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「そんなにお母さんの味にしたいなら、お母さんが作ってよ」と怒った私が、母のノートで見たもの

  • 2026.9.17
ハウコレ

母の料理ノートには、最近書き足された日付が並んでいました。肉じゃが、煮魚、だし巻き卵。どれも私が実家で作った日です。何の日付かと聞いた私に、母は鍋を混ぜたまま答えました。

実家で夕食を作ると、私が始めた料理はいつの間にか母の味になっています。

私の料理が母の味に変わるまで

1人暮らしを始めて半年、月に1度ほど実家へ帰り、その日は私が夕食を作ることにしていました。1人でもちゃんと暮らしていることを、口で言うより見せたかったのだと思います。ところが台所に立つと、母は昔から使っている料理ノートを持って横に来ます。人参に包丁を入れれば切り方を直され、煮汁を作ればしょうゆの分量を家のやり方に合わせるよう言われました。私が味見をして決めた味にも、母はノートを見ながら調味料を足していきます。食卓に並ぶころには、私が作り始めたはずのものが母の味に近づいていました。

「そんなにお母さんの味にしたいなら、お母さんが作ってよ」

3回目に夕食を作った日は肉じゃがでした。人参を切っていると、また横から「その切り方だと、火が通りにくいよ」と言われます。私は包丁を置きました。「そんなにお母さんの味にしたいなら、お母さんが作ってよ」。母は少し黙ってから、「私が作ったら、あなたが覚えられないでしょう」と答えました。私は毎日、自分の部屋で料理をしています。それでも母から見れば、まだ何も覚えていない娘なのだと受け取りました。次に帰るときは、作ると言うのをやめようと決めました。

料理ノートに残っていた日付

次の帰省では母が夕食を作りました。手が離せないから分量を読んでほしいと頼まれ、私は棚から料理ノートを取ります。表紙は擦れ、ページの端には調味料の跡がついていました。煮物のページを探している途中、肉じゃがのレシピの横に日付が書かれているのに気づきます。先月、私が作った日でした。煮魚にも、だし巻き卵にも、同じように最近の日付があります。何の日付かと聞くと、母は鍋を混ぜながら「一緒に作ったことが、ほとんどなかったから」と答えました。子どものころ、母は帰りが遅く、夕食は作り置きでした。私は温めて先に食べ、母が帰るころには自分の部屋にいました。母の作った肉じゃがも煮魚も何度も食べてきたのに、作り方を教わった記憶はありません。母は「全部、私と同じ味にしなくていいんだけどね。一度くらいは一緒に作っておきたかったの」と続けました。

そして...

母のやり方が嫌だったことは変わりません。それでも、ノートを持って横に来ていた理由は、私が思っていたものとは違っていました。次に帰った日、私は自分からノートを開き、まだ日付のない鶏の照り焼きのページを選びました。切った鶏肉を見た母は、先に「前より包丁の使い方、慣れたね」と言います。それから「大きさはそろえてね」と続けました。私は何も言わず、次の1切れを少しだけ小さく切りました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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