1. トップ
  2. スポーツ
  3. 【BMX】9月11日に新大会「BMXリーグ」が開幕。“スポーツ観戦というよりフェス”な舞台で描くBMXの未来(後半)

【BMX】9月11日に新大会「BMXリーグ」が開幕。“スポーツ観戦というよりフェス”な舞台で描くBMXの未来(後半)

  • 2026.9.10

9月11日、札幌で新大会「マイナビBMXリーグ」が開幕する。
目指すのは、競技の勝敗だけでなく、音楽やファッション、街のカルチャーまで融合し「スポーツ観戦というよりフェス」のような空間。中村輪夢らトップライダーが集う新たな舞台は、ライダー自身とともに作り上げてきたという。
BMXを“見るスポーツ”へ。そして、ライダーがBMXを職業として生きていける未来へ。一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)理事長・出口智嗣氏に、「BMXリーグ」に込めた思いと、その先に描く未来を聞いた。 (※取材日2026年8月31日)

ライダーと共創した新大会。魅せる舞台は今秋、札幌と福岡に

――マイナビBMXリーグ(以下BMXリーグ)では、新たな試みも多いと聞きます。採点は、従来のコンテスト形式ではなく、一発で魅せる技の完成度を評価するベストトリック形式。ショーアップする狙いをお聞かせください。

出口:まず、基本的な考え方として、ライダーやスタッフを含めてリーグに携わる全員がチームとして、お客さんを楽しませようと思っています。

僕もMCをやるのですが、大会には3つの要素が必要だと考えていて、1つ目はライダーがいる。2つ目はMCやDJがいて会場が盛り上がっていく。そして、一番大事な要素が、オーディエンスが盛り上がっているかどうか。この3つがそろって、ライダーが100パーセント集中してトリックに挑戦して、それにオーディエンスが応えてくれる。その循環ができたときに、新しいスポーツとしての価値が生まれると思っています。

BMXリーグで言えば、2つ種目があり、フリースタイル・パークは1人5回まで技に挑戦できるベストラン形式です。セクションは3つありますが、採点ポイントになるのは2つで、1回のランは10秒ほどで終わります。ランのインターバルは1分ぐらいの予定で、MCがライダーのすぐそばでコメントを取ったりするなど、ライブ感を演出して会場を盛り上げていきます。

もう一つのフラットランドは、ライダーが自転車とともに回転したり、タイヤの上でバランスをとったりとするなど芸術性の高さを競うのですが、持ち時間は1人につき2分30秒。技が1本決まったら手を挙げてタイマーを止めて、また技をやるというのを繰り返すトーナメント戦です。見慣れない新しいフォーマットだと思いますよ。

コンペティションの大枠のフォーマットは僕らで用意したんですけど、パーク、フラットランドのライダー全員を集めて会議をしたら、かなりのアイディアも出ました。ほぼ当初のフォーマットから変わりましたね。ライダーたちが思い描いているものを一緒に作っていく大会です。彼らが自己表現できる場所になるので、みんな前向きに動いてくれました。

――まさにリーグとライダーによる共創のリーグなんですね。

出口:3年前から構想を小出しにしていたのですが、ライダーたちも出たいし、一緒に作っていきたいという要望もあったんです。計画が具体的に動いたのは、去年の頭ぐらいから。中村輪夢を含めたトップ選手たちと、普段はあまりしないようなちゃんとしたディスカッションを重ねました。テンションが上がって「早く札幌で乗りたい!」というライダーの声もあったぐらいで、驚くほどポジティブに取り組んでくれて僕も嬉しかったです。

札幌と福岡で初開催となるフリースタイル・パーク。フェス感覚で楽しんでほしい

――開催地を、札幌(9月11〜13日/SAPPORO CULTURE FARM・凹場 anaBa)と福岡(10月23〜25日/福岡大名ガーデンシティパーク)に選んだ理由はあるのでしょうか。

出口:札幌にしたきっかけは暑さ対策ですが、アーバンスポーツとして未知の土地であることにも注目して開催を決めました。JFBFとして東北以北、北海道で全日本選手権やジャパンカップを開いた経験はありません。僕は日本アーバンスポーツ支援協議会に在籍していますが、ある意味で他のスポーツに先駆けて北海道での開催に至りました。

また、福岡は天神という街で開催できないなら意味がないと思っていました。若い人も多くて、クリエイティブで音楽やカルチャーがひとつの街として成り立ちつつある場所です。そこにBMXという新しい要素が入ったときに、どんな化学反応が起きるのか楽しみですね。

そして僕らは、この2つの街をモデルケースにしたいんです。ライダーが生計を立てられるようにするのはもちろん、そこに関わるBMXショップ、スクール、アパレル、美容師、クラブシーンなど、いろいろなカルチャーが融合したものを見たい。言ってみれば、BMXに適したインフラが整って、ライダーがその街に集中していくとカルチャーが生まれてくる。そんな姿をこの10年で作っていきたいですね。

――両会場ともに無料で入れるオープンスペースだそうですね。初めてBMXを見る方やふらっと通りかかった方は、どこに注目すると楽しめそうですか。

出口:まず、高さですね。あえて観客席のスタンドは作らないようにしています。スタンドを作ってしまうと、飛んでくるジャンプが真正面から見えてしまって、高さが表現できない。今回持っていくジャンプ台は2、3メートルで、ライダーの最高到達点は7、8メートルになるでしょう。見上げてもらうことで恐怖が快感に変わって、鳥肌が立つと思います。そんな瞬間を、現場で味わってほしいです。

また、ライダーはフルフェイスのヘルメットをかぶらないので、顔が見えるんです。ライディング中は必死な顔をしているけど、終わった後には笑顔で仲間とハグをしている。その表現を本当に見てもらいたい。スポーツは勝ち負けを争うのが一般的ですが、BMXリーグではみんなでひとつの空間を作って感動を共有できる。そんなカルチャーも感じてほしいです。

あと、会場は黒を基調にして、DJが音楽を回して、お酒や食事を楽しみながら観戦できます。街なかのビルに囲まれた場所にスポーツの会場があるという、非日常的な体験もできると思います。楽しみ方は、足を運んでくれた方の自由です。スポーツ観戦というより、フェスに来た感覚を持ってもらえると良いかもしれません。

――また、BMXリーグではスタイリストも入ると聞きました。セクションに特設ステージを設置して、ライダーのスタリングもされるそうですね。BMXにおけるファッションへのこだわりはどう考えていますか。

出口:ライダーは、みんなオシャレが好きで「かっこ良くなきゃ嫌だ」って言います。カルチャーとして、ファッションを先取りしていると思っていますね。大会にも、Tシャツにチノパン、デニムだけの子もいますけど、もうどれも一張羅を着てくるんです。1本5万のジーンズを履いてくるライダーもいるぐらいです。

だから、僕もよりかっこよく見せてあげたいと思って、スタイリストを入れました。ライダーのカルチャーがそのままファッションとして世の中に出ていって「BMXライダーっぽいね」と言われる世界観まで持っていきたい。彼らの素のかっこよさを、そのまま出してあげたいんです。

――注目してほしいライダーはいますか。やはり中村選手でしょうか。

出口:パークは男子6名、女子3名を予定していて、競技力が一番高いのは、中村輪夢と小澤美晴ですね。でも、今回は賞金とは別に、観客が会場やオンラインから直接ライダーを応援できるライドマネーの仕組みもあるので、そこで目立っていこうという選手も出てくるはずです。

画像: 中村輪夢 ©Naoki Gaman/JFBF
画像: 小澤美春 ©Naoki Gaman/JFBF

2024年のパリオリンピック予選シリーズ(OQS)に出場して、本大会まであと少しだった溝垣丈司と内藤寧々はストリートでも目立つ存在で、ファッションも注目ですね。カルチャーの目線で見ると、2人も面白いと思います。

フラットランドは男女混合8人の出走予定で、女子は1人だけですが、世界チャンピオンの戸高千翠がいます。男子選手も、初戦から当たりたくないと言われるような実力を持っています。

画像: 全日本BMXフリースタイル選手権の女子フラットランドで、技を披露する戸高千翠=5日、岡山市北区(共同)

両カテゴリーで総勢15~20名ほどのライダーが出る見込みなので、ぜひ自分の推しになるようなライダーとも出会ってほしいなと思います。

BMXリーグを機に描く未来…「人生をBMX一本で生きてくれたら」

――間もなくBMXリーグが開幕します。この新大会を機に、どんなシーンを作っていきたいか。最後に想いの丈をお聞かせください。

出口:オリンピックはスポーツ界のトップかもしれないですが、そこに行けるのは本当に一握りの選手です。

BMXリーグを立ち上げて、職業としてBMXリーガーになった上で、自信を持って表舞台に立ち、お金を稼いでファンを増やしてもらいたい。BMXを自分の生涯スポーツとしてやってほしいと思っています。BMXを続ける以上、ずっとライダーだと思うんですよね。彼らが人生をBMX一本で生きてくれたら、僕は一番嬉しいですね。

オーディエンスの皆さんには、このリーグを通してBMXの楽しさを少しでも知ってもらって、ライダーを見て挑戦する気持ちや、いろいろな表現方法があると伝わってくれたらいいですね。みんながBMXの空間を楽しんでくれたら嬉しいです。

そしてBMXリーグは、僕にとっての集大成です。JFBFの理念は「すべてはライダーのために」です。オリンピックというシーンに加えて、今度はリーグという新しいシーンを次の世代へ残してあげたいと思っています。

画像: 出口理事長(左)と内藤寧々選手(右)。選手のファッションにも注目して欲しい

文=大橋裕之

マイナビ BMX League ~ライダーが主役になれる新時代のBMXリーグ!

■日程:2026年9月11日(金)~13日(日) ※11日は公式練習
■会場:SAPPORO CULTURE FARM/凹場 anaBa
北海道札幌市中央区北2条⻄4丁⽬1番(北海道ビルヂング跡地)
■配信: 12日(土) および13日(日) の試合をLIVE配信!
・SPOTV NOW
・SPOTV NOW YouTube

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ