1. トップ
  2. エピソード
  3. 「名前で呼んであげたほうがいいんじゃないですか」運動会で聞こえた母親が子供を呼ぶ時の言葉。他の保護者が思わず注意したワケ

「名前で呼んであげたほうがいいんじゃないですか」運動会で聞こえた母親が子供を呼ぶ時の言葉。他の保護者が思わず注意したワケ

  • 2026.9.14

名前ではない呼び方が、招集の列のわきで聞こえた

秋の運動会でのことです。

子どもの学年の競技が終わり、私はグラウンドの端で次の招集を待っていました。

子どもと同じ学年に、三人きょうだいの真ん中の男の子がいました。その日は母親と、上の男の子、真ん中の男の子、下の妹がそろって来ていました。

以前から、少し気になっていたことがあります。

母親は上の子と妹には名前で声をかけるのに、真ん中の子だけ、名前ではない少し乱暴な呼び方をすることがあったのです。

家の中ではそういう呼び方なのかもしれない。

よその家のことだし、と私は口を出さずにいました。

競技の合間、その男の子の友達が母親のところへやってきました。

「ねえ、○○どこ?もう並ぶ時間だよ」

母親はテントのほうを見ながら、笑って答えました。

「ああ、馬鹿ならまだ来てないよ。さっきテントの裏にいたけど」

思いがけない言葉に、私は思わず母親のほうを見ました。

すると、隣にいた妹まで笑いながら続けます。

「馬鹿、まだ来てないね」

母親の口ぶりをそのまま覚えているのでしょう。妹には誰かを傷つけようという様子はなく、いつもの呼び方を口にしただけに見えました。

友達は一瞬黙り、それから小さく「そっか」と返しました。

周りにも保護者や子どもがいましたが、何人かは聞こえなかったように前を向いていました。私も、何と言えばいいのか分かりませんでした。

そのとき、すぐ後ろにいた保護者が、少しためらいながら声をかけました。

「あの、すみません」

「はい?」

「余計なことだったらごめんなさい。その子のこと、名前で呼んであげたほうがいいんじゃないですか」

母親は目を丸くしました。

「え…ああ、これですか? 家ではいつもこうなんです。本人も何も言わないし」

保護者は少し間を置いてから答えました。

「そうなんですね。でも、友達もいる前だったから、ちょっと気になってしまって」

責めるような言い方ではありませんでした。

母親は何か返そうとしましたが、周りをちらりと見て、そのまま口を閉じました。

次に聞こえたのは、その子の名前だった

友達が「もう集合しないと」とテントのほうを見ました。

母親は少し間を置いてから言いました。

「○○なら、さっきテントの裏にいたよ。悪いけど呼んできてくれる?」

「うん、行ってくる」

友達が走っていき、少しすると二人で戻ってきました。

母親は真ん中の男の子を見つけると、今度は名前を呼びました。

「○○、もう並ぶんでしょ。急いで」

男の子は母親のほうを見て、「うん」と答え、友達と一緒に招集の列へ向かいました。

妹もその姿を見つけ、母親の手を引きました。

「お兄ちゃん、あそこにいるよ」

母親は小さくうなずきました。

やがてスタートの合図が鳴り、二人は白い線の向こうへ走っていきました。

あのあと、家の中でも呼び方が変わったのかは分かりません。

ただ、その場では母親がもう一度その呼び方をすることはなく、最後まで男の子を名前で呼んでいました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ