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小学校受験で家庭がぐちゃぐちゃに。自己肯定感の低いワーママが小学校受験にのめり込んだ結果【著者対談】

  • 2026.9.13

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「小受」。就学前の子どもたちが、名門小学校への入学を目指す小学校受験のことだ。未就学児たちの進学塾とも言える幼児教室の送迎や、親子揃っての面接など、保護者がかかわるタスクの多い小受は、家族全員にとっての戦いでもある。しかし、中学受験や高校受験に比べると受験者は少ないため、小受とはどんなものなのか詳しく知る人は多くないだろう。

『君の背中に見た夢は』(外山薫:原作、たちばな豊可:漫画/KADOKAWA)は、そんな小学校受験に挑む家族の物語である。「子どもの将来の選択肢を増やせるのは自分だけ」という責任を感じながら、仕事との両立や夫との関係で葛藤する母親・茜の姿は共感必至だ。

原作小説の著者であり、慶應義塾大学出身という経歴を生かして教育分野での発信を続ける作家の外山薫さんと、3人の子どもを育てながら漫画家として活躍するコミカライズ版の著者・たちばな豊可さんのふたりに、本作に込めた想いや制作の裏話について伺った。

※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。ご了承の上お読みください。

——小学校受験のリアルな実態が描かれる一方で、本作にはお受験を通して成長する家族の姿がドラマティックに描かれていますね。

外山薫さん(以下、外山):受験って目的ではなく手段ですから、いい学校に入れば幸せになれるわけじゃないですよね。我々の世代は、いい学校を出ていい会社に入ったらそれでゴールだって信じてきましたけど。だから、物語の中でも合格して万々歳みたいなのはやめようと思っていて。

主人公の茜は、娘の将来の選択肢を増やすためにお受験をさせますが、途中で家庭がぐちゃぐちゃになって「自分の人生における子育てとは」「私は子育ての中で何をしたかったのか」を見つめ直します。子育てって自分の100%を注ぎ込んでしまいがちだけど、実はそうじゃないよね、っていう気づきを得るところまでをひとつの物語にしたいなと思っていて。

幼児教室の大道寺先生は私が作ったキャラクターですが、「お受験の目的は合格ではなく、大事なのはそれまでの過程」というセリフは我ながらいい言葉だったなと思います。

私自身は、あまりにもフェアじゃない小学校受験に対して“そこまでする必要がある?”と懐疑的で、自分がやらせたいとは思いません。しかしお受験対策にあるような「子どもと一緒に虫を採って、季節のものを食べて…」みたいな生活の中で学びを取り入れられる部分はいいな、と感じています。

——家族と一緒に過ごす中で、自然と学びの機会を増やせるのは素敵なことですよね。小学校で段階を踏んで学ぶようなことを就学前に習得する、というのが幼児教育の特徴だなとも感じます。

外山:これはお受験経験者から聞いたんですが、昔だったら一緒に住んでいるおじいちゃん・おばあちゃんが生活の知恵を教えてくれたけど、それが核家族化で途切れてしまって。一周めぐって、幼い頃からそういった体験をさせようとする小学校受験が注目を集めている、という流れはあるかもしれません。このような仕組みはよくできているなと思います。

たちばな豊可さん:私も、茜がお受験を通して自分の人生について葛藤するところはちゃんと描きたいと思いました。私自身、仕事を持ちながら子育てをしていると、独り身だったらもっと漫画を描けるのに…など、あまりきれいではない感情が出てくることがあって。

子育てと自分の人生を天秤にかけないといけないときもある、という悩みについては、自然とボリュームを割いて描いていた部分です。まあ、茜さんは仕事と子育てをしっかりと両立できるスーパーウーマンなのですが…。

外山:茜は、スーパーウーマンなんだけど自己肯定感が低いのがポイントなんですよ。いわゆる有名大学に進んでも、私立中学から来ている友人たちとの差は一生かかっても埋められない。勉強以外のバックグラウンドを考えると、大学に入るまでの時点ですでに勝負は決まっている、という。上には上がいるので、自己肯定感が上がらない仕組みになっている。

この設定は、私の文学的な世界観も関係しています。みんながみんな気にすることではないだろうとは思いますが、私を含めて心に引っかかる人は一定数いる。そういうねちょねちょしたところはちゃんと書いてあげたいな、と思いました。

取材・文=吉田あき

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