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「そこ、空けてもらえると助かります」混雑した電車で座席をふさいだ荷物。杖の女性を見た男性の一言

  • 2026.9.13
「そこ、空けてもらえると助かります」混雑した電車で座席をふさいだ荷物。杖の女性を見た男性の一言

一人分の座席が、荷物でふさがっていた

去年の秋、朝の電車はいつも以上に混んでいました。

私は入口近くの手すりにつかまり、通勤鞄を胸の前に抱えていました。

停まるたびに人が乗ってきて、車両の真ん中には、私から見えるだけでも10人ほどが立っています。

そんな中、座席の列に一か所だけ、人が座っていない場所がありました。

よく見ると、そこには大きめの鞄と紙袋が置かれています。

隣に座っている人の荷物のようでした。

乗ったときには空いていて、そのまま置いていたのかもしれません。ただ、これだけ人が増えても、荷物は座席に置かれたままでした。

私の少し前には、杖をついた年配の女性が立っていました。電車が揺れるたびに手すりを握り直し、足元を気にするように立っています。

私も「声をかけたほうがいいかな」と思いました。

それでも、知らない人に注意するのはやはり勇気がいります。何度か荷物のほうを見ながら、結局何も言えずにいました。

すると、通路をはさんだところに立っていた男性が、少し身を乗り出しました。

「すみません。その荷物、どかしてもらえませんか」

荷物の隣に座っていた人は、一度顔を上げました。しかし、すぐには動きません。

男性も少し言いづらそうに間を置いてから、もう一度声をかけました。

「すみません。かなり混んできてるので…そこ、空けてもらえると助かります」

空いた席を見て、男性が振り返った

今度は荷物の持ち主が周囲を見回しました。

「あ…すみません」

小さくそう言うと、鞄と紙袋を持ち上げ、自分の膝の上に重ねました。

荷物の下から座面が現れ、ようやく一人分の席が空きます。

声をかけた男性は自分が座ることなく、杖をついた女性のほうを振り返りました。

「よかったら、座りませんか」

女性は少し驚いたように男性を見ました。

「でも、私、あと少しで降りるので…」

「いやいや、少しでも座ってたほうが楽ですよ。どうぞ」

男性がそう言って席を示すと、女性は「じゃあ、お言葉に甘えて」と小さく笑い、ゆっくり腰を下ろしました。

「ありがとうございます。さっきからちょっと足がつらくて」

「いえ。揺れますから、気をつけてくださいね」

そのやり取りを聞いて、私は少し胸が軽くなりました。周りに立っていた人たちも自然に半歩ずつ場所を空け、女性が杖を置きやすいスペースができていました。

私も、胸の前で抱えていた通勤鞄をさらに体へ引き寄せました。

荷物を置いていた人も、その後は膝の上で鞄を抱えたまま座っていました。強く言い返したり、不満そうな声を出したりすることはありませんでした。

ほんの一言なのに、知らない人へ声をかけるのは難しいものです。私自身、目の前の状況が気になりながら何も言えませんでした。

だからこそ、相手を責めるのではなく、「空けてもらえると助かります」と声をかけた男性の言葉が、しばらく耳に残りました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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