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子どもが首を痛がる。見逃してはいけないサインをクリニック理事長林裕章先生にお伺いしました

  • 2026.5.11

朝起きてきた子どもが「首が痛い」と言い出した。これって寝違えたの?そもそも子どもにも寝違えって起こるもの?他の症状の可能性もある?そんな疑問について、林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生にお話をお伺いしました。

ママ広場

朝起きたお子さんが「首が痛い」「動かせない」と泣き出すと、保護者の方はとても心配になりますよね。大人であれば「ああ、寝違えたかな」で済むことも多いですが、子どもの首の痛みには、それだけでは片付けられないケースが隠れていることがあります。
この記事では、お子さんの首の痛みに直面したときにご家庭でまずできることと、受診の目安をわかりやすくまとめました。

そもそも、子どもも寝違えるの?

子どもも寝違えのような首の痛みを起こすことはあります。
ただし、大人の寝違えとは少し事情が違います。大人の場合は、デスクワークや肩こりの蓄積が背景にあることが多いのですが、子どもは筋肉や関節がまだ柔らかく、寝ているときの無理な姿勢、急に振り向いた動き、転倒や遊び中のちょっとした衝撃がきっかけになります。
さらに意外なことに、風邪や中耳炎・扁桃炎のあとに首が動かなくなることも、子どもでは珍しくありません。

風邪のあとに首が傾く?子ども特有の落とし穴

「風邪で首が曲がるの?」と驚かれるかもしれませんが、小児整形外科の現場では実際にしばしばみられます。
首の一番上と二番目の骨をつなぐ関節は、首を左右に回す働きをしています。子どもではこの関節を支える骨がまだ成長途中のため、大人よりずれやすいのです。中耳炎や扁桃炎などの炎症が周囲に広がると、関節がねじれた状態で固まってしまうことがあります(「環軸関節回旋位固定」といいます)。
日本小児整形外科学会も、この状態は初期治療がとても大切であり、1週間経っても改善しなければ専門的な治療が必要になると説明しています(出典:日本小児整形外科学会「斜頸~赤ちゃん編~」)。
ここで大切なのは、「単なる寝違えだろう」と自己判断して、無理に首を戻そうとしたり、マッサージしたりしないことです。かえって悪化することがあります。

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ご家庭でまずできること

◆楽な姿勢で休ませる
「まっすぐ向きなさい」と無理に直したり、首を揉んだりひねったりするのは避けてください。
◆冷やしすぎない
痛いところが熱を持っている時は冷やしてもいいですが、冷やすなら、タオルで包んだ保冷剤を短時間あてる程度に。急性期でないときはどちらかというと温めた方がいいことも。
◆スマホ・タブレットの姿勢を見直す
うつむいたまま長時間見る姿勢や、寝転んでの動画視聴は首への負担大。画面を目の高さに近づけ、30分に1回は休憩を。小さなことですが、繰り返しの蓄積が首への負担を減らします。
※痛みが強い場合や長引く場合は、自己判断で対処を続けず、早めに医療機関に相談しましょう。

こんなときはすぐ受診を。見逃してはいけないサイン

以下のような症状がひとつでもあれば、「寝違えだろう」と決めつけず、早めに医療機関を受診してください。
●発熱・のどの痛み・中耳炎のあとに首が傾いている
●転倒や打撲のあとから首を痛がる
●首が傾いたまま戻らない、顔の向きが固定されている
●痛みが強く、少し動かすだけで泣く
●頭痛・嘔吐・手足のしびれ・ぐったりしている

多くの場合は1~2週間で改善しますが、上記のような症状がある場合は検査や専門科への相談が必要です(出典:日本小児整形外科学会「斜頸~赤ちゃん編~」)。

小児科?整形外科?どちらに行けばいい?

迷ったときの目安をまとめます。

◎小児科がよい場合:
発熱がある、のどが痛い、風邪をひいていた、中耳炎を繰り返している、ぐったりしている——など、全身状態が心配なとき。感染症が背景にないかを確認してもらうことが大切です。

◎整形外科がよい場合:
転んだ・ぶつけた・スポーツ中に痛めた、首が傾いたまま戻せない、痛みが数日経っても続く——など、骨や関節の問題が疑われるとき。とくに首が傾いたまま固定されているように見える場合は、環軸関節回旋位固定の可能性があるため、整形外科での評価が重要です。

迷う場合は、まずかかりつけの小児科に相談してください。
必要に応じて整形外科、耳鼻科、眼科などに紹介してもらえます。
※なお、目を開けているときだけ首が傾き、目を閉じると傾きがなくなる場合は「眼性斜頸」といって斜視が原因のことがあり、眼科の受診が必要になることもあります。意外と知られていないポイントです。

おわりに

子どもの首の痛みは、多くは筋肉のこわばりや軽い寝違えのようなもので、数日で改善します。しかし、子どもの場合は「風邪のあとに首の骨がずれて動かなくなる」という、大人ではあまり起こらない特有のトラブルがある点は覚えておいていただきたいと思います。
ご家庭で心がけたいことは、
・無理に動かさない
・痛み以外の症状をよく見る
・長引くときは受診する
の3つです。

お子さんの様子がいつもと違うと感じたら、早めに医療機関へ相談してください。

※本記事の作成・推敲にあたり、文章構成案および表現整理の補助として生成AIを使用しました。医学的内容については医師が確認し、必要に応じて公的機関・専門学会等の情報を参照しています。

執筆者

プロフィールイメージ
林裕章
林裕章

林外科・内科クリニック理事長。国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。

現在、外科医の父と放射線科医の妻と、その人その人に合った「人」を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域のかかりつけ医として総合診療を行っている。科学的根拠だけでは語れない、人間の心理に寄り添う医療を実践している。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。

林外科・内科クリニック

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