1. トップ
  2. エピソード
  3. 「あの、みんな並んでるよ」子供が並ぶ滑り台で横入りした親子。その後、子どもが自分から最後尾へ向かったきっかけ

「あの、みんな並んでるよ」子供が並ぶ滑り台で横入りした親子。その後、子どもが自分から最後尾へ向かったきっかけ

  • 2026.9.17
「あの、みんな並んでるよ」子供が並ぶ滑り台で横入りした親子。その後、子どもが自分から最後尾へ向かったきっかけ

夕方の滑り台に、列ができていた

去年の夏の夕方、仕事が早く終わった日に、私は息子を連れて近所の大きな公園へ行きました。

遊具の周りは子どもたちでにぎわっていて、滑り台の階段には列ができていました。

息子は自分から最後尾に並びました。私は少し離れた木の下から、順番が回ってくるのを見ていました。

そこへ、4歳くらいの子どもを連れた母親がやってきました。

ところが母親は列の後ろへ向かわず、そのまま横から子どもを階段へ上がらせようとしました。

並んでいた女の子が、不思議そうに声をかけました。

「あの、みんな並んでるよ」

母親は一瞬立ち止まりましたが、子どもの背中に手を添えたまま答えました。

「ごめんね。この子、まだ待つのが苦手で」

女の子が戸惑った顔をすると、母親は子どもに向かって言いました。

「ほら、行っておいで」

周りの子たちは何も言いませんでしたが、何人かが顔を見合わせていました。私も、声をかけたほうがいいのか迷いました。

子どもはそのまま階段を上り、滑り台を滑りました。

母親は近くのベンチに腰を下ろし、その様子を見ていました。

滑り終えた子どもは楽しそうに笑うと、もう一度階段へ向かって走り出しました。

「次は、あっちに並ぶんだよ」

そのとき、階段の下で順番を待っていた小学生くらいの男の子が声をかけました。

「ねえ、次はあっちに並ぶんだよ」

4歳くらいの子は足を止めました。

「あっち?」

男の子が列のいちばん後ろを指さします。

「うん。順番に並んだら、また滑れるよ」

子どもは階段と列を交互に見ました。

「また滑れる?」

「滑れるよ」

少し考えたあと、子どもはくるりと向きを変え、とことこと列の最後尾へ向かいました。

その様子を見ていた母親もベンチから立ち上がり、子どものところへ歩いてきました。

「あれ、並ぶの?」

子どもは母親を見上げました。

「うん。ここに並んだら、また滑れるって」

母親は列を見てから、少し困ったように笑いました。

「そっか。じゃあ、ここで待とうか」

それから、近くにいた子たちに小さく頭を下げました。

「さっきはごめんね」

大げさなやり取りにはなりませんでした。子どもたちも特に何か言い返すことなく、列はそのまま少しずつ進んでいきました。

やがて、その子の番が回ってきました。

勢いよく滑り降りると、今度は迷うことなく列の最後へ走っていきます。

母親も追い越させることはせず、少し離れたところからその姿を見守っていました。

誰かに強く注意されたわけではありません。それでも、大人が言い聞かせるより、同じように遊んでいる子どもの何気ない一言のほうが、すんなり伝わることもあるのだと感じた夕方でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ