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「とにかく私は暑いんじゃい」と開き直り…阿川佐和子(72)が語った、更年期をのりこえるための「対処法」とは

  • 2026.9.22

「喉もと過ぎれば更年期。一つ失うたびに笑ってみる。そんなに楽しいことばかりじゃないけどね(笑)」と語るのは、エッセイストの阿川佐和子さん(72)。52歳頃に本格的に始まったホットフラッシュと約10年間向き合ったといいます。阿川さんが語った、老いてゆく身体への「ささやかな対処法」とは?

ここでは、著書『年とる力』(文春新書)を一部抜粋して紹介します。(前後篇の後篇)

阿川佐和子さん ©文藝春秋

◆◆◆

ではその間、どうやって対処したか。今は治療法も進んでいるようで、副作用の少ない漢方療法とかホルモン補充療法などが行われているようですが、私は自然に任せたいと思ったので、医学的な療法には頼りませんでした。

そのかわり、自分なりのささやかな対処を一つずつ重ねていきました。

たとえば、前髪が額に当たるだけでイライラする。当時は少し長めの前髪を斜めに流していたのです。これがイライラの元になる。ならば短く切ろう。

そう思い、ハサミを握り、眉毛よりだいぶ上までばっさり切り落としました。ワカメちゃんのようになりました。私自身は、木村カエラ気分だったんですけどね。どちらにしても、おかげですっきり。

かつては少し長めの前髪を斜めに流していた(2012年撮影) ©文藝春秋

とにかく私は暑いんじゃい

やたらに暑い。夏は特に暑い。ノースリーブを着たいけれど、腕が太いので二の足を踏む。そうなんです。告白するのも憚(はばか)られますが、顔がさほど大きくないわりに、手足は太くて短い。若い頃、夏にノースリーブのワンピースを着て出かけると、仕事仲間の男性が私の腕のあたりに視線を落として、

「あれ? アガワさん、少し太った?」

必ず言われました、必ず! 今ならセクハラになりそうですが、当時はそんな発想はなかったからねえ。言われたくはないけれど、事実だったのでしかたがない。

どちらかというと着やせするタイプらしく、冬場、長袖を着ているとわからないのですが、ノースリーブの服を着た途端、予想をはるかに超えた太い腕があらわになって、驚かれるという始末です。

何度も言われるうちに情けなくなり、以後、

「人前でノースリーブは着ない」

ことを自らに課しました。でも更年期になり、そんな意地を張っている場合ではなくなった。ええい、何でも好きに言うがいい。とにかく私は暑いんじゃい。開き直りました。

「ちょっとつらいお年頃なもんで」

あと、お化粧をするたびに汗が溢れ出てくるので、可能な限りスッピンで外を歩くことにしました。

テレビの仕事のときはメイクさんがきれいに作り上げてくれるから、スッピンでテレビ局へ行く。ラジオの仕事のときは、一緒に放送するお相手には失礼ながら、リスナーの皆様には見えないからスッピンで。近所の買い物はもちろん、しだいに近所ではない買い物や用事や、気の置けない友との会食のときでも、スッピンで済ませるようになっていきました。

ときどき、出くわした相手に「あれ?」という顔をされてもなんのその。

「ごめんなさいね、スッピンで。今、ちょっとつらいお年頃なもんで」

断りを入れれば許されるだろうという身勝手な方針で突き進みました。

額に当たるだけでイライラする…ストレスの原因になっていた前髪をカットしてすっきり(2017年撮影) ©文藝春秋

知られているほうが、圧倒的に楽

昔の女性は更年期障害なんぞという言葉を口にするのも憚られたと思います。でも今では男性も更年期障害を自認する時代。そうであることを周囲に知られているほうが、圧倒的に楽です。恥ずかしいからと内に秘めて一人で我慢するよりも、汗をタラタラ流しながら、

「すいませんね。こういうお年頃なの」

あちこちでそう断りを入れておけば、詳細はわからずとも、なんとなく理解してくれる。男性とて優しく対応してくれる。いい時代になったと思います。

更年期に女性ホルモンが激減し、最後にはすっかりなくなってしまう。つまり更年期になって閉経すると、もう女性ではなくなる。そんな言い方がまかり通っていた時代と今は違います。

もちろん若い頃のような女性ホルモンいっぱいの身体ではなくなりますが、女性でなくなるわけではない……はず。

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