ー』毎週木曜よる9時
TVerで見逃し配信中
https://tver.jp/episodes/eph3kxolqk

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_