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反医療思想の家庭に生まれた女性が薬剤師となり人を支える道へ。問題のある家庭で育った10人の葛藤と人生の選択を綴ったノンフィクションコミック【書評】

  • 2026.9.16

【漫画】本編を読む

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

「問題」のある家族で育った子どもは、その後どんな人生を歩むのか。『うちは「問題」のある家族でした』(菊池真理子/KADOKAWA)は、ギャンブル依存症やDV、児童虐待、マルチ2世、きょうだい児、ヤングケアラーなど、家族内に困難を抱えて育った10人の当事者に取材をして描かれたノンフィクションコミックである。家族の問題としっかりと向き合い、そして困難を乗り越えてきた当事者たちの声が綴られている。

そのなかのひとり、反医療思想を持つ父親のもとで育った摩耶は、幼い頃から風邪をひいても薬ではなく砂糖玉を与えられていた。父親は謎の自己啓発セミナーに傾倒し、さらにその影響は母親にも及んでしまい、摩耶にとって家庭は安心できる居場所ではなくなっていく。そのため中高一貫の有名女子校に進学するも周囲になじむことができず、いじめに遭い、高校生になるとリストカットをするまで追い詰められてしまう。

それでも摩耶は親の反対を押し切り、保健室の先生の勧めで精神科への通院を決意する。不眠に苦しんでいた日々は薬によって劇的に変わり、そこから薬学に興味を持つようになる。理解のある担任の先生や数少ない友人との出会いにも支えられ、やがて薬剤師の道に進む。かつて父親によって遠ざけられていた「薬」で、多くの人々を支える立場になるのだ。

ひとつひとつの家族にそれぞれの価値観や習慣があり、その環境の中で育てられた子どもは、学校など社会と接していく年齢になるまでは家族が絶対的な正義であり、何がおかしいのかを知る術はない。本書に登場する当事者たちは、そんなどうにもならない事情と、家族という簡単には割り切れない関係に対する感情と葛藤を抱えながら、自分なりの生き方を模索していく。

家庭の問題はひとりの力で解決することは難しいが、周囲の助けを得たり、親とは異なる価値観に触れたりすることで道を開くことができる。過去に苦しめられた10人は、それぞれどんな選択をして今にたどり着いたのか。もし本書の登場人物と同じような悩みや苦しみを持っているとしたら、その状況から一歩踏み出すためのヒントをもらえるはずだ。

文=ゆくり

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