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「客が頼んでるんだぞ」売り場の紹介カードをはがそうとした男性。だが、店長の一言で顔色が真っ赤に

  • 2026.10.7

色えんぴつで描かれた紹介カード

生活雑貨の店の一角に、期間限定で各地のラーメンを集めた売り場ができていた。

棚の商品には、どんぶりの絵や味の特徴を色えんぴつで描いた手書きの紹介カードが添えられている。

私はかごを持ったまま、どれにしようかと読みくらべていた。

隣には60代くらいの男性客がいて、そのうち3枚のカードを長いこと眺めていた。

やがて、近くで商品を補充していた20代くらいの女性店員を呼び止め、カードを指さした。

「この絵、いいな。このカード、もらえないか」

「ありがとうございます。こちらは売り場で使っているものなので、コピーでしたらお渡しできます」

しかし男性は首を横に振った。

「コピーじゃ駄目だ、今ついてるカードをくれよ」

「申し訳ありません。期間中は外せなくて…」

店員が言い終わらないうちに、男性の声が大きくなった。

「客が頼んでるんだぞ。紙切れ3枚くらい、はがせばすむだろう」

そう言って男性が棚のカードに手をのばすと、店員はあわてて両手を広げ、棚をかばった。

通路にいた何人かの客が振り返る。私も買い物どころではなくなり、かごを持ったままその場に立っていた。

店長が伝えた、渡せない理由

すると、40代くらいの女性が通路の奥から早足でやって来た。名札を見ると店長だった。

店長は男性と若い店員のあいだに入るように立ち、落ち着いた声で話しかけた。

「こちらはスタッフが1枚ずつ描いた、売り場用の案内なんです」

「だから、それが欲しいって言ってるんだ」

「これを外してしまうと、売り場の案内がなくなってしまいます。申し訳ありませんが、お渡しすることはできません」

男性は顔を赤くし、「こっちは客だぞ」と言いかけた。

店長は表情を変えずに続けた。

「コピーでしたら、すぐにご用意できます。ただ、今ついているものはお渡しできません」

男性はそこで周囲を見回した。棚の端や通路の向こうでも、何人もの客が手を止めている。

近くにいた親子連れの母親も、子どもの手を引いて一歩下がった。

しばらくすると、男性はのばしていた手を下ろした。

結局、コピーも受け取らないまま棚に背を向け、品物も手に取らず出口のほうへ歩いていった。

店長は若い店員の肩に手を置き、ずれていたカードを指でまっすぐに直した。

私はようやく棚に向き直り、色えんぴつで描かれたどんぶりを、もう一度ゆっくり読みくらべた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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