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賞味期限切れの味噌は食べても大丈夫?食べると危険な状態や安全な保存方法を専門家が解説

  • 2025.7.8

味噌は保存がきくイメージがあるけれど、実は賞味期限が設けられているとはいえ、「味噌汁を作るときくらいしか出番がなくて、冷蔵庫に眠ったまま……」なんてことも多いはず。

今回は、管理栄養士の荒井名南さんに、味噌の賞味期限や美味しく保存するための方法について、詳しく解説してもらった。味噌の期限と上手な保存方法について、改めて見直してみよう!(下記「」内、荒井さん)。

味噌の「発酵」と「腐る」状態の違い

味噌の賞味期限って、つい「長いはず」と思いがち。その理由のひとつが、発酵食品だからという安心感かもしれない。確かに一度発酵してるなら長持ちしそうな気もするけれど、「発酵」と「腐る」はまったくの別物。まずは、このふたつの違いをしっかり知っておこう。

「味噌は、麹菌や酵母などの微生物の力を借りてつくられる発酵食品です。『発酵』は、微生物の働きによって人体に有益な状態になることを言います。

一方、『腐る』というのは、食品が微生物によって劣化し、食べると体に悪影響を及ぼす状態のことを指します。発酵と腐敗は、どちらも微生物が関わっているものの、人体にとって良い作用か悪い作用かが異なるということです」。

味噌の「賞味期限」と「消費期限」はどこが違う?

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「『賞味期限』は、おいしく食べられる期限のこと。正しい保存条件のもとで、味や香り、風味などの品質が保たれる期間を指しています。この期間を少し過ぎただけで、すぐに食べられなくなるわけではありません。

一方の『消費期限』は、安全に食べられる期限を意味します。たとえばお弁当やサンドイッチ、生菓子など、傷みやすくて日持ちしない食品にはこの表示がされています。消費期限を過ぎた食品は、たとえ見た目に変化がなくても、食中毒のリスクが高くなります。

味噌は塩分濃度が高い発酵食品であり雑菌が繁殖しにくく、比較的長く保存できることから『賞味期限』が表示されています。もちろん、保存状態によっては、賞味期限内であっても風味が損なわれたり、変質することもあります。そのため、開封後はできるだけ早めに使い切るのが理想的です。賞味期限はあくまでも『未開封で適切に保存した場合』の目安です。安全に食べるために、購入したら冷蔵庫で保管し、開けた後は清潔な器具で使う分だけ取り出すなどの工夫をしましょう」。

味噌の種類別・賞味期限の目安を知ろう

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味噌には赤味噌、白味噌、合わせ味噌、減塩タイプやだし入りのものまでさまざまな種類がある。実は、種類によって賞味期限の長さに違いがあるという。各味噌の特徴と一緒に賞味期限の目安を見ていこう。

【赤味噌】

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「赤味噌は大豆を長時間水に浸けてから蒸して作り、大豆や麹菌に含まれるアミノ酸が糖と反応して褐色になる『メイラード反応』が十分に起こることで色が濃く仕上がります。塩分が多く、熟成期間も長いため保存性が高いです」

賞味期限:およそ6か月~1年ほど

【白味噌】

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「白味噌は塩分が控えめで、発酵期間も短めで保存性はやや低い味噌です。やさしい甘みとまろやかさが特徴」

賞味期限:およそ3か月ほど

【合わせ味噌】

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「合わせ味噌は、米味噌と豆味噌、米味噌と麦味噌など異なる2種類以上の味噌を合わせたものです」

賞味期限:およそ6か月

【減塩味噌やだし入り味噌】

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「減塩味噌やだし入り味噌は塩分が少なかったり、だしの成分が加えられていたりすることで、保存性が低くなり、通常の味噌よりも傷みやすくなっています。冷蔵保存が基本です」

賞味期限は:およそ3か月

味噌を購入するときは、賞味期限だけでなく『開封後は冷蔵庫で保存してください』などの表示にも注目を。開封後の保存方法は、味噌の風味や品質を保つためにとても大切。表示がある場合は、しっかり従うようにしましょう」。

賞味期限切れでも大丈夫?味噌の色や匂いでわかる変質・腐敗のサイン

前述のように、賞味期限は「おいしく食べられる期間」であり、期限を過ぎたからといってすぐに食べられなくなるものではない。

保存状態が良ければ、賞味期限を1か月程過ぎていても問題なく使えることもありますが、未開封なのか開封後なのか、冷蔵や常温などの条件によって状態が異なるため、一概に『このくらいなら大丈夫』という期間を示すのは難しいのが現実です。

気をつけたいのは、明らかに『腐敗』しているサインです。以下のような状態が見られたら注意しましょう」

◆腐敗しているときに現れるサイン

● ツンとした刺激臭や、すっぱい匂いがする
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● 味噌が糸を引いてベタベタしている
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● 表面に黒や緑、ピンクなどのカビが生えている
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「これらは雑菌やカビによって味噌が腐ってしまったサインです。口にするとお腹を壊すおそれもあるため、食べずに処分するようにしましょう。

また、味噌の表面に白いカビのようなものが見られることがあります。これは『産膜酵母(さんまくこうぼ)』と呼ばれ、カビとは異なり人体に無害な物質です。ただ、風味を損なうので取り除いてもよいでしょう。

そして、味噌の上に液体が見られることがありますが、これは『みそたまり』といって味噌が発酵・熟成する過程で分離する、旨味が詰まった液体です。品質に問題はありません。

『ちょっと色が変わってきたかも?』『前より匂いが強くなった気がする……』と感じたときは、無理に使わずに、味や状態をしっかり確認して判断してください」。

味噌の保存方法に関するよくあるQ&A

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味噌は保存方法に迷うもの。よくある味噌の保存方法に関する疑問を解消!

Q常温保存 はOK?

A「直射日光を避けた冷暗所であれば、常温保存も可能です。ただし、夏場の高温になる場所や、キッチンまわりの温度が上がりやすいところに置くと、味噌の発酵が進みすぎて色が濃くなったり、香りが変わってしまうこともあるので、未開封であっても冷蔵庫で保存するとよいでしょう」

Q 開封後の保存方法は?

A「空気に触れることで酸化や乾燥、雑菌の混入が起こりやすくなります。そのため、開封後はラップをかぶせてフタをしっかり閉め、冷蔵庫または冷凍庫で保存します。味噌は冷凍庫に入れても凍らないため、そのまま料理に使えます。温度が低いことで発酵の進行もゆるやかになり、約3〜6か月ほど保存が可能です。

また、使うときには清潔な器具を使こともポイント。水分が混ざると雑菌が繁殖しやすくなるため注意しましょう」

Q手作り味噌の保存の注意点は?

A「手づくり味噌や熟成タイプの味噌は、市販の味噌よりも発酵が進みやすいことがあります。涼しい場所での常温保存でもよいですが、品質を保つために冷蔵保存がおすすめです。いずれの場合も、使用前にしっかりと味噌の状態をチェックして使うようにしましょう」

味噌をおいしく使い切るアイデア

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「味噌って、味噌汁を作るときにしか使わないかも……」なんて思っていない?ついつい冷蔵庫の奥に残ってしまいがちな味噌。でも、せっかくなら美味しいまま使い切りたいところ。そこで今回は、そんな味噌を上手に活用できるアイディアレシピをご紹介。いつもの食卓にちょっとしたコクと深みをプラスしてくれる料理ばかりなので、ぜひ試してみて!

① 「炒め物」や「焼き料理」に

「特に濃い色の味噌は風味も強いので、油と相性の良いメニューに使うとおいしさがぐっと引き立ちます。豚肉の味噌炒め、ナスの味噌炒め、鶏もも肉の味噌漬け焼など、香ばしさがポイントになる料理にぴったりです」

②「味噌だれ」や「ディップ」にアレンジ

「変色しても、風味がしっかりしている味噌は、万能調味料としても使えます。みりんや砂糖、ごまを加えて田楽味噌』にしたり、マヨネーズやヨーグルトと混ぜてスティック野菜用のディップにすれば、ちょっと大人の味わいに。少量でもパンチの効いたアクセントになりますよ」

③「煮込み料理」にもコクをプラス

おでんや豚汁、味噌煮込みうどんなど、長時間火を入れる料理なら、多少風味の強い味噌でもまろやかに仕上がります。特に寒い季節には、体の芯から温まるメニューとして活躍してくれます」

まとめ

いかがでしたか?賞味期限が長いと思われがちな味噌も、実は保管の仕方によって風味や品質が大きく変わってしまうこともある。おいしく使い続けるためには、パッケージの表示だけを頼りにせず、色や香りなど、味噌そのものの変化にも目を向けながら使っていくのがポイント。毎回料理に使う時は、状態をしっかりチェックしてから使うようにしていこう!

お話を伺ったのは……

Women's Health
荒井名南(あらい・めいな)さん

管理栄養士、健康食育ジュニアマスター、離乳食アドバイザー1992年、千葉県生まれ東京医療保健大学卒業後、保育園で5年間給食管理に携わり、独立。現在は「親子のしあわせごはん」をテーマにWEB媒体の記事執筆・監修・レシピ提供をする他、地元の農産物を使った商品開発などを手がける。2児の母。

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