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60代ひとり暮らし。黒部移住で2カ月半過ごして変わった、私の「あたりまえ」

  • 2026.9.15

60代ひとり暮らし。黒部移住で2カ月半過ごして変わった、私の「あたりまえ」

年金だけでは暮らせそうにない……それなら毎月10万円の収入を生み出す仕組みをつくる! そして住み慣れた大阪を離れ、自然豊かな黒部へ移住。60代ひとり暮らしの中道あんさんは、自分らしい暮らしを楽しみながら、新しいことに挑戦中です。今回のテーマは、移住2カ月半で変わったこと!

大阪ではできない犬との生活を楽しむように

黒部市に移住して2カ月半が経ちました。大阪の都会暮らしから富山県の田舎暮らしへ。場所が変われば、ルールは変わる。新しい土地で、これまでの固定概念が自然に変わりました。それこそ、ゴミ出し一つにしても、大阪ではマンションのごみ捨て場にいつでも出せて、分別も比較的ゆるやかでした。ところが黒部では、細かな分別に加え、曜日も時間も決められています。そして、地域全体にゴミが落ちておらず非常にきれいです。これは田舎だからではなくて、住民の間に「環境を守ろう」という意識が根付いているのを感じます。

美しい町は、与えられたものではなく、自分たちで創っていくものだという気持ちになりました。

わが家の愛犬のガクにとって、移住することでどのような変化が起きるのか心配していましたが、彼にとっては楽しいことが増えたようです。わが家のインナーガレージには、娘の車を止めています。ほぼ毎日のように、ガクを車に乗せて出かけてくれます。もともとドライブが大好きな犬でした。でも、これまで車に乗れるのは「特別な日」だけだったのです。

大阪の生活では車を持っていなかった娘。ガクにとっては、ある日を境に「ママの娘から車に乗せてくれる姉さん」へと認識が変わり、娘がやってくると、それはもう大歓迎です。どうやら「姉さんが家にくれば僕も一緒に車に乗せてくれる」と学習したようです。

だからでしょうか、朝起きたら、玄関の土間でずっと娘が来るのを寝て待っているのです。その健気な姿に、私たちも心を打たれて、海に連れていって海岸を散歩したり、大きな公園でクン活を存分にさせたりしています。大阪ではできない犬との生活を楽しむようになりました。犬を飼った当初から、土の匂い、風の音、大自然を冒険するような環境で野生の「犬らしさ」を存分に引き出せたらと思っていました。でも、現実的に大阪では、そんな触れ合いを「あたりまえ」にできなかったんです。

今年9歳になり、シニアの年齢になりましたが、やっと犬を飼い始めたときからの夢の暮らしが実現しそうです。

ここへ来なければ知らなかった自分に、次々と出会っています

黒部での暮らしは自然豊かで最高ですが、買い物に関しては日常の食品や消耗品は買えても、大阪のデパートで売っているような「ときめく買い物」をする場所はありません。人生60年、服や靴、小物などの買い物はデパート派でした。丁寧な接客や上質なアパレルが好きだったのです。でも、のどかな黒部で暮らしてみると、そのスタイルは必要ありませんでした。一度も出番がなかったからです。黒部の美しい自然には、アウトドアブランドが似合いそう。夏はTシャツにパンツスタイルで過ごすことが多く、ネットで購入するようになりました。

私がオシャレして出かける場所は、お洒落なカフェやレストラン、ホテルのアフタヌーンティーでした。でも、いまは首にタオルを巻いて畑仕事に勤(いそ)しみ、ひとりでは食べきれないほどの野菜を収穫して料理することが楽しみになりました。おかげで、これまで作ったことのないようなレシピにも挑戦するようになりました。

うちの畑では、夏野菜の代表格「茄子」が立派に育ちました。いくら好きでも毎日だとさすがに飽きてしまいます。だから、飽きないように料理を工夫しました。麻婆茄子。はさみ焼。味噌炒め。ピリ辛和え。ステーキ。スタミナ焼き。合わせる食材や調味料を工夫して主役級の一品作りに励みました。そのおかげで、フードロスはゼロ。そして、外食が減って食費も大幅に削減できました。

秋になれば、大根やブロッコリー、葉物野菜を植える予定です。それを、自分だけが食べるんじゃなくて、欲しい人に箱詰めにして届けることを楽しみにしています。

黒部に移住して、まだ2カ月半。

それなのに、ずっと「あたりまえ」だと思っていたことが、いくつも変わりました。

人は「価値観を変えよう」と思っても、そう簡単には変われません。でも、場所を移動すると、それまでの「あたりまえ」が通用しなくなる。新しい土地のルールに戸惑ったり、知らなかった楽しみを見つけたり、「これまで必要だと思っていたけれど、なくても平気だった」と気づいたりする。

物書きをしている私は、新しい場所へ行くこともひとつの「インプット」だと思っています。そこで見たもの、感じたことを、自分なりに暮らしや文章に「アウトプット」していく。その繰り返しが、これまでとは違う人生を創っていくんじゃないかと思います。

移住のような大げさなことでなくても、知らない土地へ旅してみる、いつもと違う町へ出かけてみる。知らない店に入ってみる。普段なら選ばないことをやってみる。いつもとは違う人と話してみる。

ほんの少し自分をいつもの場所から動かすだけでも、それまで見えていなかったものが見えることがあります。

63歳で大阪から黒部へ移住した私も、ここへ来なければ知らなかった自分に、いま次々と出会っています。

人は考え方を変えてから動くのではなく、動いたから考え方が変わることもある。

だから私はこれからも、ときどき自分を「いつもの場所」から動かしてみようと思っています。


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