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エマ・トンプソンの夫、体外受精を断念した当時の悲しみを明かす

  • 2026.11.2

『ザ・クラウン』などで知られる英俳優のグレッグ・ワイズが、妻で女優のエマ・トンプソンと2人目の子どもを望んで体外受精(IVF)を続けたものの、授からなかった当時のつらさを振り返った。2026年10月、英Guardianに掲載された新著の抜粋で、当時の悲しみと、そこから立ち直るまでの道のりを率直につづっている。(フロントロウ編集部)

『いつか晴れた日に』の撮影現場で出会った2人

グレッグとエマが出会ったのは、ジェーン・オースティンの小説を映画化した『いつか晴れた日に』(1995年)の撮影現場だった。エマは脚本を手がけたうえで姉エリノア役を演じ、グレッグは白馬に乗って颯爽と現れる青年ウィロビーを演じた。

交際をタブロイド紙に察知された2人は、しばらくロサンゼルスで暮らした後、イギリスへ戻り、交際から約3年が経った頃に子どもを持とうと決めた。しかし、なかなか子どもを授からず、エマは40歳を目前にしていた。

グレッグは当時の心境について、「僕たちは存在意義を揺るがすような危機に陥りました。女の子は大きくなったら母親に、男の子は父親になると、子どもの頃に読んだ物語はどれも教えてくれていた。だから、エマは『ちゃんとした女性』ではなく、僕は『ちゃんとした男性』ではないのだと」と振り返っている。子どもを授かれないことは、一つの可能性を失うようなものであり、2人は深い悲しみと恥の感覚に苦しんだという。

1回目で授かった娘ガイア、その後の「治療を終える決断」

検査の結果、自然妊娠は難しく、体外受精が唯一の選択肢だと告げられた。グレッグは、体外受精という治療法が存在すること自体は「本当にすばらしい」としながらも、「同時に過酷でもある」と表現している。ホルモン剤の投与や注射、検査が続く日々は、エマの体に大きな負担をかけた。自分にできるのは支えることだけだったと振り返り、「僕は短距離を少し走るだけ。彼女はマラソンを走っていました」とも記している。

1回目の体外受精で、エマは40歳の誕生日を迎える数日前に妊娠が判明。そして1999年12月、娘のガイアが誕生した。

ところが、ガイアが1歳を過ぎた頃に再び始めた体外受精は、何度挑戦してもうまくいかなかった。そしてある日、医師の診察室で2人は治療をやめることを決断する。グレッグはそれを「それまでの人生で一番難しい決断」と表現している。

頭では治療を終えるしかないと理解していても、気持ちは追いつかなかった。まだ生まれていない子どもを授かれない悲しみは、周囲に理解されにくく、喪失を悼むための儀式もない。2人はそれぞれ孤独を感じ、その悲しみはやがて深い抑うつ状態へと変わっていったという。

セラピーで気づいた、夫婦の「悲しみ方の違い」

イングランド北部出身の男性らしく、医者にかかるのが苦手だったというグレッグは、セラピーにも懐疑的だった。それでも、治療を終える決断から数カ月後、深い落ち込みから抜け出せず、助けを求める必要があると悟った。

最初に受けたセラピーは、感情を言葉にすることを重視するもので、自分には合わなかった。そこで出会ったのが、問題のパターンを紙に書き出して整理する認知分析療法(CAT)だった。大学で建築を学び、物事を図にして考えることに慣れていたグレッグには、この方法がしっくりきたという。

セラピーを通じてグレッグが気づいたのは、エマと自分では悲しみとの向き合い方がまったく違っていたことだった。エマは感情を強く表に出す一方、自分は思考を通じて悲しみを受け止めようとしていた。互いの苦しみ方を理解できず、さらに苦しんでいたのだと振り返る。

そして、目の前にいる娘の存在に改めて目を向け、「僕たちは家族だった。今あるものは、どんな喪失感よりもはるかに大きいのだと思えるようになりました」とつづっている。

その後、2人はルワンダ出身で、かつて少年兵だったティンディエブワ・アガバ・ワイズ(愛称ティンディ)を家族に迎えた。英HELLO!によると、エマとティンディが出会ったのは2002年、難民支援団体のイベントでのこと。ティンディがロンドンで路上生活をしていたと知ったエマが自宅に招いたことをきっかけに交流が始まり、後に正式な養子縁組を伴わない形で一家の一員となった。

エマはかつて、「もう子どもを持てなかったことはつらかった。でも、もし持てていたら、ティンディとのこの『もう一つの子育て』は経験できなかったかもしれません」と語っていた。

今回の文章は、悲しみをテーマにしたグレッグの新著『Grief Talking(原題)』からの抜粋で、同書はイギリスで2026年11月5日に刊行される予定だ。エマ・トンプソンと30年以上にわたって人生を共にしてきたグレッグが明かした胸の内は、同じように不妊治療と向き合う人たちにとっても、一つの支えになるかもしれない。

※本記事はメンタルヘルスに関する内容を含みます。心の健康について相談したい場合は、下記をご利用ください。

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