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「昔は男運なかったからねぇ」披露宴で新婦の恋愛話を続けた親族。思わず披露宴の笑い声が消えた

  • 2026.9.13

予定になかったスピーチが、歓談の途中で始まった

大学の同期の披露宴だった。

地方のホテルの宴会場には円卓が八つ並び、招待客は80人ほど。乾杯を終えたあとは、あちこちの卓から笑い声が聞こえる和やかな雰囲気だった。

歓談が始まってしばらくしたころ、新婦側の親族席で一人の男性が立ち上がった。

グラスを手にしたまま、司会の女性へ声をかける。

「ねえ、俺もちょっとしゃべっていい?」

司会は進行表へ目を落とし、少し困ったように答えた。

「このあとは進行がございますので、できればお席で…」

「ほんの少しだけ。すぐ終わるからさ」

男性は笑いながら司会のそばまで歩いていった。司会もその場で強く断りきれなかったのか、「では、短めにお願いします」とマイクを渡した。

最初は、新婦が子どものころに運動会で転んだ話や、飼っていた犬の話だった。

新婦も困ったように笑いながら聞いていた。

ところが、途中から話の内容が変わった。

「いやあ、この結婚が決まったって聞いたときは驚いたよ。だって◯◯は(新婦)、昔はほんと男運なかったからねぇ」

それまで聞こえていた笑い声が止まった。

新婦は笑顔のまま固まり、新郎も男性のほうへ視線を向けた。

それでも男性は会場の空気に気づいていないようだった。

「いや、本当なんだって。昔は男運なかったんだよ、この子」

隣に座っていた同期が、小さな声でつぶやいた。

「……二回も言うか」

私も黙ってうなずいた。

少しして、男性はまた笑いながら同じ話に戻った。

「だからさ、◯◯は昔、本当に男運なくてねぇ」

同期がテーブルの下で指を三本立てた。

三度目だった。

今度も、会場から笑いは起きなかった。

親族席から二人が立ち上がった

それでも男性は話を続けようとした。

「前に付き合ってた人なんか、そりゃもう…みんな心配してたんだよ」

そのとき、新婦側の親族席から女性と若い男性が立ち上がった。

二人は司会の近くにいる男性のところまで歩いていく。

女性が男性のそばで、声を抑えて言った。

「もう、そのくらいにしておきましょう」

「いやいや、ここからいい話になるんだって」

男性はまだマイクを離そうとしなかった。

すると若い男性も、困ったような顔で口を開いた。

「今日はそういう話をする日じゃないでしょう。もう席に戻ろう」

男性は二人の顔を見て、しばらく黙った。

「……分かったよ」

そう言って、ようやくマイクを司会へ返した。

二人に促されるようにして親族席へ戻ると、男性はそのまま自分の椅子に座った。

司会は少し間を置いてから、会場へ向き直った。

「ありがとうございました。それではここで、新婦はお色直しのため中座となります」

少し遅れて、会場に拍手が広がった。

新婦は席を立ち、会場の出口へ向かった。途中で一度だけ親族席のほうへ顔を向け、先ほど男性を止めた二人に小さく頭を下げた。

隣の同期が、ほっとしたように息を吐いた。

「……止めてくれる人がいてよかったな」

「ほんとにね」

私もそれ以上は言えなかった。

親族席では、男性はもうマイクのほうを見ることなく座っていた。先ほどの女性も席へ戻り、近くで何かを小声で話していた。

やがて次の料理が運ばれてくると、会場には少しずつ先ほどまでの話し声が戻っていった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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