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「書いてる場合か、運転手を出せ」営業所へ怒鳴り込んだ男性。だが、窓の外を見て黙った理由

  • 2026.10.7

午後の事務室に響いた大きな声

私は運送会社の営業所で、事務の仕事をしています。入口のすぐ内側に受付の台があり、その奥が私の席です。さらに奥には所長の机があり、窓からは駐車場が見えます。

ある日の午後、入口のドアが勢いよく開きました。60代くらいの男性が入ってくるなり、受付の台に手をつき、大きな声で話し始めます。

「どうなさいましたか」

私が立ち上がると、男性は息を切らしながら言いました。

「おたくのトラックにあおられたんだよ。どうしてくれるんだ」

話を聞くと、1時間ほど前、国道を走っていたところ、後ろからトラックにぴったりつけられたそうです。

車線を変えても離れなかったため、車体に書かれていた会社名を頼りに、この営業所まで来たとのことでした。

「確認しますので、場所と時刻を教えていただけますか」

「1時すぎだよ。川の橋を越えたあたり。緑のでかいトラックだった」

私は聞いた内容をメモしました。「緑」と書いたところで、少し引っかかりました。うちのトラックは白です。

しかし、私が口を開くより先に、男性が身を乗り出しました。

「何を書いてるんだ。書いてる場合か、運転手を出せよ」

声はさらに大きくなり、受付台をたたく音まで事務所に響きます。私は確認に必要なことを書き留めていただけでしたが、怒鳴られ続け、ペンを持つ手が震えました。

所長が確認した、時刻と車体の色

すると、奥にいた所長が私の隣まで来ました。私のメモに目を通し、男性に頭を下げます。

「責任者です。今、運行記録を確認しますので、少しお待ちください」

数分後、所長は記録を持って戻ってきました。

「お待たせしました。確認しましたが、その時間にお話の場所を走っていた当社の車はありませんでした」

男性が何か言おうとしたところで、所長は窓の外を指しました。駐車場には白いトラックが並んでいます。

「それと、緑色とおっしゃいましたが、うちのトラックは全部白なんです」

男性は窓の外を見てから、もう一度、台の上の記録に目を落としました。さっきまで受付台についていた手が、ゆっくり下がります。

所長は責めるような言い方はせず、続けました。

「怖い思いをされたのは本当だと思います。ただ、隣の町に名前のよく似た会社があります。そちらの連絡先をお書きしましょうか」

男性はしばらく黙ったあと、今度は私のほうを向きました。

「……悪かった。あんたに怒鳴ることじゃなかったな」

「いえ。お怪我がなくてよかったです」

男性は連絡先を書いた紙を受け取り、胸のポケットにしまいました。入ってきたときとは違い、帰りのドアは静かに閉まりました。

そのあと、所長が私にメモを返しながら言いました。

「時刻と場所を聞いてくれてたから、すぐ確認できたよ。ありがとう」

震えていた手から、ようやく力が抜けました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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