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「急いでるの、試供品を5つ全部ちょうだい」毎週サンプルだけ求める客。だが、店長が告げた正論とは

  • 2026.10.7

聞き取りを断って差し出された手

私は化粧品売り場で販売の仕事をしています。試供品をお渡しするときは、肌の状態や、これまで化粧品でかぶれたことがないかなどを確認する決まりになっていました。

ある日の夕方、40代くらいの女性客がカウンターにやってきました。肌についてうかがおうとすると、女性客は腕時計を見て首を横に振ります。

「急いでるの。試供品を5つ全部ちょうだい」

「お肌に合わないと困りますので、少しだけ確認させていただけますか」

「大丈夫よ。何かあっても自分の責任だから」

そう言って、女性客は手を差し出しました。

私は戸惑いながらも、化粧水からクリームまで5種類の小さな袋を渡しました。

ところが、それから女性客は毎週のようにやってきて、同じように試供品を求めるようになりました。

商品を買っていったことは一度もありません。

気になった私は、試供品を渡した日と種類をノートに残すようにしました。

ひと月ほどたった朝、本部から、店頭で配っているものと同じ試供品がフリマサイトに出品されているという連絡がありました。

画面には、私が女性客に何度も渡していたものと同じ5種類が並んでいました。

もちろん、誰が出品したものなのかまでは分かりません。それでも、私は気になって店長にノートを見せました。

「この方、毎週のように5種類ずつ持って帰っているんです」

店長は記録に目を通すと、少し考えてから言いました。

「分かった。次に来られたら、私からお話しするね」

いつものように差し出された手

次の週、女性客はまたカウンターにやってきました。

「この前の試供品、また5つちょうだい」

いつものように手を差し出した女性客に、今度は店長が声をかけました。

「申し訳ありません。以前にも何度かお渡ししていますので、今回はまとめてご用意することができないんです」

女性客は棚を見て、眉をひそめました。

「え?まだあるじゃない」

「はい。ただ、数に限りがありますので」

「試供品なんでしょ?別にいいじゃない」

店長は落ち着いた口調のまま答えました。

「気になる商品を試していただくためにお渡ししているものなんです。必要なものがあれば、一緒に選ばせていただきますよ」

女性客は少し黙ったあと、棚の化粧水を指さしました。

「だって、これ2千円もするじゃない」

「そうですね。無理に買っていただかなくても大丈夫です。気になるものがあれば、ご相談だけでも承ります」

女性客は「じゃあ、もういいわ」と小さく言うと、差し出していた手を引っ込め、そのまま売り場を離れていきました。

数日後、気になってフリマサイトを確認すると、あの出品は消えていました。

ただ、最後まで誰が出していたものなのかは分かりませんでした。

店長は私のノートを返しながら言いました。

「記録しておいてくれて助かったよ。ありがとう」

翌朝、最初に来たお客様は肌についての質問に最後まで答え、試供品を1つ持ち帰りました。いつも通りのやり取りなのに、その日は少しほっとしたのを覚えています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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